『バイオハザード』    
Resident Evil

 カプコンのアクション・アドベンチャー。世にゾンビゲームブームを巻き起こしました。他社が似たようなゲームを出したほか、キャラクター商品もいろいろ発売され、遊園地のお化け屋敷や演劇、映画にもなっています。
 このシリーズに登場するゾンビは、バイオテクノロジーの実験台や、実験中の事故の犠牲者です。動きは緩慢で、頭部を破壊するまで動き続けます。ゲームの後半に登場する強いモンスターは、あまりゾンビっぽくありません。
 プロデューサーの三上真司がホラー映画のファンで、熟慮したカメラワークが最大限に恐怖を演出しています。しかし逆に、これが爽快感やゲーム性を犠牲にしているとも言えるかもしれません。

シリーズ作品:
 『バイオハザード』
 『バイオハザード2』
 『バイオハザード3 LAST ESCAPE』
 『バイオハザード コード:ベロニカ』
 『バイオハザード0』
 『バイオハザード4』
 『バイオハザード・アウトブレイク』
 『バイオハザード・ガンサバイバー』
 『ガンサバイバー2 バイオハザード コード・ベロニカ』
 『ガンサバイバー3 ディノクライシス』
 『ガンサバイバー4 バイオハザード ヒーローズネバーダイ』
 『ディノクライシス』
 『ディノクライシス2』
 『鬼武者』
 『鬼武者2』
 『鬼武者3』
 『幻魔鬼武者』
 『デビル メイ クライ』
 『デビル メイ クライ2』
 『バイオハザードGAIDEN』
(他にも「ディレクターズカット」などといった派生作品も多数あります。)

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『バイオハザード』    
Resident Evil

 同名の人気ゲームをポール・アンダーソン監督で映画化。
 斬新な構図、特殊メイクとCGを併用したゾンビのデザインなど、ゾンビ映画の(技術面での)新たな可能性をいろいろ見せてくれます。しかし、ゾンビの出番が少ない、個々のゾンビのカットが短い、ミラ・ジョヴォヴィッチがちゃんと脱がない、などなどゾンビ映画としては不満も残ります。そもそもゾンビ映画ではなくアクション映画として制作された作品なので当然のことなのですが、ゾンビ映画にはもう(興行面での)可能性はないのだと思い知らされました。
 ゲームのファンなら、冒頭の屋敷のシーンやゾンビ犬の襲撃は楽しめるはず。『ゾンビ』のパロディのシーンなどもあります。続編も出ました。

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『バイオハザードII アポカリプス』    
Resident Evil: Apocalypse

 アレクサンダー・ウィット監督。
 ラクーン市では感染拡大が始まっていた。既にT−ウイルスに感染し戦闘マシーンとなったアリスは、ジル(警官)らと共に封鎖された街の脱出を図る。
 露骨に続きがありそうなアンダーソンの脚本。画面は暗すぎ、カット割りは細かすぎてアクション映画としてはいまいち。ゾンビもおまけに過ぎません。あと、アリスとジルのキャラが被ってませんか。

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『パイレーツ・オブ・カリビアン 呪われた海賊たち』    
Pirates of the Caribbean:
the Curse of the Black Pearl

 ゴア・ヴァービンスキー監督。ディズニーランドのアトラクション「カリブの海賊」を映画化したらこうなるらしいです。変わった点は特にない、普通に面白い娯楽映画。
 コルテスに黄金を奪われたアステカ人は、金貨に呪いをかけた。その呪いで、金貨を持ち出したブラックパール号の船員たちは呪われ、生ける屍となって海をさまよっている。呪いを解いて人間に戻るには、金貨を全部石櫃に返し、奪った者の血で購わなくてはならない。
 呪われた船員たちは日中や屋内では人間の姿をしていますが、月光に当たると骸骨の姿を現します。一切の感覚を失った亡者ですが、不死身な点は好都合ですね。

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バーヴァ、ランベルト・
Bava, Lamberto

 多分、世界一才能のない映画監督。マリオ・バーヴァの息子。

ランベルト・バーヴァ監督作品(年代順):
 『デモンズ』
 『デモンズ2』
 『グレイブヤード』
 『バンパイア 最後の晩餐』
 『デモンズ5』

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『バタリアン』    
the Return of the Living Dead

