『SOULS 死魂』    
Carnival of Souls

 アダム・グロスマン監督。『恐怖の足跡』をウェス・クレイヴン総指揮でリメイク。と聞くと訳知りの人は「おおっ!」と思うのですが、見れば100%確実に失望します。リメイクというより換骨奪胎の語が似合う失敗作。
 妹とバーを営むアレックスは、死んだはずの殺人鬼ルイスに襲われる幻覚に悩まされる。20年前、アレックスはカーニバルのピエロだったルイスにいたずらされた上、母を殺されたのだった。
 トラウマ話に仕立てようという序盤の努力は後半潰え、プロットはぐずぐずになっていきます。そういうわけで登場するキャラクターの正体を云々する気にはなりませんが、フラッシュバックで登場する悪霊やカーニバルの従業員たちは、ゾンビ風の見た目をしています。

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『続・死霊のはらわた』    
Dead Inn

 ジム・グッドマン監督。もちろん『死霊のはらわた』とは無関係。つまらないけど腹は立たない謎の低予算映画。
 頭が悪くて凶暴な脱獄囚4人組と、葬儀用品セールスマンが田舎の民宿にやってくる。主の老人は死体蘇生パウダーを発明した博士で、その孫娘はエンバーマー。幽霊トラック、庭からはゾンビ、村のおばさんたちの交霊術で骸骨状の悪霊が登場し、裸女だと思ったら半魚人ゾンビ。事実上ストーリーなどありません。

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『ゾンヴァイア 死霊大血戦』    
Legion of the Dead

 オラフ・イッテンバッハ監督のアメリカデビュー作。ドイツ時代より毒気は薄れております。
 アメリカ南部のド田舎を舞台に、悪魔トガイオに仕える死者の軍団と地元住民が戦います。主な登場人物は善悪双方ともアホ揃いで、下らない会話が実に今風。こんなアホどもに倒される悪魔はとっても哀れです。話の本筋に無関係な人物も多く、わけがわからぬうちに映画は終わってしまいます。ギャグも残酷描写も豊富なので退屈しません。
 「ゾンヴァイア」は邦題にのみ使われている言葉ですが、ゾンビとヴァンパイアを合わせた造語だそうです。血を吸うわけではありませんが、この作品のアンデッドモンスターはほぼ吸血鬼と呼べるものです。百万年生きる宇宙人トガイオは、死後間もない人間に口移しで霊気のようなものを送り、モンスター(手下)にすることが出来ます。このモンスターは不死身で、脳を破壊するか体がバラバラになるまで活動します。同じ方法(口移し)で仲間を増やす能力もあり、トガイオの軍勢を増やすために人を殺してまわります。

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『ゾンゲリア』    
Dead & Buried

 ゲイリー・シャーマン監督。脚本はダン・オバノンなど。眼球に注射、鼻から硫酸、東宝東和のような酷い邦題(実際の配給はヘラルド)などを見るとグロいゴア映画かと思いますが、実際はまったりした雰囲気もののホラーです。
 海辺の小さな町で旅行者を狙った連続殺人事件が起こります。孤軍奮闘の捜査を続ける保安官は、ヴードゥーの魔術で死体が甦っているのではないかという疑念を抱くのですが…。
 ヴードゥー教の話が出てきますが、これは真性ゾンビの物語ではありません。この作品のゾンビは現代の医者が発案した方法で復活したものです。感染性はなし。この医者の施術を受けた死体は普段は町の住人として普通に暮らし、余所者が来ると仲間を増やすために集団で殺します。田舎の排他的な雰囲気を扱ったホラーで、『ツインピークス』やスティーヴン・キング作品の流行を先取りしていると言えるかもしれません。

