CHAPTER−35
4人は川の側まで降りた。
そこで黄色のいかにも浮力のなさそうなライフジャケットを渡された。
「これならオレがラフトで使ってるやつのほうが浮くわぁ」
そんなことをぼやきながらもしっかりと肌にフィットさせた。
ラフティングのガイドたるもの、ライジャケの着方で注意されたりしたら恥やもん。
目の前には「いかにも」って感じの船があった。
テレビなどでジャングルに突入するときには、みんなが必ず乗ってるやつ。
あの長〜い船体のモーターボートである。
「おおおぉぉぉ〜!それっぽいやん!」
ますます4人は興奮してきた。
乗船したのは4人の他に、ネイさん、船頭さん×2名の計7人
それがみんな一列になって船にすわった。
もちろん椅子などというお洒落な物はない。
「すのこ」のようなものを手渡され、「これに座れ!」と言われた。
座り心地は決してよくないが、むしろこの方が雰囲気も出るってもんだ。
ボートは加速し、ジャングルの奥地へと入っていく。
川の流れに逆らい、上流へ上流へと向かう。
川幅はそんなに広い訳ではなく、流れも穏やかだ。
しかしわりと流れは速そうだ。
専門的に言えばだいたい10トンぐらいのながれか。
「こんな川の中を上流へと行くんやから、さすがモーターボートは凄いわ!」と思った。
いつも手漕ぎのラフトボートしか乗らんから、妙に新鮮な気分やった。
景色は何とも言えずキレイ。
透き通るような青空に、樹木の緑がまぶしい。
木々はどれもが大きく、日本にはないダイナミックさがあった。
川幅は安定しており約5mぐらい。
「このまま帰りたくねぇ〜…」と本気で思った。
ここでもかなりの時間、船に乗っていた。
まだかな?と思い始めたころ、船頭のおっちゃんが「到着やでえ」と言った。
そこはちょっとした浜になっており、船が止められるようになっている。
「ここからトレッキングのはじまりだ」
それらしき説明を受けて案内所のようなところへと向かった。
そこで荷物をロッカーに入れ、水のペットボトルを渡され、準備は整った。
携帯品はカメラと水とタオル。
それ以外はいらんでしょ。
なんとなく雰囲気は「西表島」に似てる。
マングローブを抜けて辿り着いたあの景色にそっくり。
「さぁ行くわよ!」
ネイさんの合図で4人はジャングルへの一歩を踏み出した。
もちろん4人の心は高鳴っていた。
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