 ダン・オバノン監督。原題にあるように、『ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド』の続編的性格の作品です。正確には『ナイト…』が実話に基づいた話だったという設定の後日談です。
 特殊メイクが秀逸な上、登場する若者のファッション、BGMから、軍のみせる対処方法まで、いろいろ80年代テイストが楽しめる作品です。ちっとも怖くないのが残念ですが。
 この映画のゾンビは、一般的なゾンビ像からはだいぶ外れています。実際に、作中でも「ゾンビ」と呼ばれているわけではありません(「ゾンビ」という言葉は出てきますが)。軍の開発した謎のガスを浴びると、死体が動き出し、生者も同じモンスターに変化します。これを焼いた煙が雨で地面にしみこむと、墓場の死体も同様にモンスターになります。このモンスターの増殖方法は以上のとおりで、食われた人がゾンビになるという感染性は無いようです。また、このモンスターは人間と同程度のスピードで活動し、知性もあって会話することができます。彼らの1体が語るところによると、彼らは普段痛みを感じていて、人間の脳を食うことでそれが癒されるそうです。
 このモンスターたちを、日本語字幕では「バタリアン」と勝手に呼んでいます。個体についても「ハーゲンタフ」「タールマン」「オバンバ」という名前を勝手につけています。一説に東宝東和宣伝部の暴走が原因とのことですが、邦題『バタリアン』は間違いなく天才の命名でしょう。後に「オバタリアン」という言葉が生まれるほど、日本人の心に衝撃を与えたタイトルでした。

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『バタリアン2』    
the Return of the Living Dead Part II

 ケン・ウィーダーホーン監督。
 軍が例のガスの入ったタンクを紛失し、子供が偶然見つけて開けてしまう。近くの墓地から例によってゾンビたちが起き出し、町を全滅させる。主人公たちは変電所にゾンビをおびき寄せ、高圧電流でゾンビたちを焼き殺した。
 前作に比べ、「モンスターと戦うヤングたち」という図式が鮮明です。主人公が小学生ということもあり、子供っぽい筋書きになってしまいました。また、核廃絶への祈りを嘲うかのような前作の投げやりなエンディングも影を潜め、ハッピーエンドで終わっています。凡作と呼んでいいでしょう。
 またダナ・アッシュブルックが出ていました。デビュー作のようです。

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『バタリアン・リターンズ』    
the Return of the Living Dead 3

 ブライアン・ユズナ監督。1作目2作目は見なくてもいいカス映画ですが、本作は違います。真面目に丁寧に作ってあり、しかも非常に趣味が悪いので、見ていてうんざりします。
 父が軍でゾンビ兵士の研究をしていると知った青年カートは、交通事故で死んだ恋人ジュリーの死体を抱えて基地に潜入、ゾンビ化ガスをかけました。しかし甦ったジュリーは血に飢え、徐々に人間としての感情を失っていきます。カートだけは手にかけないものの、悪人善人の見境なく殺しては貪り食い、ゾンビを増やしていきます。父に説得され、軍の捕獲隊にジュリーを引き渡したカートですが、軍のゾンビに対するひどい仕打ちを目にし、再びジュリーを連れて逃げることにします。ですが彼も暴れだしたゾンビの1体に咬まれてしまい、最期はジュリーと二人で焼却炉に身を投じるのでした。
 テーマはずばり「生死を越えた愛」。死にゆく恋人を連れてのお先真っ暗な逃避行、厳格な父との葛藤。いい内容ですが、普通は吸血鬼でやるところをゾンビでやったため、一気にB級になってしまいました。ここにあるのは甘美な死ではなく、醜い亡者の永遠の飢餓感です。飢えを紛らわすためにジュリーは体中に針などを刺すのですが、これがまた独特のパンク感を出しています。ジュリー役のミンディ・クラークの演技も見どころ。

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『ハッピーキョンシー 女子高生てんこもり』    
the Happy Ghost / 開心鬼