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ゾンビ    
zombie

 ゾンビはもともとハイチの言葉で、一種の社会的制裁としてヴードゥー教呪術士にロボトミー化された人格崩壊奴隷のことです。この奇妙な風習に対するアメリカ人キリスト教徒の違和感、恐怖感から、モンスターとしてのゾンビが誕生します。
 今日の私たちのゾンビ像を決定付けたのは、ジョージ・A・ロメロの映画「リビング・デッド3部作」です。ここでは謎の理由により死者が動き出し、生者を襲って喰うのですが、これをゾンビと呼んでいます。ゾンビに喰われた者はやはりゾンビになります。この手の感染性は本来狂犬病の暗喩とされますが、このシリーズほどたくさんのモンスターが登場すると、あまり重要な要素ではなくなっています。むしろ重要なのはゾンビを誕生させた「謎の理由」の方で、明らかに「核の恐怖」のオブセッションが感じられます。
 世紀も変わり、全面核戦争の恐怖も薄れた今日、ゾンビはあまり流行らなくなりました。多くのゲームにおいて、中堅クラスのモンスターとして登場する程度です。
 なお、日本ではこういう「死体が動き出して人を襲う」モンスターを普通「ゾンビ」と呼びますが、英語では「グール」と呼ぶのが普通のようです。英語の作品中で「グール」と呼ばれている場合は、日本人の印象では「ゾンビ」の場合でも「グール」に分類しましたのでご了承ください。

 ゾンビの登場する作品:
 『アイドル・ハンズ』
 『アンデッド』
 『悪魔の毒々ゾンビーズ』
 『アメリカン・ナイトメア』
 『VERSUS』
 『ヴァンパイア』
 『カタクリ家の幸福』
 『カンフーゾンビ』
 『グレイブヤード』
 『ゲロゾイド』(別題『悪霊のはらわた』
 『ゴースト・アーミー』
 『THE お姉チャンバラ』
 『ザ・コンヴェント』
 『ザ・タイピング・オブ・ザ・デッド』
 『ザ・ハウス・オブ・ザ・デッド』
 『サンゲリア』
 『サンゲリア2』
 『ジェネックス・ゾンビ』
 『地獄の門』
 『地獄の門2』
 『JUNK 死霊狩り』
 『シュランケン・ヘッド』
 『ジョジョの奇妙な冒険』
 『死霊危険地帯 ゾンビハザード』
 『死霊のえじき』
 『死霊のしたたり』
 『死霊のしたたり2』
 『死霊のしたたり3』
 『死霊のはらわた』
 『死霊のはらわた2』
 『死霊のはらわた 最終章』
 『新・死霊のはらわた』
 『新ゾンビ』
 『続・死霊のはらわた』
 『ゾンゲリア』
 『ゾンビ』
 『ゾンビ3』
 『ゾンビ’99』
 『ゾンビ2001 ザ・バトルロワイアル』
 『ゾンビ・アイランド・マサカー』
 『ゾンビ極道』
 『ゾンビコップ』
 『ゾンビ・サーガ』
 『ゾンビ ザ・リターン』
 『ゾンビ・チャンネル』
 『ゾンビ伝説』
 『ゾンビドローム』
 『ゾンビ・ナイトメア』
 『ゾンビ復活』
 『ゾンビ屋れい子』
 『ゾンビ屋れい子』
 『ゾンビリベンジ』
 『代官山HORROR』
 『デモンズ’95』
 『東京ゾンビ』
 『ドーン・オブ・ザ・デッド』
 『ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド』
 『ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド 死霊創世記』
 『ナイトライフ』
 『ナチス・ゾンビ』
 『生ごみ 死体遺棄』
 『日本のアルバイト』
 『バイオハザード』
 『バイオハザード』
 『バイオハザードII アポカリプス』
 『バタリアン』
 『バタリアン2』
 『バタリアン・リターンズ』
 『プリースト』
 『フレッシュイーター』
 『墓地裏の家』
 『ホワイト・ゾンビ』(別題『恐怖城』
 『ホーンテッド・マンション』
 『ミートマーケット ゾンビ撃滅作戦』
 『ミートマーケット 人類滅亡の日』
 『ヤング・シャーロック』
 『妖女メロン』
 『妖婆 死棺の呪い』(ビデオ版邦題は『魔女伝説ヴィー』
 『レジェンド・オブ・ザ・リビング・デッド』

