CHAPTER−40

川岸に下りると、盗賊船長がエアマットのようなものを出してきた。
これがすなわちラピッドライダーの正体らしい。
それから二つの足踏みポンプも出してきた。
「さぁみんなでこれを膨らませ〜!」と盗賊船頭が声をかける。
「よっしゃやるでぇ!」
なぜかみんなは凄く張り切っていた。

カガとゴローがまず自分のマットに空気を入れ始めた。
シュコシュコと頑張っていたが、なぜかカガは膨らますのが異常に遅い…
「カガなにやってんねん!」イリコが馬鹿にした口調でののしる。
「いや、真剣にやってんねんで〜…」カガは弱々しく答えた。
そうこうしているうちにゴローのはほとんど空気を入れ終わろうとしていた。
そこで今度はオカがカガとバトンタッチ。
慣れた様子でシュコシュコと空気を入れ始めた。
その華麗なる足さばきに一同が「おぉ〜!」という目でオカを見つめた。
食事のときの会話でオカがラフトのガイドをしていることは船頭達も知っている。
「さすがやな!」と盗賊船頭もオカをベタボメ。
しかし、思うように船は膨らまない…
「なんで????」

踏めども踏めども大きくならないエアマット。
最初の期待が大きかっただけに、後の落胆も大きかった。
「なんや、見かけ倒しかい!」って言われてるような視線をチクチク感じた。
そんなオカを見て、遂に盗賊船頭が立ちあがった。
「よっしゃ、俺がやったろ!」
誇らしげな顔で盗賊船頭はオカと交代し、シュコシュコやり始めた。
「おっ、さすが手前味噌!これは早いんちゃう?」と、そこにいる全員が思った。
しかし…
なぜかあんまり膨らまない…
すると船頭こう言った。「あ、これ壊れてるわ」
なんやそれ!

壊れてないほうのポンプを使って一応すべてを膨らました。
エアマットは全部で5つ。
俺ら4人と、ガイドのネイさんのぶん。
膨らますのは結構しんどかった。
といっても、最後のほうはほとんど無口船頭が地道にやってくれたのだけれども…

「じゃ、さっそくそこらへんで流れてみろよ!」盗賊船頭がみんなに言った。
その言葉を受けてカガとゴローがマットに乗って飛び出した。
カガとゴローは短パンをはいていたが、他に着る物もないし、そのまま水に入っていった。
イリコも短パンなのでそのまま入るらしい。
しかしオカはジーパンをはいていた。
これを濡らしてしまうと、帰りがかなりやっかいだ。
しかもオカはこれしかズボン持ってきてないし…と思った。
「そうやなぁ、俺はズボン濡らしたくないから、パンツでやるわ」
そう言ってオカはズボンを脱いで、トランクス一丁になった。
そんなマヌケな格好も「旅の恥はかきすて」ということで許してもらおう。

カガとゴローは流れの中でバシャバシャやってたが、ヘタ。
やっぱラフトガイドから見ると二人とも「甘い!」
全然川の流れを読んでないもん。
(ていうか、オカも少々知ったかぶりやったりして…)
キャッキャ言いながらカガとゴローが戻ってきた。
「これめっちゃオモロイ!」

今度はオカがトランクスで挑戦!
エアマットに腹ばいになって川に入る。
「うわ、さむ!」常夏の国とはいっても、水に入ればやっぱり肌寒く感じた。

 

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