『怪奇ミイラ男』    
the Curse of the Mummy's Tomb

 マイケル・カレラス監督。ハマープロのミイラ3部作第2弾だそうです(他は『ミイラの幽霊』と『ミイラ怪人の呪い』)。
 古代エジプトの王子のミイラが発掘され、イギリスに運ばれ、人を襲います。今の観客には考証のへぼさ、セットなどのちゃちさが耐え難いでしょう。特に棺桶はにせウルトラマンのような顔で、インチキ臭さ満点です。珍しいのはヒロインがフランス人なことと、謎の男アダムの存在です。彼の驚くべき正体がこの映画をユニークなものにしていますが、十分活かされていないというか、作品全体にファンタジー感が薄い気がしてなりません。

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骸骨    
skeleton

 死体の中で、肉や内臓などが朽ちて、骨だけ残ったものをスケルトンと言います。日本語では「骸骨」。「髑髏」「されこうべ」などは頭骨のみを指します。モンスターの名前になった場合、これらが不思議な力で動いたり、しゃべったりします。

 骸骨の登場する作品:
 『いきすだま〜生霊』
 『キャプテン・スーパーマーケット』
 『タクティクスオウガ』
 『パイレーツ・オブ・カリビアン』
 『ヤング・シャーロック』
 『妖婆 死棺の呪い』(ビデオ版邦題は『魔女伝説ヴィー』

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『怪談 お岩の亡霊』    

 加藤泰監督。お岩役に藤代佳子。伊衛門役の若山富三郎は毛利正樹監督『四谷怪談』に次ぐ2度目の伊衛門ですが、キャラクターはかなり違います。
 前半はほぼ原作どおりに話が進みますが、味付けはかなり異色。何より伊衛門がヒゲ面小太りの悪党オヤジで、従来の伊衛門像からは大きく逸脱しています。若山富三郎のバイオレンスぶりはもうゴジラ級で、前半の暴力亭主シーン、後半の半狂乱で暴れるシーンに遺憾なく発揮されますが、お梅が一目惚れする部分に説得力がありません。逆に色男ぶりが目立つのが直助(近衛十四郎)。前半から出番も多く、粋な悪党といった雰囲気でしたが、与茂七が生きていると知って改心。一緒に仇討ちに参加してしまう始末です。
 お岩ですが、顔が変わってから死ぬまでのシーンが嫌になるくらい長い反面、幽霊の出番はちょっとしかありません。新婚の床、たらいから手を出す、戸板返し、寺での厄払いのシーンは駆け足で済ませ、仇討ちの途中は登場しません。伊藤邸では突風などの技も披露しますが、その際も自分は姿を見せません。一方、出るたびに「お薬くだせえ」と言う小平の幽霊はいい味出しています。

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『怪談バラバラ幽霊』    

 小川欽也監督。大蔵怪談映画の一つですが、これが一番エロいんじゃないでしょうか。話は本当にどうでもいいです。
 父の莫大な遺産を一人で相続した正子は、父の後妻友子とその愛人、腹違いの姉澄江、弁護士も巻き込んでの争いに巻き込まれる。結婚を誓った伸二郎が実は澄江とつるんでいたと知るにいたり、嫌気がさした正子は遺産を全て慈善に寄付してアメリカに渡ると宣言した。殺してくれと言わんばかりだが案の定殺されて、死体は切断され遺棄される。
 幽霊は終盤まで出てこないわけですが、特撮がしょぼくて悲しくなります。

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『怪 もののけ』    
a Wicked Ghost / 山村老屍

 さすが香港。『リング』のパクリ登場です。ストーリーこそ別物ですが(これがまず冴えない)、原題に「山村」あり、ビデオの引用あり。独自の要素はみなひどく、真似た部分も真似しきれていない、見る者を萎えさせる残念作。梁鴻華(トニー・レオン/リョン・ホンワー)監督・製作。
 交霊術を行った学生が次々と死んでいく。原因はそのとき飲んだ水にあった。水源の池には死体が沈んでいる。…百年前、黄山村のヤンメイ(人美)は夫に姦通の濡れ衣を着せられた上、石で殴り殺された。その怨念は村人66人を殺した上でようやく沈静化したが、現代、ヤンメイの墓所は開発で荒らされていたのだ。

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『帰ってきたドラキュラ』    
Dracula Has Risen from the Grave