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ゾンビ、ロブ・
Zombie, Rob

 ハードコアバンド、ホワイト・ゾンビのリーダーでヴォーカル、作詞。解散後はソロ活動のほか、映画の監督などもやっているようです。
 彼の作品の特徴は、芸術性よりも娯楽性を重視していることでしょう(KISSのファンらしいです)。「格闘技」に対する「プロレス」のスタンスのようなもので、ファンの年齢層もマリリン・マンソンなどより低いと思います(WWFの番組には彼の曲が使われているらしいです)。インディーズ時代はよく知りませんが、ノイジーな不協和音と喚くようなヴォーカル、というホワイト・ゾンビの音の面の傾向は時とともに薄れ、ソロ活動ではついに「娯楽性」の一点だけが残った感があります。ちなみに彼の容姿は、バイカーのような長髪・ヒゲもじゃで、いかにもなコワいおじさんです。
 作詞家としてのロブ・ゾンビですが、ハードコアには定番の死、悪魔、破壊、殺人、暴力、性的廃頽、病気といったテーマのほかに、SF的な内容の歌詞が多いです。子供の頃に好きだったホラー映画、SFマンガなどの雰囲気を再現しているらしく、映画やテレビのナレーションのような音声も曲の導入などによく使っています。あと、ゾンビなどのアンデッドモンスターに関する歌は実はあまりありません。

 ホワイト・ゾンビ、ロブ・ゾンビのアルバム:
 "Soul-Crusher"
 "Make Them Die Slowly"
 "la Sexorcisto - Devil Music Volume One"
 "Astro-Creep:2000"
 "Hellbilly Deluxe"
 "American Made Music to Strip by"
 "the Sinister Urge"

 ホワイト・ゾンビ、ロブ・ゾンビの曲がサントラに使われている映画:
 『ザ・クロウ』 曲:"I'm Your Boogieman"
 『アイドル・ハンズ』 曲:"Dragula"
 『クロウ 復讐の翼』 曲:"Living Dead Girl"

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『ゾンビ』    
Dawn of the Dead

 ジョージ・A・ロメロ監督の「リビング・デッド3部作」第2弾。
 今回は「グール」という言葉も「ゾンビ」という言葉も劇中には出てこなかったと思いますが、クレジットの役名に「ゾンビ」という言葉が出ているのでゾンビに分類してみました。ゾンビ化した人は、判りやすいように顔を青く塗られています。
 ストーリーは前作よりさらにゾンビが増えた時代の話。都市を脱出した4人の男女がショッピングモールに立てこもります。モールを一人占めするという現代人の夢を妙な形で叶えつつ、最後は結局モンスターより人間のエゴの方が怖い、という図式(基本ですが)で落としてきます。傑作。

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『ゾンビ3』    
the Night of Terror / le Notti del Terrore

 アンドレア・ビアンキ監督。一応断っておくと、ロメロ『ゾンビ』『サンゲリア2』とは無関係の作品です。紛い物バカ映画かと思って見てみると実はこれが秀作で、イタリアンホラーの王道を行く優等生映画なのでした。アメリカでのタイトルは「Burial Ground」と言い、日本で発売されているビデオはイギリス版です。
 古代エトルリアの遺跡や周辺の墓地から、何人もの死体が起き出してくる。ゾンビは遺跡発掘中の教授や近くの屋敷に滞在中の人々(カップル3組、知恵遅れっぽい少年1人、使用人2人)を次々に襲う。
 この映画では、ゾンビに食われるとゾンビになります。ゾンビは内臓が好きらしく、人間を両手で絞殺後、内臓を一つ一つ取り出しては、よく揉んで食べます。銃や鈍器で頭部を破壊されると活動を停止します。昔の農民の服装をしたゾンビたちが屋敷を襲う様は、百姓一揆の趣です。大鎌や鍬を手にしていること、対する人間が銃や剣を使うこともあり、制作者の意図と思われます。が、ゾンビが斧で扉を割る、釘を投げナイフとして使う、建物の外壁をよじ登る、数人で丸太を持って破城槌にする、みんなで僧服を着て修道僧になりすます、回転鋸を使う、などの知能プレイはどうなんでしょうか。
 アップを多用した妙な映像ですが、本物のウジやミミズまで使った本格派特殊メイクにはうならされます。しかし、なぜ屋敷の庭にトラバサミが仕掛けてあるのかわかりません。

