CHAPTER−1
5月3日 AM8時、大阪駅。
出発の朝。
時間よりも少し早く到着したオカは、期待せず辺りを見渡した。
やはりヤツの姿はどこにも見えない。
オカとカガの二人は、環状線のホームで待ち合わせをしていた。
ここから関空快速に乗り、関西国際空港へ向かうためだ。
「おいおい、いきなり遅刻か?」
そんな悪い予感が漂う。
しかし改めて見ると、オカは今回の旅でも異常なほど荷物が少ない。
いやマジで。
なんか忘れ物をしてるみたいで不安になる。
でも、昔みんなでプーケットに行った時のことを思い出して、少しだけ気楽になった。
「そういや、あの時ムグはめっちゃ小さなカバン(いや、袋か?)で来てたもんな!」
しばらくして時計を見る。
既に待ち合わせ時間を過ぎていた。
しかしカガは現れない。
しびれをきらして携帯に電話をかける。
「もしもし?どこおんねん?」
「あぁ、もうすぐホームに上がるとこやで」
とりあえず近くにいることが分かって一安心。
まもなくしてカガが目の前に現れた。
なぜかヤツはすんごいでかいザックを持っていた。
しかも予想通りメチャ重い…。
「え、何が入ってんの??」
オカが尋ねた。
「ちゃうねん、これほとんどザックの重さやねん」と語るカガ。
じゃ、おまえはいったい何を持ってきてんねん!!??とツッコミたくなった。
そんなこんながありながらも、定刻通りに着いた関空快速で、いざ関空へと向かう。
二人は希望に燃える足取りで電車に足を踏み入れた。 |