 高志森(クリフトン・コオ)監督。黄百鳴(レイモンド・ウォン)が主演・製作。羅明珠(ボニー・ロー)、李麗珍(ロレッタ・リー)、林珊珊(サンディ・ラム)が出演するアイドル映画。シリーズ第一弾。
 清代の学者が古寺で首吊り自殺した。そして現代、女子高生が偶然雨宿りしたその古寺から首吊りに使った縄を持ち帰り、縄に宿っていた学者の魂が幽霊として蘇る。レイモンド・ウォン演じる幽霊(キョンシーではない)が持ち前の超能力で、運動会の競技で手助けしたり、恋のトラブルを解決したりと、ドラえもん的に女子高生の身近な悩みを明るく楽しく解消していきます。80年代の能天気さの上に、案外深刻だった若者の日常がさらりと描かれていて面白い作品。
 「開心」シリーズ出演者は日本で言えばおニャン子クラブみたいなものでしょうか。ロレッタ・リーはその後も色々出てましたが、主演のボニー・ローは見ません。あとサンディ・ラムの中国語名に「珊」という字を使いましたが、本当の漢字は「女」偏に「冊」で[女冊]という字です。悪しからず。

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『ハッピー・キョンシー2 女子高生したいほうだい』    
Happy Ghost II / 開心鬼放暑假

 シリーズ2作目。高志森(クリフトン・コオ)監督、黄百鳴(レイモンド・ウォン)主演・製作は変わらず。袁潔瑩(フェニー・ユン)、羅美薇(メイ・ロー)、陳嘉玲(チャーリン・チャン)はこの作品で「開心少女組」というユニット名を与えられていて、日本でも香港アイドル映画ファンには知名度が高く、なぜか評価も高い作品です。
 前作幽霊が超能力者に転生し、女子校の教師になる(何年後の話なのか?)。猛烈かつ古典的な教師いじめで何度も担任が辞めているクラスだったが、超能力を利用(相変わらずスポーツの試合に悪用)して次第に生徒たちの心を掴んでいく。
 キョンシーでないのは言うに及ばず、幽霊の登場時間もわずか数分、夢の中で超能力の制御方法を伝授する部分だけです。原題の「放暑假」とは「夏休みになる」という意味ですが、実際に夏休みが始まるのは映画の最後10分だけ。してみると、中国語、英語、日本語の題の中で作品の内容に一番近い言葉は「女子高生したいほうだい」ということになります。

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『ハッピーゴースト サイキック歌姫転生の巻』    
Happy Ghost III / 開心鬼撞鬼

 シリーズ3作目で、日本で見られるのはここまで。主演・製作は黄百鳴(レイモンド・ウォン)、監督は杜h峰(ジョニー・トゥ)。タイトルロールの張曼玉(マギー・チャン)のほか、袁潔瑩(フェニー・ユン)ら開心少女組の面々も出演。
 前作の教師が続けて主人公ですが、学校が共学になっています。今回彼は、売れずに自殺したアイドル歌手の幽霊が転生するのを偶然邪魔してしまい、幽霊から執拗な嫌がらせを受けます。頼みのご先祖様も弁髪を切られてしまい、超能力を使って対抗することもできません。彼女の心をなだめて転生していただくしか解決策はないのですが…。
 アイドル幽霊は、憑依、サイコキネシスのほか、時間を止めたり相手の体を磁性化したりできます。望んだ相手にだけ自分の姿を見せることができます。分娩直前のタイミングで胎児に憑依するような形で転生します。

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『バッフィ 恋する十字架』    
Buffy the Vampire Slayer

 ジョス・ウェドン製作総指揮の超人気学園ファンタジーTVドラマ。話は映画『バッフィ/ザ・バンパイア・キラー』の続編ですが、キャストは違います。日本ではビデオ(『ナイトフォール』というタイトル)が3巻出ているだけで、あとはCATVなどでしか見ることができません。
 特殊メイクは映画版より凝っていますが、相変わらず吸血鬼の設定は適当です。しかも狼男や悪魔など他のモンスターも登場し、収拾がついていません。また、TVドラマで長い時間がかけられるにもかかわらず、バッフィの「なぜ戦うのか」という動機はちっとも説明されません。その一方で、青春系ドラマの部分には力が割かれています。高校生らしく恋や勉強のこと、友達や家族との関係で悩んだりする部分が丁寧に描かれているほか、映画ではいなかった何人もの仲間が登場して物語を盛り上げます。その辺が人気の理由であり、放送が長続きする秘訣のようですが、それなら別に吸血鬼の話なんかしなくてもいいんじゃないかとも思います。
 見どころはやはりバッフィ役、女優サラ・ミシェル・ゲラーでしょう。巨乳童顔の娼婦のようなヴァンパイアハンターがへなちょこ格闘ワザ(だんだん上手くなるのですが)と子供じみた正義感を振りかざす様は圧巻です。日本のSF・ファンタジーもののマンガやアニメでやってることと同じといえば同じなのですが、やはり実写はわけが違います。ガリ勉の親友、魔族の彼氏、いじわる女、などのキャラクター配置も実にマンガです。また、墓守は初期のエピソードしか見ていませんが、人気があれば無限に続くのがアメリカのドラマ。今は大学生編になっているらしいです。この辺もマンガとよく似ていますね。それと、アニメ化もされるらしいです。