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『ゾンビ’99』    
Erotic Nights of the Living Dead
/ le Notti Erotiche dei Morti Viventi

 ジョー・ダマト(アリスティーデ・マッサチェーシ)監督。
 リゾート地にすべく無人島を買った建築家が、愛人、船乗りと3人でその「猫島」を訪れる。しかしそこには墓を守る古老と孫娘(ラウラ・ジェムサー)が住み、夜には死者が徘徊するのだった。
 退屈で暗い映画。エロシーンも多いですが、だからどうというわけでもなく。ゾンビは前半の1体以外は終盤まで登場しませんが、これがゾンビというよりボロを着た乞食。ちゃちい偶像と祭壇、意味のわからぬ猫のカット、下らないラストなど、嫌になる要素満載です。
 しかし、こんな駄作をDVDで出すほど日本は裕福なんでしょうか。日本でのビデオ発売が99年だから『ゾンビ’99』というタイトルなのであって、制作は80年です。

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『ゾンビ2001 ザ・バトルロワイアル』    
Zombie '90 Extreme Pestilence

 ドイツの自主映画。全編ビデオ撮り。アンドレアス・シュナース監督。
 目も当てられぬチープな映像。ゾンビが食ってるのは腸ではなく、ソーセージ用のケーシングだ!

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『ゾンビ2001 リボーン・トゥ・キル』    
Prison of the Dead

 デヴィッド・デコトー(ヴィクトリア・スローン名義)監督。ビデオ映画です。
 魔女や異端が幽閉された監獄の跡地で交霊術を試みる若者たち。魔女の幽霊が若者の肉体を奪って脱獄しようとするが、土の中から死刑執行人たちが甦ってそれを阻止しようとする。執行人や憑依された死体はゾンビと呼べなくもありませんが、基本的に幽霊の物語です。
 舞台用の脚本かと思うほど、映像演出と脚本がちぐはぐです。仕事上の義務感から撮った風の、意欲の低さが横溢する駄作。

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『ゾンビ・アイランド・マサカー』    
Zombie Island Massacre

 ジョン・N・カーター監督の超退屈カス映画。
 ツアー客たちがカリブの島を訪れ、ヴードゥーの儀式を見学する。その後バス運転手が失踪し、帰れなくなってしまう。一行は謎の刺客に襲われ、一人また一人と殺されていく。犯人はゾンビか、喰人族か、麻薬密売人か…。
 ツアーガイドと原住民が組んで、客に紛れ込んだ売人から麻薬買い付け金を奪おうとした、というのが真相です。ツアーにはFBIやDEAなどが捜査官を潜入させていましたが、検挙できませんでした。そういうわけでゾンビは最初の儀式のところにしか出てきません。そしてそのゾンビも、儀式をショーアップするための役者に過ぎないと考えた方が良さそうです。つまりこれは犯罪劇であり、モンスターものではありません。

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『ゾンビ映画大事典』    
Encyclopedia of the Living Dead

 伊東美和編著。ゾンビ映画ファン必携の書。自費出版された『ゾンビ手帖』を増補再編集した決定版で、ゾンビ映画レビューは360本分にもなります。
 必携ですが必読ではありません。こんな分厚い本を読んでる暇があったら、1本でも多く作品を見ましょう。ただし、作品よりレビューの方が面白い場合がほとんどです。

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『ゾンビ・クィーン 魔界のえじき』    
the Living Dead Girl / la Morte Vivante

 ジャン・ローラン監督。珍しいフランスのホラー映画。別名『リビング・デッド・ガール』
 田舎の古い城館の地下納骨堂。不法投棄された化学物質の影響で、2年前に死んだ女(少女と呼ぶのは抵抗を感じる)が吸血鬼として甦る。家の周囲を徘徊する女を、生前の親友が保護し、食糧になる生贄を探して奔走する。
 この吸血鬼は日光がOKなので、徘徊する様子は痴呆老人や精神病患者の印象です。物語の見所は後半、吸血鬼が徐々に人間の心を取り戻し、最後には泣きながら血を吸うのに対し、生者である親友の方が殺人鬼になっていく、という逆転の構造にあります。他にも「レズビアン」「官能」といった言葉が売り文句にはありましたが、それほどではありません。正直に言うと、つまらない映画でした。

