CHAPTER−9

とりあえず4人は、荷物を部屋に置いてすぐ出かける事にした。
目的地はナイトサファリ。
そう、関空快速の中で隣の人たちが話題にしていたところだ。
ちょっとオノボリサンっぽいけど、一応シンガポールに来たのなら行くべきやろ。
ただ、一つだけ問題があった。
実はカガは前にシンガポールに来たときにナイトサファリに行ったらしいのだ。
「オレ行かへん」
と、だだをこね始めたのだ。
でも行ったことのないオカ・イリコ・ゴローはもちろん行きたそう。

どうする、どうすると言いつつ時間だけが経っていく。
結局カガが一人で単独行動することで落ち着いた。
カガに部屋のカギを預けて、オカ・イリコ・ゴローの3人は動物を見に行く事にした。

とりあえず4人で地下鉄の乗り場へと移動した。
ここでカガとはしばしの別れとなる。
しかし面白かったのが、なぜかカガは地下鉄のプリペイドカードを持っていた。
前に来たときの残りだという。
使えんのかな?と思ったが、使えるらしい。

切符を買って地下鉄に乗り込む。
やはりここでも小銭がないので困った。
しかたなく改札のほうにいるおばちゃんに両替を頼んだ。
この国に来て以来、つくづくコインのありがたみを実感した。

オカ・イリコ・ゴローの3人はしばらく地下鉄に乗る。
やはり電車の中も異常にきれいだ。
逆にきれいすぎて落ちつかないぐらい。
しかしイリコは何処に行っても大きな声で喋るものだ。
社内に響き渡る日本語に、周りの客たちがこちらをジロジロ見ている。
オカはそんなイリコを少しだけ恥ずかしく思った。

しばらくすると、目的の駅に到着。
しかしここがゴールではない。
ナイトサファリに行くまでは、まだここからバスに乗らなければならない。
迷いつつも何とかバス停にたどり着く。
夜なのにさすがにバスを待つ人は多い。
そうやんな、だって夜しか開いてない施設やもんな、と妙に納得した。

バスに乗り込むとやはり運転はアグレッシブだった。
どうしてこうもシンガポールの運転手はせっかちなのか?
たぶん国の規則が厳しすぎて、みんな一杯うっぷんが溜まってるんちゃうかな、と思う。

しばらくすると客がどんどん降りていく。
あれ、この人らナイトサファリニ行く人とちゃうんや!と思った。
結局バスに残っていたのは、俺たちを含めた3組だけ。
なんや、実はあんまり人気ないやん!!
かなり走った挙句にようやく目的地に着いた。
ここでもやはりシンガポールの広さを実感する事になった。
こんなに狭そうな国やのに・・・。

バスが止まり、3人は降りた。
さぁ、限られたシンガポール滞在のメインイベントがやってきた。
ここらで楽しんどかんともったいないな、と思いながらみんなはサファリに足を踏み入れた。

 

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