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『バッフィ/ザ・バンパイア・キラー』    
Buffy the Vampire Slayer

 フラン・ルーベル・クズイ監督。後にTVドラマ化されて人気を博すバッフィはこの映画でデビューしたわけですが、はっきり言って駄作です。よくまあ続きをやろうという気になったものです。主人公バッフィ役にはクリスティ・スワンソン。ドナルド・サザーランドやルトガー・ハウアーなども出演しています。
 カリフォルニアに住むバカ女子高生バッフィは、自分が吸血鬼と戦う運命をもつ「ヴァンパイア・スレイヤー」の後継者であると知らされます。そして吸血鬼と戦います。
 ジョス・ウェドン(脚本)ら制作者たちは、吸血鬼の能力、生態、歴史などの世界観を描くことには興味を持っていないようです。吸血鬼は出てきて倒されるだけの当て馬のように扱われています。一方、主眼と思われる若者の成長という主題も、ちゃんと描写されているとは言えないでしょう。「すちゃらか高校生が使命を与えられ、自分の役割を自覚して事を成す」というプロットなのですが、戦う決意をするにいたる心理的過程が全く描かれていません。しかも元のバッフィは重度のバカで、わずか数日で「意味ある人生」を送るタイプの人間に生まれ変わるのは著しくリアリティを欠きます。

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『花』    

 櫻井そうしのマンガ。謎のアンデッド食人鬼「花」に出会い、道を踏み外す人々を描いています。
 美形の殺人鬼「花」は、死んでも月曜日になれば肉体が修復されて復活します。ただしそのたびに記憶はなくしています。なので復活するたびに、ただ旺盛な食欲に駆られて人を殺していくのです。好きな食べ物は人肉、ポテチ、マスタードで、人肉でも腸や巨乳が好きなようです。
 人々は「花」に惹かれ、ある者は一緒に殺人を犯し、またある者は毎週「花」自身を殺しますが、「花」に関わった者は必ず命を落としていきます。この一線を越える過程の心理を描いてくれないのが残念ですが、ホラーマンガの文法では、何の説明もなしにイってしまっても許されるのでしょうか。

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『花嫁吸血魔』    

 並木鏡太郎監督。清純派池内淳子がイエティのような吸血鬼を体当たりで演じた新東宝幻の作品。この仕打ちはプロデューサー大蔵貢のいじめだとも噂されていますが、真相や如何に。
 藤子(池内淳子)は芸能界デビューを目指すバレエ学校の生徒。映画の役をもらい、貞夫(寺島達夫)と婚約して幸福の絶頂にあったが、嫉妬した英子、喜代子、里枝の三人にピクニックの途中崖から突き落とされる。結果顔面に重傷を負い、女優への道は断たれた。母親は病気と借金苦もあって自殺。藤子は遺言に従い、曾祖母だという奇怪な老婆お琴様(五月藤江)の山小屋を訪ねた。お琴様のまじない(陰陽道?)でさらにひどい顔になった藤子は短刀で自害。しかしお琴様は血筋を守るため、自分の命と引き換えに藤子を復活させた。顔の治った彼女は影山小夜子としてミスコンにデビューする一方、夜は毛むくじゃらの怪物として復讐を開始した。
 貞夫はその後里枝と結婚するのですが、藤子がその新婚初夜を襲うのでこういうタイトルです。お琴様の血を飲んで復活しましたが、襲った相手の血は飲んでいません。怪物形態のときは透明化して壁のすり抜けなども可能。お琴様に(物理的に)植え付けられた復讐心と貞夫への愛との間の葛藤がドラマ的な焦点ですが、見所はやはり特殊メイクでしょう。腕が毛だらけになるシーンも1ショットで池内淳子の白い顔がオセロの中島知子みたいになるシーンも、技術的には素晴らしいものがありますが、それが引き起こすのは恐怖よりも笑いです。