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『実録外伝 ゾンビ極道』    

 佐々木浩久監督、小沢仁志主演。主人公がゾンビであるという以外は普通の(というか『仁義なき戦い』様式に極めて忠実な)ヤクザ映画。あともう一ひねりしてゾンビの性質を活かした脚本だったらもっと良かったのですが。
 川崎の暴力団組員大場は鉄砲玉として敵組長の命を獲り、その場で返り討ちにあった。だが彼は伝説の極道の霊力を得て、ゾンビとして甦る。既に抗争は手打ちなっていた上に、そもそも抗争自体、一部の者が演出した茶番だったのだが、ゾンビである大場には理解できようはずもない。無差別に殺戮を繰り返す不死身の刺客の存在が、新たな火種となっていく。

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『ゾンビコップ』    
Dead Heat

 名編集者として知られるマーク・ゴールドブラットですが、監督させるとこういう作品を撮ってしまうのです。緻密に計算しつくされたバカさを味わいましょう。
 不死身の強盗団を追う刑事ロジャー&ダグが、死体再生装置を開発した一味と対決する。途中殉職したロジャーは装置によりゾンビとして復活するが、特殊な薬剤を投与しなければ12時間でその肉体は朽ち果ててしまう。二人は時間内に事件を解決できるのか?
 普通の作品だと、外国人など出自や性格の違う刑事同士がコンビを組むのですが、この映画では二人ともバカ、二人ともゾンビになります。仔豚丸焼きと北京ダックのゾンビ、ゾンビ同士が延々撃ち合う切返しなどが見所。「人類の半数は死んでいない」は名(迷)言です。

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『ゾンビ・サーガ 死霊のいけにえ』    
Voodoo Dawn

 ヴードゥー風味あふれる真性ゾンビもの。アメリカ南部の雰囲気が楽しめますが、物語はあまり面白くありません。スティーブン・フィアーバーグ監督。この人は撮影監督をよくやっている人です。脚本にジョン・A・ルッソの名前が挙がっていますがどうだか。
 友人トニーを訪ねて南部に遊びに来たニューヨークの学生ケビンとマイルス。彼らは農場のハイチ移民労働者たちと怪人マクーテ(トニー・トッド)との戦いに巻き込まれる。マクーテは元ハイチ秘密警察の呪術師で、自宅ではゾンビを使役し、さらに人を殺してパーツを集めた人間(ヴードゥーマンと呼ばれる)を作っていた。トニーも既に殺され、部品にされていたのだ。
 出てくるゾンビは奴隷で、毒があるので咬まれると危険です。お約束のヴードゥー人形も登場。

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『ゾンビ ザ・リターン』    
the Dead Hate the Living!

 監督・脚本のデイヴ・パーカーはこれでブラックリスト入り。彼が脚本に名を連ねている以上、『ザ・ハウス・オブ・ザ・デッド』映画版も期待が下がってしまいます。
 廃屋で低予算ゾンビ映画を撮影していたデイヴィッドらは、地下で死体と謎の装置を発見する。急遽それらを大道具に利用することにしたが、装置が突如作動して死者が復活、建物自体が冥界に送られてしまう。
 ゾンビの造形はそこそこですが脚本がダメです。この作品で表現され、観客に伝わってくるのは3点。制作者がロメロライミ、フルチといった先人たちの作品をとても愛していること。そしてゾンビ映画を愛し低予算映画制作に携わる己自身をとても愛していること。そして制作者の才能がとても低いこと。愛の大きさと作品の面白さは比例しない(ともすると反比例する)ことを知っておきなさい。

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『ゾンビ・チャンネル』    
the Video Dead

 ロバート・スコット監督。特殊メイクが良好でゾンビ一体一体に愛着がわきます。
 誤配された謎のテレビ(受像機)が、勝手に作動してゾンビ番組を映す。ゾンビたちは画面を飛び出して山村を徘徊し、人を殺して回る。
 「ビデオ・デッド」と呼ばれるゾンビたちが出現する原理は不明です。彼らは人間からかけ離れた姿になった自分を呪っているらしく、鏡を見ることをいやがり、自分を見て脅える人を殺します。またゾンビ同士を狭い場所に閉じ込めると、狂って共食いを始めます。人間は殺すだけで食わないし、感染もしません。

