CHAPTER−7
無事飛行機はチャンギ・エアポートに着陸した。
早々と荷物をまとめ、出口へと急ぐ。
なぜそんなに急ぐのかというと、今回の旅は時間的余裕がほとんどないからだ。
オカとカガのシンガポール滞在時間は24時間もない。
明日は午前の便でブルネイへと飛ぶし。
デッキに足を踏み出した瞬間、モワッとした生暖かい空気が肌を撫でる。
「おゎっ、あつっ!!」
オカとカガは同時に声を出してしまった。
とにかくそれぐらい暑い!
通路を歩いて入国審査を受ける。
イミグレーションのおばちゃんは一言もしゃべらず、愛想もメチャ悪かった。
こいつらもう少しサービス精神出せよな!と思った。
そういえばカガは、ポケットにガムを入れたまま来てしまったと言ってた。
シンガポールではガムを持っているだけで犯罪。
カガは捕まるんちゃうかと少しドキドキしていたが、無事に通れたようだ。
カガは例の重いザックを拾うために、ベルトコンベアの前で立っていた。
その間オカは空港内をウロウロと歩き回っていた。
なぜならば、ここチャンギ・エアポートでゴローとイリコに合流する予定だからだ。
到着時刻は伝えてある。
しかし空港の「どこ」とは一言も打ち合わせしていない。
今回旅立つ前に、ある人が「シンガポールの空港は出口がひとつしかないからすぐわかるよ」
なんて言ってくれていたが…
「ウソツキ…」
探せども探せども、イリコとゴローはいない。
なぜ???
どこにおんねん???
荷物を拾い上げたカガもやってきた。
とりあえず気分を落ち着かせるためにふたりでトイレに行く事にした。(なんでやねん!!)
しかし会えんかったら最悪や。どうしよ。
トイレから出てきたオカとカガはとりあえず日本円をシンガポールドルに両替した。
オカは2万円。カガは1万円を両替。
その間もイリコとゴローのことが頭から離れない。
いよいよ出口を出て、到着ロビーをぐるりと回ってみる。
しかし二人の姿はない。
失敗したな、と思ったのは、会えなかった時のことを何も考えてなかったこと。
しばらく待ってみたけど、やはり現れない。
あいつらーーーーーー!!!
と、叫んでみたところでどうにもならないので、とりあえず色々回ってみることにした。
チャンギ・エアポートにはどうやらターミナル1とターミナル2があるらしい。
もしかしたら別のほうに行ってるかもしれないので、そこまで行ってみることに。
しかしやっぱりいない。
諦めてもう一度戻る。
ここにはトランジット用のホテルもあるらしいのでそこに泊まろう、とカガが言った。
オカはせっかくシンガポールに上陸してるのに街に出ないなんて…と不満顔。
これではどうにもならない…と思った瞬間、遠くから何か呼び声が聞こえた。
「おーい!!」
これぞ感動の再会!!
「あ、イリコとゴローや!」
大きく手を振る二人の姿がまるで天使に見えた。
こんなにも海外で人と会えないのが寂しいなんて…とつくづく実感した。
「お前ら遅いねん!いったい何しててん!?」
「おったおった、よかった!」
はぁ、とりあえずは一安心。
とにかく最悪の事態だけは逃れた。
とてつもない安堵感を胸に、オカとカガから思わず微笑がこぼれる。
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