CHAPTER−31
オカとゴローはチキンレモンというミスマッチな料理を頼んだ。
イリコとカガは変なもんを頼んでいた。(何やったかは忘れた)
その料理は、何とも微妙な味やった。
レモンの酸味とチキンの空揚げの不調和ハーモニー。
でも熱い国で食べると意外と美味く感じたりもする。
4人はしばらく飯をガブついたが、暑さのせいであまり喉を通らない。
オカは結局少しご飯を残してしまった。
結局タクシーのおっちゃんとの待ち合わせ時間には少し早かったが、
存分に堪能したのでとりあえず駐車場に移動することに。
そしたら思わず4人は感動してしまった。
なぜかというと、まだまだ待ち合わせ時間には余裕があるというのに、
すでにおっちゃんが来て待っているではないか!
さすがブルネイ!国民は心に余裕があるよな!
先に来て待っててくれるなんて、他のアジアでは考えられへん。
そんなこんなで4人はすぐに出発することができた。
タクシーの中ではしばらくジェルドンパーク話に花が咲いた。
しかし時間も遅いことからみんなが次第に無口になってくる。
そう、なんてったって眠いもん。
でもタクの運ちゃんの話は止まらない。
しかも帰り際に名所に連れて行ってくれるという。
「エンパイアホテルって知ってるか?」とおっちゃんが聞いてくる。
もちろん4人は知らない。
「とにかく凄いホテルやから行ってみ!」とオススメされたので行ってみることに。
タクシーは道を左にカーブし、ホテルの敷地へと入っていった。
かなり敷地は大きい。
「ほぉ、さすがは有名なホテルや。敷地もでかいわ」
みんなが感動する。
そしてタクシーはそのまま直進し、ホテルの玄関に横付けされた。
「おぉ、なんかVIPみたいや!」
タクシーから降りると、精悍なドアマンが丁寧にお出迎え。
「こんにちは!」
なんとそのドアマンは日本語を話すではないか。
それだけでもびっくりだったが、4人はその後言葉を失うことになる。
なぜなら、ホテルに一歩足を踏み入れると、そこは見渡す限り金・金・金!
すさまじくでかいロビーもすごいが、目に入るものすべてが金色ってのに度肝を抜かれた。
「うぉぉぉぉ〜ッ!!」
4人はマジでびびった。
こんなに凄いホテルは初めて見た!
4人はロビーに置かれてある金の椅子に座って写真を撮り、金縁の鏡を覗き込んだりする。
あらゆるものが金。
そういえば、こないだのAPECでは各国の代表がこのホテルに滞在したらしい。
ということは小渕恵三首相もここに来たわけか?
いやいやそれよりクリントンも!!
たぶんここ以上のホテルって、どこにもないんちゃうかな…
しばらくして4人はホテルを出ることに。
さすがにただの見学なので、おおっぴらにウロウロするのはためらわれた。
でも帰る時もちゃんとドアマンが扉を開けて見送ってくれた。
そして外に出るとすかさずタクシーが正面にゆっくり止まる。
「おお、帰る時までVIPの気分やん!」
4人はタクシーに乗り込み、エンパイアホテルを後にした。
後日このホテルのことを調べてみた。
世界のホテルは星の数でランク分けされているが、ここは上限の5つを越えて
6つ星とも7つ星とも言われているようだ。
これも国の財力の証というわけだ。
4人はため息をつきながら帰途についた。
「この国、すごすき!」
全員共通の意見は「この国で育ったら駄目人間になるわ」ということだった。
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