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『ハムナプトラ 失われた砂漠の都』    
The Mummy

 当代随一のミイラ映画。素晴らしいCGが見ものです。スティーブン・ソマーズ監督。『ミイラ再生』のリメイクです。
 ファラオの妾との禁断の恋の末、ファラオを殺害した神官イムホテップは、生きたままスカラベに食われるという極刑に処され、死者の都ハムナプトラに封印されました。三千年後、「死者の書」の呪文を不用意に読んでしまったことで、イムホテップのミイラが動き出します。彼は人を襲って肉体のパーツを奪い、自分の体を修復します。他にも、昆虫の大群を操ったり、砂嵐に変身して自由に移動したり、「出エジプト記」ばりの大災害を起こすこともできます。また、部下の神官たちのミイラを使役することもできます。愛人アナクスナムンをも復活させようとしますが、「アメン・ラーの書」の呪文の前に敗退し、死亡します。
 ホラー映画ではなくアクションものとして作られた作品ではありますが、人死には多いし、モンスターの演出にはゾンビ吸血鬼骸骨剣士の影響が見られます。
 一般的に映画というものは、女性が見に行かなければ大ヒットにはなりませんが、この作品は女性向けの要素をふんだんに含み、かなりのヒットを飛ばしました。まず、行動派のイギリス人(エジプト人との混血ですが)女性エジプト学者がヒロインで、ワイルドで多少いかがわしい山師がヒーロー、という王道の主人公設定。敵の親玉がセクシーハゲ男で、三千年の時を越えて愛を成就しようというロマンチックな動機の持ち主であること。加えて、舞台がエジプトであること、奴隷同然の現地人がいっぱいいること。死者の都を守る秘密結社のリーダーもなかなかの男前です。あとは知的なイギリス人とか、サドのアーリア人とかがいても良かったとも思いますが、そんな贅沢を言ってもしょうがありません。

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『ハムナプトラ2 黄金のピラミッド』    
The Mummy Returns

 スティーブン・ソマーズ監督。『ハムナプトラ』の続編。
 CGは前作よりグレードアップしているのですが、その方向性が妙にファンタスティックで、まるで『FINAL FANTASY』などのRPGのムービーのようでした。古代の人とアヌビスの軍勢の戦いのシーンや、終盤のスコーピオン・キングとの戦いのシーンなどのことです。それが墓守としては気に入りませんでした。
 逆に好きだったのは、大英博物館のミイラが動き出してロンドンの街を走りまわるシーン。リアルで怖かったです。まあ、墓守は「安全なホームと思ってた場所で戦う」というシチュエーションが好きなので、『007』もイギリス国内で戦うシーンは好きですし、ロボットアニメとかでも敵が基地に攻めて来るとわくわくします。これも同様のシチュエーションかもしれません。
 ロック様大暴れの番外編『スコーピオン・キング』ですが、アンデッドが出てこないので扱わないことにします。

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『ハムレット』    
Hamlet / Гамлет

 グリゴーリー・コージンツェフ監督。絵がすごく綺麗な上に音楽(ドミトリー・ショスタコーヴィチ)も良く、オリヴィエ版より上といわれるのもよくわかります。ただ、パステルナークのロシア語訳を元にしているらしいのですが、台詞がだいぶ違うので妙な感じでした。シェイクスピアの映画化とは別物ととらえた方が良さそうです。
 父ハムレットの幽霊ですが、予想していたよりはるかにかっこいい登場で驚きました。

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『ハムレット』    
Hamlet

 シェイクスピア劇をマイケル・アルメレイダ監督が現代劇として映画化。イーサン・ホーク主演。
 現代を舞台にしており、ロケ地、服装、小道具など全部現代のニューヨークなのですが、台詞は基本的にシェイクスピアそのままです。舞台では普通ですが、コスプレ主体の映画では珍しい演出方法ではないでしょうか。わかっていても、王への忠誠とか貞操がどうこうとかいう台詞に違和感を感じる瞬間があります。しかし全体的に見れば、拳銃、ビデオ、電話、パソコンなどの現代的な小道具を巧みに取り入れるなど、成功しているのではないでしょうか。主人公ハムレットの内向性は写真や映像の愛好で表現され、ビデオ映像で心象が描かれる場面がいくつもあります。叔父に見せる劇も、この映画ではムービーの上映という形になっています。
 一方、父王の幽霊はプレーンな幽霊として処理されました。消えるときこそ透明度が上がりますが、基本的に見た目は生者と変わらず、会話したり人に触れたりできます。

