CHAPTER−37 
      とりあえずキャノピーの下で少しだけ休憩。 
        ずっと登り坂やったから、さすがに疲れたというわけ。 
        しかし下から見れば見るほどなんとも頼りない塔だ。 
        高さは申し分ないが、それを支えるバランスがここには感じられない。 
        上の方を見上げるとジャングルの生い茂る緑の葉の隙間を、塔が突き抜けている。 
      そうこうしているうちに途中で出会ったドイツ人のグループも到着した。 
        「それじゃあ先に登っちゃおうか?」 
        ネイさんの合図で4人は立ち上がる。 
        でも“先に…”ということは… 
        そう、バランスが悪いから、一度に大人数は登れない、ということ。 
      キャノピーは壁も階段も床もすべて鉄格子の網々で出来ている。 
        だから登ると「カンカンカン」と工事現場の足場を歩いているような音がする。 
        階段はらせん状でキャノピーの中をぐるぐる回りながら登っていく感じ。 
        みんなが登る勢いで結構揺れたりもする。 
        それがまたみんなを不安にさせるのだけれども… 
      まずネイさんが先頭で登り始めた。 
        その後を追って、イリコ、オカ、ゴローが続く。 
        しかしカガがいまいち元気がない。 
        なぜって、もちろん「高所恐怖症」やから。 
        カガの怖がりようは半端じゃなかった。 
        見てるだけでも足がすくんでヤバそうやった。 
        「大丈夫か〜?まだまだ上に登るみたいやで〜」 
        後ろのほうから遅れてついてくるカガにみんなが声をかける。 
        「こわい〜〜〜…」 
        頼りない返答が返ってくる。 
        もちろんすべてが網でできているので、下をみれば、そのまま地面が見えてしまう。 
      とりあえず他の3人は早く上に行きたいから駆け上がるように登った。 
        だいぶ高く登ったところで少し広い場所に出た。 
        実はキャノピーは1本だけではなく、俺らのキャノピーの横にも同じ物が立っていた。 
        その隣のキャノピーと繋がる「橋」の部分に来たのだ。 
        「この橋を渡って向こうのキャノピーを登れば見晴らしがいいわよ」 
        ネイさんは3人に先に道を譲り、カガが登ってくるのを待つという。 
        イリコ、オカ、ゴローは一人ずつ橋を渡って隣のキャノピーに移動した。 
        さすがの高所楽症のオカも、この橋から下を見ると少々こわかった… 
           
        隣のキャノピーの向こうには、まだもう一本の橋があった。 
        しかしなぜか「通行止め」。 
        ネイさんに大きな声でたずねる。 
        「なんで通行止めなん?」 
        「向こうのキャノピーは少し前に倒れちゃったの!」 
        「…………」 
        みんなが少し無口になる… 
      でもそんなことは構わずトントンと登っていった。 
        そして頂上!! 
        「おぉ〜、いい景色やん!!」 
        そこはジャングルのど真ん中に立つ一本の展望台のようなもの。 
        見渡す限り緑、緑、緑。 
        さえぎるものは何もないのではるか遠くまで見渡せる。 
        「しっかし、高けえぇぇ〜〜!」 
        狭い頂上部分にみんなが集まり、少しずつ体勢を移動させながら代わりばんこに写真撮影。 
        パシャ! 
      そしてしばらくその余韻にふけってから降りることにした。 
        降りるときは、登るときよりも勢いよく降りれた。 
        途中、オカはイリコに頭を踏まれるという災難に遭ったが、寛大な心で許してさしあげた。 
      下に下りるとドイツ人たちが「どやった?」と聞いてくる。 
        「おもしろかったよ」笑顔で答える4人。 
        「じゃあ、次は私達がいってくるわ!」と、颯爽とドイツ人グループが登り初めた。 
        しかしやはり革靴は登りにくそうだ。 
        しかもスカートの人がいるんやけど、下から丸見え… 
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