 フレディ・フランシス監督。クリストファー・リー主演のシリーズ3作目。
 ドラキュラが倒されてから1年。まだ吸血鬼を恐れている村人に請われ、エルンスト大司教はドラキュラ城を十字架で封印した。だがドラキュラは生きており、城を台無しにされた復讐にエルンストを殺して姪のマリアをさらう。その恋人ポールがただ一人ドラキュラに立ち向かうが…。
 杭を刺すときに祈らないと吸血鬼は倒せません。なので、無神論者のポールにはドラキュラを葬り去ることはできないのです。

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『案山子男』    
Scarecrow

 ビデオ映画。エマニュエル・イティエ監督。
 内気な高校生レスターが母親の愛人に殺された。彼の霊は現場にあった案山子にのりうつり、犯人、自分をいじめた同級生や教師に復讐する。
 何のひねりもない復讐劇。案山子らしく鎌、鋤、トウモロコシなどを凶器に使います。

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『案山子男2』    
Scarecrow Slayer

 ビデオ映画。デビッド・マイケル・ラット監督。前作に輪をかけて悪い出来。トニー・トッドが出てるけど、一体何のつもりやら。
 「案山子男」を題材としたホラーを書き続ける小説家カレブの農場。彼は肝試しに侵入した若者デイヴィッドを案山子男と勘違いして撃ち殺してしまう。デイヴィッドの霊はそこにあった案山子に乗り移り、再び案山子男が誕生した。
 今回の案山子男は、単に恋人に会いたがっているだけのようです。そして途中で会う人々を殺していきます。CGとかもしょぼくて涙を誘いますが、終盤の案山子男同士のバトルは頑張ってました。ぼろを着た二人が殴りあうだけなんですけれども。

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『カタクリ家の幸福』    
the Happiness of the Katakuris

 三池崇史監督のミュージカル映画。沢田研二、松坂慶子ほか。
 リストラ一家が始めたペンション。なかなか客が来ない上に、来た客は次々と死んでいく。一家はそのたびに死体を山中に埋める羽目になる。…途中、半ば腐乱した死体(ゾンビ)が起き上がって一家と一緒に歌い踊るシーンがあります。当サイトとしては竹中直人の歌う「しゃれこうべ」の歌にも注目。
 原作の『クワイエット・ファミリー』(キム・ジウン監督)はブラックコメディの佳作ですが、こちらはアンデッドモンスターは登場しません。

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『学校の怪談』    

 映画の第1弾。平山秀幸監督。生徒より頼りないおっとりした先生の役を野村宏伸が好演。
 1学期の終業式の後、閉鎖された旧校舎に入り込んで出られなくなった生徒たちが、さまざまな怪奇に遭遇する。
 いろんな怪奇が詰め込まれたお子様ランチです。妖怪(てけてけ?あれが?)、巨人、蟹の化け物、歩く人体模型などに混じって、幽霊らしきものもいくつか登場します。あと、6年生の香織というキャラは生霊でしょうか。最後は一人脱出できずに取り残されるのですが、実は長期入院中の生徒で、同じ頃息を引き取ったと知らされるのです。

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『学校の怪談2』    

 平山秀幸監督。岸田今日子が当然のように怖がらせ役で登場。あと野村宏伸は今回は泥棒。
 その山奥の小学校では、昔から4月4日の4時44分には校舎に入ってはいけないと伝えられていた。近くに合宿中だった東京の小学生と地元の小学生が禁を破り、校舎に閉じ込められる。
 相変わらず雑然としていますが、プロットはやや一貫性を増した気がするし、キャラクターもコミカルに誇張されてわかりやすくなってる気がします。ただ、やっぱり怪談は夏がいいですね。タイムスリップの話のようなので幽霊なのかなんなのかわからない連中が多いですが、旧日本軍の兵士が蛆のようなものを垂らしながら天井を行進するシーンは結構良かったです。

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『学校の怪談3』    

 監督が金子修介になってもキャストは引継ぎ。黒木瞳が当然のように母親(再婚を画策する)役で登場。
 病弱で運動会に参加できなかった小学生タイチの幽霊が、運動会の日にだけ現れるという。伝説の「タイチの鏡」に吸い込まれた小学生らが、鏡の世界でのっぺらぼうなどの妖怪に遭遇する。
 キャラ配置やプロットがしっかりして品格がありますが、演出が演劇的というか漫画的というか、リアル志向じゃないので怖くありません。

