CHAPTER−55 
      帰りこそ寝よう寝ようと思っていたのに、やっぱり寝なかった。 
        目の前にあるNINTENDOが魅惑的にオカを誘う。 
        まるで「さぁ、パネルでポンをやってくれ!」と言っているようだ。 
        というわけで、帰りの飛行機もやはりゲーム漬けだった。 
        「しかし、帰ったその日に出勤ってのがイヤなとこやわ…」 
      ゴローは隣でぐっすり寝ていた。 
        さっきまでビールをガバガバ飲んでたしな。 
        よく考えればコイツはオカやカガよりも早くから来てたし、その分しんどいはずや。 
        「ま、ぐっすり眠ってくれ…」とオカは心の中でつぶやく。 
        (この時、オカはすっかりカガの存在を忘れていたのだが…) 
      機内はほとんどが日本人。 
        久々に大量の日本人に囲まれ、やっぱ自分も日本人なんやぁ〜と自覚する。 
        客室乗務員も日本語で対応できるし、なんかラク。 
      ちなみに関空到着は朝の7時すぎ。 
        そこからダッシュでバスに乗り、家へ帰る予定だ。 
        そしてダッシュで準備をして、ダッシュで会社へと出勤する…というプラン。 
        もちろん7時すぎに関空についても、会社は遅刻しないといけない。 
        「旅行で遅れました〜!」なんて言ったらきっと怒られてまう。 
        だからここで一つプチ嘘をつく必要がある。 
        「腹痛で遅刻します…」なんてね。 
        職場の皆さま、今だから謝ります、ごめんなさい。 
      飛行機はいよいよ日本上空へと突入した。 
        機内にアナウンスが流れ、着陸態勢に入る。 
        飛行機はグングンと高度を下げ、強い振動と共に滑走路へと着陸した。 
        ゆっくりと飛行機はタラップへと進み、扉が開く。 
        「さぁ着いたで!」 
        「よっしゃ、まずはカガでも探すか!」 
        ふたりは早足で飛行機を後にし、空港内へと足を踏み入れた。 
        そしたら早くもカガがいた。 
        「やっぱビジネスクラスは出るのも早いってか!?」 
      早々に入国手続きを済ませ、荷物受け取り場に移動。 
        事故もなく、無事自分の荷物も流れてきた。よかった。 
        荷物がちゃんと流れてくるかどうかがいつも結構気になんねんな。 
        全員の荷物が揃ったところで出口へと向かう。 
        簡単な荷物検査の後、すぐバス乗り場へと移動した。 
      そこからは………それはそれはハードだった。 
        バスで尼崎へと移動し、みんなと別れ、JRで最寄の駅へと帰る。 
        その間に会社に電話し、遅刻のむねを伝える。 
        家に着いて風呂入って、着替えて、会社の準備して家を出る。 
        そして2時間遅れほどで会社に到着。 
        ニコリと微笑みながらオカはデスクにつく。 
      「すみませんでした。おなかはもう大丈夫です(笑)!」 
        痛くもないおなかをさすりながら、オカは仕事をはじめた…。 
      こうしてハードなハードなブルネイ・シンガポール旅行は幕を閉じた。 
        結局はじめから終わりまで、気の休まらぬ「超・多忙な旅路」になったとさ… 
       THE END 
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