CHAPTER−39
みんなが「うまい!うまい!」とメシを食っていたその時。
ひとりの強烈キャラが登場した。
それは、オレたちを乗せてきたボートの船頭だった…
ボートには、俺たち4人以外に、ネイさんと船頭二人が同乗してきたことは承知だろう。
ネイさんとは、さっき一緒にキャノピーまで行ってきたばかりやから、仲良くなってる。
でも船頭さん二人とは来るまでの間ほとんどしゃべってなかった。
だから今まであまり存在感がなかったが、メシの時にその強烈な個性が輝きを放ち始めた。
船頭のひとりは無口なおっちゃん(というよりおじいちゃん)
笑顔は見せてくれるが、なんしかほとんどしゃべらない。
でもすごく働き者のような感じがする。
もうひとりの船頭は…これがまた個性がキツかった。
見た目は童話に出てきそうな海賊とか盗賊といった感じ。
怪しげな表情に怪しげな口ひげをはやしていた。
でもすごくいい奴でおもしろかった。
やはり観光客を相手にしているので英語は堪能だった。
4人がメシを食っている時にも、気さくに声をかけてきて笑わしてくれた。
「ドリアンはうまいぜ〜!」って盗賊船頭が言った。
彼いわく、ドリアンはクセになる美味さだが、食いすぎると中毒になるらしい。
「おまえらはドリアン好きか?」と聞かれて、カガとイリコがすぐさま答えた。
「むっちゃ好き〜!」
カガはマニアックな食べ物が好きやからドリアンが好きなのもわかる。
しかしイリコがドリアン好きなのはどうもあやしい。
「ていうかイリコ、ドリアン食ったことあんの?」
その問いかけに対する答えに他の3人は絶句した。
「ないよ!」
こいつ食ったこともないモンを平気で好きといえるなんて、やっぱテキトー仮面や。
そんなやり取りを見て盗賊船頭は微笑をうかべていた。
「じゃあ、おまえはドリアンキングだ!ハハハ!」と、カガを指差して笑った。
「そしておまえはドリアンクイーンだ!グフフ!」と、イリコを指差して笑った。
イリコとカガはそう呼ばれてなぜだか少し誇らしげな表情やった。
盗賊船長はラフティングのガイドもするらしい。
今回はツアーの中にラフティングは組み込んでいないので見る機会はないが…
だが、ここまでさかのぼってきた川の様子を見ていると、迫力には欠ける川だ。
特にラフティングをするには…。
デザートの洋ナシを食べた後、盗賊船長が言った。
「そろそろラピッドライダーするか?」
おぉおぉ、そうや、気になってたんやラピッドライダー。
果たしてどういうもんなんかも想像つかんシロモノだけに、期待と不安が入り混じる。
「じゃ、みんなで外へ出ようか」
それを合図に全員が川岸へと降りていった。
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