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『ゾンビ手帖』    
Notebook of the Living Dead

 DARUMA PLANNING編。ゾンビ映画の事典。後に増補して『ゾンビ映画大事典』として再出版されます。旧版は自費出版で、入手は難しいでしょう。
 ゾンビ映画に関するコラム、250作品に及ぶレビュー、そして『死霊のえじき』の幻のシナリオが掲載されています。特に『死霊のえじき』シナリオは『ゾンビ映画大事典』の方では割愛されているのでこちらでしか読むことができません。
 『死霊のえじき』ですが、掲載されているシナリオを読むに、本来はもっと大掛かりな映画だったのだとわかります。南の島のジャングルを舞台に、軍の地下基地を支配する元知事の私兵&ゾンビ兵と、レジスタンスが戦うアクションものなのです。しかしゾンビが人に飼われている状況には変わりはなく、当初の思惑通りに撮れたとしても1作目2作目レベルの傑作になったかどうかはかなり疑わしいと思います。

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『ゾンビ伝説』    
the Serpent and the Rainbow

 ウェイド・デイヴィスの『蛇と虹』をウェス・クレイヴンが映画化。ビル・プルマン主演。
 アメリカ人人類学者デニス・アランは、ゾンビパウダーを入手するために革命前夜のハイチに入った。しかし、調査はトントン・マクートの長官に目をつけられ、彼自身、女魔術師の呪いで夜毎悪霊の夢を見るのだった。
 ハイチ版「エルム街」といった趣の映画。というのは、ここではゾンビ現象は科学的に考察されていて、怖いシーンは全部幻覚という扱いなのです。最後は超能力合戦のようなことをしますが。一瞬だけ、骨壷に閉じ込められた死霊がさまよい出るシーンもあります。

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『ゾンビドローム』    
Ozone

 J.R.ブックウォルター監督のカス映画。ビデオ撮影の自主映画で、最低ランクの映像クオリティです。
 謎の覚醒剤「オゾン」により不死の怪物と化した人々が跋扈する。それを捜査する刑事が酷い目に遭う。というお話。

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『ゾンビ・ナイトメア』    
Zombie Nightmare

 ジャック・ブラフマン監督。話の筋と無関係な上に見栄えのしない埋め草カットが延々と続く、悲惨なまでにつまらない映画。脇役でアダム・ウェストも出演。
 怪力正義漢がひき逃げされて死亡。ヴードゥー魔女の力でゾンビとして蘇り、犯人の不良高校生を次々と殺していく。ついでに父親を殺した犯人にも復讐する。

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『人喰地獄 ゾンビ復活』    
Zombie 4: after Death / oltre la Morte

 クラウディオ・フラガッソ(クライド・アンダーソン名義)監督。1ミリの隙もなくつまらない映画。つまらなさに気を取られてついつい見逃しがちですが、残酷描写はなかなかのものです。
 南の島で医学の研究をしていた科学者たちを地元の呪術師が呪い、ゾンビが島にあふれる。20年後、唯一生き延びた少女(今は大人)はそのことをすっかり忘れ、友人たち(なぜか傭兵)と島を訪れた。一方、20年前の事件の調査に来た学者一行が、洞窟にあった「死者の書」の呪文を読んでしまい、再び大量のゾンビが墓穴から現れる(その前から少数のゾンビは生息していた)。
 ゾンビに食われるとゾンビになります。主人公ジェニーが持つ魔よけを蝋燭の輪の中に置くと、ゾンビはピタリと動きを止めます。しかしゾンビを完全に倒すには、洞窟で「死者の書」に書かれた儀式をしなければなりません…。意外な結末がさらに作品をつまらなくしています。

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『ゾンビ屋れい子』    
Reiko the Zombie Shop

