CHAPTER−47 
      オカとゴローは一足先にロビーへと戻ってきた。 
        時間にはまだ余裕があるものの、早めに行動するにこしたことはない。 
        しばらく待ったが、イリコとカガが戻ってくる気配はない。 
        「あいつら遅いわ〜…」 
        カガはこんなのに熱中するタイプやし、イリコはいつものことやし。 
      待てど暮らせど奴らはこない。 
        時計を見ながら焦るオカとゴロー。 
        警備している係員のおっちゃんに聞いても、彼らがどこへいったか知らないとのこと。 
        そういえば、いまこの建物で展示品を見てるのは俺らだけ。 
        あとは全部ここの関連の人たち。 
        ブルネイはどこ行ってもそうやけど、人手が余ってる。 
        だからどこの施設でも、客より関係者の方が多いよう。 
      だいぶたってからようやくイリコとカガが戻ってきた。 
        イリコの「ギャハハハ」っていうバカ笑いで気付いた。 
        「ていうか、おまえらもっと急げよ!」 
        「だいじょぶ、だいじょぶ!」余裕かますイリコとカガ。 
        ま、乗り遅れるほどの時間ではないので、確かに大丈夫だろうが…。 
      揃った4人は、受付で預けた荷物を受け取り、外へ出た。 
        すれ違いざまに、どっかの観光客の団体がミュージアムに入っていった。(日本人ではない) 
        とにかくここは凄かった。 
        見るもの見るもの金・金・金! 
        ゴールドのオンパレード。 
        またブルネイに来る機会があったら、ぜひとももう一度立ち寄りたいな。 
      再び4人はホテルに戻る。 
        部屋に入って荷物を整え、忘れ物確認をして、ロビーへ降りる。 
        「あぁ、ホンマに帰っちゃうんや…」 
        イリコを除いた3人は、残り少ないブルネイ滞在時間に寂しさを感じていた。 
      ホテルのフロントでタクシーを呼んでもらい、到着を待つ。 
        ほどなくしてタクシーの前に車が止まり、俺たちは乗り込むことに。 
        3人分の荷物を預け、最後にイリコと対面。 
        「あぁ〜ん、寂しくなるぅ〜…」イリコがまじで泣きそうなツラを見せる。 
        「そんじゃ、元気でやるんやで!」答える3人。 
        「気をつけてな!」 
        「イリコもな!」 
        俺たちの旅行では、いつも誰かが途中で帰ったりする。 
        だけど、これってホンマ寂しいねんな。 
        帰るほうはともかく、見送るほうはとてつもない虚無感があるもん。 
        だからイリコも、今回はめちゃ寂しかったはず。 
        特に今回は残るの一人やし… 
      タクシーが動き始め、イリコが大きく手を振る。 
        俺らもそれに応える。 
        「バイバイ!バイバイ!」 
        そしてイリコは見えなくなった。 
      タクシーは一昨日走ってきた道を逆に向かい、空港へと走った。 
        思ったよりも長く感じた。 
        バンダル・スリ・ブガワンの中心から外れると、ホントに派手さはなくなる。 
        店なんかどこにも見当たらない。 
        南国特有の背の高い木々が道沿いに連なる。 
        「この景色ともお別れやねんな…」 
        なんとなくセンチメンタルな気分。 
      しばらく走ると空港についた。 
        4人は荷物を下ろし、チェックインカウンターへと向かった 
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