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『ハロウィン』    
Halloween

 テーマ曲が有名な大昔のサイコ・ホラー。技法が未発達で今見ても全く面白くありません。ジョン・カーペンター監督。
 ハロウィンの夜、少年マイケル・マイヤースは実の姉を刺し殺した。そして15年後、施設を脱走した彼は故郷の町に舞い戻る。今度は妹のローリーを狙っているのだ。彼の伝説は町の子供たちの間で、ハロウィンに現れるブギーマンとして語り継がれていた。
 最後まで不死身っぷりを見せ付けるブギーマンですが、まだアンデッドというほどではありません。シリーズの顔はむしろルーミス医師役のドナルド・プレザンスの方です。

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『ハロウィン2』    
Halloween II

 リック・ローゼンタール監督。眠い映画。公開当時も面白くなかったに違いありません。
 話は前作の直後から。銃で撃たれたはずのマイケルがローリーを追って病院に現れる。不死身のブギーマンもルーミス医師の自爆攻撃で焼死か…?

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『ハロウィン3』    
Halloween III: Season of the Witch

 トミー・リー・ウォーレス監督。シリーズ他作品とは無関係な番外編。
 病院に駆け込んだ男が殺され、殺し屋も自殺した。ハロウィン用のマスクに謎が隠されているらしい。医師と被害者の娘は手がかりを追ってシルバーシャムロック町の工場へ潜入し、社長の恐るべき陰謀を知る。従業員も殺し屋も全て人造人間。マスクに仕込まれたストーンヘンジの欠片がテレビCMのサブリミナルなメッセージ(ロンドン橋の曲)を契機にエネルギーを発し、人体からゴキブリやヘビなどを発生させるのだ!
 まったく不条理で無理のあるシナリオですが、怖いは怖いのでOKです。

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『ハロウィン4 ブギーマン復活』    
Halloween 4: the Return of Michael Myers

 ドワイト・H・リトル監督。
 マイケル・マイヤースもルーミス医師も案の定生きていた。2作目の10年後、マイケルは施設を脱走しハドンフィールドへ。今は亡きローリーの娘ジェイミーが今回の標的だ。
 ブギーマンことマイケル・マイヤースですが、そろそろ不死身っぽくなってきます。町の人たちも彼の危険性は十分理解しているので、ルーミス医師が孤軍奮闘するという構図はありません。

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『ハロウィン5 ブギーマン逆襲』    
Halloween 5: the Revenge of Michael Myers

 ドミニク・オセニン=ジラール監督。
 まずは前作のラストを全否定。レイチェル殺害は夢オチで、マイケルは逃げ延びていた。そして1年後、ジェイミーはテレパシーでマイケルが生きていることを知る。
 もうマンネリもいいところですが、ルーミス医師の異常さが際立ってきていて、面白さでは一番かもしれません。茂みの中を車から逃げるカットは秀逸。

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『ハロウィン6 最後の戦い』    
Halloween 6: the Curse of Michael Myers

 ジョー・チャペル監督。
 前作からさらに6年後。ジェイミーは謎のカルトに監禁され、マイケルの子供を産まされていた。赤ん坊を連れて脱走を試みるがマイケルの追跡により死亡。これを聞いたルーミス医師は、旧マイヤース邸に住むストロード(ローリーの里親)一家を守るためにハドンフィールドへ向かう。一方、赤ん坊はトミー(1作目に出てきた子供)の手に渡った。トミーは最初の事件以来、マイケルの呪いを解くためにオカルト研究に没頭していた。
 というわけでマイナーキャラが続々登場。オカルト的にブギーマンを説明しようと試みていますが、3作目を見た人は端から無視ですな。

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『ハロウィンH20』    
Halloween H20: Twenty Years Later