 三家本礼(みかもとれい)作。イカすマンガ。「エコエコ」+「ジョジョ」というのが世間一般の評価らしいですが、全く同感です。ゾンビは出るもののホラーでもなんでもなく、ノリは完全にアクションもの少年マンガです。
 主人公、姫園れい子(中学生→高校生)は死体をゾンビ化し、使役する能力を持つ「ゾンビ屋」で、同じ能力を持つ双子の姉、姫園リルカや幼女連続殺人鬼、百合川サキなどと戦うストーリーです。他にも何人もの「ゾンビ屋」が登場しますが、れい子以外は出来合いのゾンビを召喚する能力があるだけで、新しくゾンビを作ることはできません。既製品のゾンビは、主に歴史上の有名な戦争の戦死者、ならびに虐殺や拷問などの犠牲者で作られています。
 倒した宿敵をゾンビ化して味方にしたり、主人公が早々に死んで自らゾンビになったりと、最初の頃は豪快なプロットが楽しめたのですが、最近は展開が予想の範囲内に落ち着いてきた感があります。その代わりと言ってはなんですが、巻が進むごとに、絵が上手くなる(これはまあよくあることですが)、登場人物全員がどんどん巨乳になっていく(尋常な発達速度をはるかに凌駕)、という愉快なマンガです。

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『ゾンビ屋れい子』    

 稲葉博監督。秋山莉奈は姫園れい子の印象とは随分違いますね。
 原作をエコエコと区別するなら、スピーディーな展開やコミカルなキャラなどの特徴が挙げられるでしょう。しかしながらこのビデオシリーズは、物語は超スロー(原作なら3ページの内容を1時間かけて描く)、ネタもオカルトに偏っており、企画者がその辺を全然理解していない状況が窺えます。残念でなりません。

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『ゾンビライダー』    
Nightmare Beach

 ウンベルト・レンツィ(ハリー・カークパトリック名義)監督。ホテル形式で描く人間模様。
 観光客でごった返すフロリダのビーチで、連続殺人事件が発生する。電気椅子で刑死した暴走族が蘇り、復讐のために人々を高圧電流で殺してまわっているのだと噂されるが…。犯人は人間でした。

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『ゾンビリベンジ』    
Zombie Revenge

 セガのアーケードゲームで、B級テイストあふれる素晴らしい作品です。ホラー映画は怖くなければ笑うしかありませんが、ゲームでも同じだと教えてくれます。
 同社のアクションゲーム『ダイナマイト刑事』の味付けを、やはり同社の『ザ・ハウス・オブ・ザ・デッド』というガンシューティング(拳銃型コントローラーを使用)の世界観にすげ替えた代物です。『ダイナマイト刑事』はカプコン『ファイナルファイト』をコメディタッチにした翻案、『ザ・ハウス・オブ・ザ・デッド』はカプコン『バイオハザード』以来のゾンビゲームブームに便乗した作品と考えられているので、2作品のオリジナリティの部分をそぎ落としてくっつけた無茶な作品と言えるでしょう。しかしこの二番(三番?)煎じ戦法に代表される様々なB級ノリも、ゲーム自体の出来のよさから考えると確信犯かと考えられます。
 一番チープなのは主役キャラ3人の容姿です。ガソリンスタンド店員のような面構えの男(特殊工作員らしい)、胸ばかりでかくてパッとしない女(ちょっと川島なお美に似てる)の2人は、アメリカのB級テレビドラマ役者のようないい加減な造形です。それに比べて3人目の毒島力也というキャラ(なぜか上半身裸)は、明らかに松田優作を模していて、しかも激しく作りこまれています。愛を感じます。好きなところだけ力が入り、他が等閑になるのはB級の証でしょう。ムービーシーンでは、彼がドスのきいた声で日本語で話すと、他の2人が英語で返します。笑うしかありません。
 軍は極秘裏に「リサイクル兵士」の開発に成功したが、研究者たちは口封じのため皆殺しにされた。ある研究者の息子が復讐のため、ゾンビ兵士を街に放つ。ゾンビに食われて死んだ者はゾンビになるので、街は死霊の群れに埋め尽くされた。…設定も独創性に欠けます。
 ドリームキャスト版には、「ゾンビフィッシング」というミニゲームがついています。ゾンビを釣ってその大きさを競うゲームのようですが、いったい何を考えているのやら。

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