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『学校の怪談4』    

 平山秀幸監督。
 夏休み。大昔に津波で海底に沈んだ海沿いの小学校の周辺で、子供たちが神隠しに遭う。かくれんぼをしていて津波に巻き込まれた子供たちの霊が、一人逃げ延びた鬼役の子供を探しているのだ。
 これまでの派手なキャラもの路線からノスタルジック田舎夏休みに変更。登場するのも幽霊ばかりです。子供には渋すぎる気もするし怖さもアップしたのではないでしょうか。子役の演技にやや不満。

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『カルマ』    
Inner Senses / 異度空間

 羅志良(ロー・チョーリン)監督。張國榮(レスリー・チャン)、林嘉欣(カレーナ・リン)ほか。
 幽霊を見るという孤独な女ヤン(マ)は、精神科医ジム(占)の治療を受けて完治した。やがて二人はつきあい始めるが、今度は霊など信じないジムの方が幽霊を見始め、夢遊病になる。彼は中学時代に彼女ユー(楡)が自殺した記憶を封印していたのだった。
 形式的には幽霊は全部幻覚として否定してますが、気持ちの上では全肯定。画面のあちこちを徘徊する死人たちは入魂の出来で、観る者の胸を熱くします。特に女子中学生ゾンビの群れは感涙。墓守は『ステーシー』が映画化されると聞いたときは、こういうのを想像したんですけどね。
 香港的過剰によりホラーやロマンスから半歩踏み出し、笑いに到達してしまっている快作。なのですが、撮影中から心身に不調をきたし始めた張國榮が約1年後(03年4月1日)に投身自殺し、この映画は彼の遺作になってしまったのです。笑っていいのか悪いのかわかりません。

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『カルマ2』    
New Blood / 熱血青年

 鄭保瑞(ソイ・チェン)監督。
 若い男女が心中を図り、女は死んだが男は3人の男女から輸血(AB−型)を受けて一命を取り留める。一緒に死ねなかった恨みから死んだ女は幽霊となり、3人のドナーを呪い殺したり、憑依して恋人を殺そうとしたりする。
 最近静かで暗い雰囲気のホラー映画がアジアではたくさん作られていますが、怖さやサスペンスがなさ過ぎると退屈なだけです。そういう例。

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『カンフーゾンビ』    
Kung-Fu Zombie / 烏龍天師招積鬼

 華一泓監督。出演は荘泉利(ビリー・チョン)、權永文、江島など。バラエティ豊かな死者が登場する伝説のカルト映画です。
 方鵬(フォン)は功夫の達人、方家のドラ息子である。村の悪党、老太(ロータイ)は方鵬との決闘の助力にと、眉唾な道士にキョンシーを作らせる。だがキョンシーは逆に老太を襲い、殺してしまった。老太は幽霊になって道士を脅し、甦るための新しい肉体を探させる。苦労の末に強そうな死体を見つけるが、死びと返しの術の途中、死体は勝手に甦る。彼の名は冷血(レン)。方家の宿敵で、七傷七殺拳を究めた不死身の殺し屋だったのだ。冷血は方家に討ち入るが、父のしごきの成果か、方鵬は冷血を返り討ちにした。心臓が弱かった方鵬の父は、仇敵を倒した嬉しさのあまり笑い死にする。そして老太はその死体に乗り移ることにした。方鵬の父(復活した老太)につきまとわれて迷惑した道士や老太の子分たちは、方鵬と協力の上、老太の魂を本人の死体に戻して成仏させようとする。だがそこへ、人の生き血を吸って復活した冷血が戻って来た。方鵬は高僧の助力を得て、遂に冷血を葬り去る。
 大混乱の複雑怪奇なプロットですが、この映画のメインはその場その場のバカらしいギャグです。せっかくのアクションも、撮り方が悪いようで全然迫力がありません。
 冒頭のキョンシーは道士が茅山(ぼうざん。道教の一派)術で作っています。清朝の服装や腕を前に伸ばして跳ねる様子はたしかにキョンシーですが、朽ちた死体はキョンシー本来の姿ではありません。むしろゾンビに分類すべき施術でしょう。冷血の方がキョンシーに近いですが、こちらは西洋の吸血鬼のような仕上がりです。方鵬の父は死体に別人の霊が憑いた珍しいアンデッドモンスターですが、英題の「ゾンビ」はこれのことを指すのかもしれません。出番が一番多いのは幽霊です。

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