 スティーヴ・マイナー監督。ドナルド・プレザンスが死んだので、今回からジェイミー・リー・カーティス(すっかり熟女体型に)が主役に返り咲き。
 ローリーの事故死は偽装だった。彼女は今は名を変えてカリフォルニアで私立学校の校長としての人生を送っていた。故ルーミス医師邸を襲ってそれを知ったマイケルが、ローリーとその息子ジョン(ジョシュ・ハートネット)を狙う。…2作目の直接の続編で、からはほぼ無視。当局がローリーだけ保護してジェイミーをほったらかすはずありません。
 残酷描写は大人しめ。最後は首をはねられるブギーマンですが、それくらいじゃシリーズ完結しません。

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『ハロウィン レザレクション』    
Halloween Resurrection

 2作目のリック・ローゼンタール監督。
 前作の最後で殺されたのは身代わり。生き延びたマイケルはついにローリーを殺害した。そしてハロウィンの夜、マイヤーズ邸で6人の男女が夜を明かすネット番組が生放送される。主催者はヤラセのつもりだったが、やっぱりマイケルはやってくる…。
 目新しさを求めすぎかとは思いますが、視聴者からリアルタイムでメール(助言)が来るといったシチュエーションは、新たなサスペンスの模索として評価できます。しかし、ブギーマンでそれをやる理由は全然わかりません。

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『バンパイア・イン・ベニス』    
Nosferatu in Venice / Nosferatu a Venezia

 アウグスト・カミニート監督。
 風光明媚なベニスで、ハンターのカタラノ教授(クリストファー・プラマー)らがノスフェラトゥ(クラウス・キンスキー)と戦うが全く歯が立たない。しかしノスフェラトゥ本人は処女の真実の愛を得て永遠の眠りにつこうと思っていた。
 とにかく綺麗。そして退屈。夜中のつもりのようですが昼に撮影しており、日中の市街を傍若無人に暴れまわるキンスキーは怖るべき映像に仕上がっています。

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『バンパイア・コップ』    
the Haunted Cop Shop / 猛鬼差館

 劉鎮偉(ジェフ・ラウ)監督。張學友(ジャッキー・チュン)、許冠英(リッキー・ホイ)ほか。
 警察署は旧日本軍将校クラブ跡地に建っていた。そこから吸血鬼三宅一生大佐が現れ、囚人を咬んで眷属を増やしていく。凸凹刑事コンビと上司の女刑事が事件を追う。
 悪い意味で昔の香港映画。話がしっちゃかめっちゃかで盛り上がりません。見どころは、頭にパンツを載せて「北斗七星のポーズ」をとると、吸血鬼を退散できるというけったいな設定です。日本人は全然日本人に見えないし。

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『バンパイア 最後の晩餐』    
Dinner with the Vampire

 非才ランベルト・バーヴァが撮ったにしてはかなりまともな部類に入る映画。
 ホラー映画監督ユーリックの正体は吸血鬼だった。彼は若い俳優をオーディションで集めて古城に招待すると、一夜のうちに自分を殺してみろ、さもなければ血を吸って亡者にしてやる、とゲームを持ちかける。
 杭などでは吸血鬼を倒すことはできません。鏡に映らないはずの彼はなぜか古い映画に出演しており、そのフィルムを焼くことで倒すことができます。

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『バンパイア★ばんぱいあ』    

 飯坂友佳子のマンガ。続編に『たすけて!バンパイア』(表題作のほか『もっとあぶないバンパイア』『ちょっとホラーでバンパイア』などを収録)もあります。飯坂友佳子には『バトルガール藍』という強烈なアンデッド・サイボーグものがありますが、本作に登場する吸血鬼はアンデッドかどうか不明です。他にも『ヴァンプに薔薇薔薇』という作品もあり、吸血鬼ファンという作者の主張を裏付けています。
 主人公比奈は高校生。日本に古くから住む吸血鬼だという響は、日光に当たって灰化してしまうが、灰を吸った夏樹に憑依する。二重人格的に響になったり(容姿すら変わる)夏樹に戻ったりする彼氏とのラブコメ。優しくて奥手な夏樹と軽薄でスケベな響の性格のコントラストがポイントで、本当に二重人格なだけではないかと穿って見てしまいました。物語後半では別の人物に憑依します。
 憑依後は日光も平気で、吸血も怪我を治すとき以外は不要のようです。変身中は鏡には映りません。響は不老不死ですが、アンデッドではない感じもします。猫の幽霊が登場するエピソードがあります。

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