『麗怪美男』    

 香代乃のマンガ短編集。表題作『麗怪美男』は霊界から来た刑事と称するデーモンの話。アンデッドが登場するのは4編目『美修羅のごとく』だけです。絵は綺麗なのですが、どの美形キャラも似たような顔だし、話も特に愉快ではなく、墓守としては今ひとつ面白くありませんでした。
 『美修羅のごとく』は、自殺したために死者の霊体を食う妖怪「美修羅」になってしまった美形の侍(?)の話。主人公なお香(臨死体験を機に彼が見えるようになった)の愛を得て成仏します。

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『霊幻師弟 人嚇人』    
the Dead and the Deadly / 人嚇人

 午馬(ウー・マ)監督。洪金寶(サモ・ハン・キンポー)主演。林正英(ラム・チェンイン)が道士を演じた最初の作品。
 チュウ(朱宏利)の親友ルーチョ(馬麟祥)が死んで帰郷した。実はルーチョが遺産を得るために仕組んだ芝居だったのだが、チュウは妻を名乗る女が怪しいとにらんだ。実際妻は悪い女で、情夫らと共謀してルーチョを本当に殺してしまった。チュウは幽霊になったルーチョに肉体を貸して復讐を遂げさせるが、今度は自分が死んでしまう。

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『霊幻追鬼』    
the Trial / 追鬼七雄

 于仁泰(ロニー・ユー)監督。許冠英(リッキー・ホイ)、鄭則士(ケント・チェン)ほか。お笑いコンビが怖い目に遭う話ですが、呆然とするほど退屈です。
 キョンシー移送に偽装して阿片を運ぶ悪党7人が、知らずに死体の運搬を請け負ってしまう。死体は事故で硫黄の底なし沼に落ち、人を襲い始める。
 ブーム以前の映画で、本物のキョンシーは出ません。死体は溶解ゾンビといった感じのモンスターで、自分を殺した相手に復讐するために出てきます。

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『霊幻道士』    
Mr. Vampire / 彊屍先生

 リッキー・ラウ(劉觀偉)監督。サモ・ハン・キンポー(洪金寶)製作。
 キョンシーブームの原点であり、ラム・チェンイン(林正英)の道士が有名なこの作品。でも今見ると、「息を止めていればキョンシーには気付かれない」とか「もち米でキョンシー毒を防げる」とか様々な知識は身につくのだけれど、話全体はどうもまとまりがなくてすっきりしないですね。つまり「古典」。
 原題に「彊」という字を使いましたが、本当の漢字は「弓」偏ではなく「歹」偏です。悪しからず。

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『霊幻道士2 キョンシーの息子たち!』    
Mr. Vampire 2 / 彊屍先生續集 彊屍家族

 劉觀偉(リッキー・ラウ)監督、洪金寶(サモ・ハン・キンポー)製作総指揮のシリーズ2作目。元彪(ユン・ピョウ)、林正英(ラム・チェンイン)ほか出演。邦題と同義の『霊幻道士 彊屍的兒子們』というタイトルもあるようです。
 現代、親子3体のキョンシーを発見した教授と助手2人。助手の一人が咬まれてしまい、駆け込んだ医者は前作の道士の子孫だった。道士は新聞記者の仁(ゼン)とともにキョンシー退治に向かう。一方、息子キョンシーは逃げ込んだ家の子供と友達になっていた。街でひと暴れした両親キョンシーは息子の呼び声に引き寄せられ、待ち構えていた道士と警察によって倒される。息子キョンシーは麻酔をうたれた上、道士が葬ってやることになった。
 一番の見せ場はトラック爆破シーン周辺だと思いますが、「前作は見てないのか?」、「この子も大きくなったら人の血を吸うようになるぞ」など仰天の台詞も要チェックです。母親キョンシーは剣で倒されます。父親キョンシーは拳銃はおろか、スティンガーを食らっても平気でしたが、化学薬品により破壊されました。また、咬まれた教授の助手は治療に必要なキョンシーの血が得られず、キョンシーになってしまいました。
 原題に「彊」という字を使いましたが、本当の漢字は「弓」偏ではなく「歹」偏です。悪しからず。

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『霊幻道士3 キョンシーの七不思議』    
Mr. Vampire 3 / 霊幻先生

 シリーズ3作目。七不思議どころか、キョンシーがそもそも登場しない不思議な映画。劉觀偉(リッキー・ラウ)監督、洪金寶(サモ・ハン・キンポー)製作総指揮。出演は林正英(ラム・チェンイン)、呉耀漢(リチャード・ン)ほか。
 幽霊兄弟とつるんでインチキ商売をしている道士マオは、女妖術師率いる盗賊たちと道士リン率いる村人たちとの争いに巻き込まれる。諭されて改心した道士マオは、幽霊兄弟と別れて道士リンに協力することにした。一度は倒したはずの盗賊や女妖術師は、幽霊となって再度襲ってくる。
 壷に封じ込めた幽霊を完全に倒すために、壷ごと唐揚げにするという設定があります。しかし鍋の温度が低すぎて揚がらず、全身ドロドロの白いバッター(衣)に包まれた幽霊というとんでもないモンスターが登場します。大爆笑間違いなしです。
 あるシーンで幽霊兄が自分の死体に憑いてアニメイトするのですが、これだけは辛うじてキョンシーと呼べるかもしれません。あとは幽霊と呼ぶべきモンスターばかりです。

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『霊幻道士完結編 最後の霊戦』    
Mr. Vampire 4 / 彊屍叔叔

 シリーズ4作目。完結どころかまだまだ続きます。リッキー・ラウ(劉觀偉)監督。サモ・ハン・キンポー(洪金寶)製作。出演は陳友(アンソニー・チェン)、午馬(ウー・マ)、錢嘉樂(チン・ガーロウ)、李麗珍(ロレッタ・リー)など。シリーズの顔とも言うべき林正英(ラム・チェンイン)が出演していません。
 隣人同士の道士と和尚の二人は、ケンカばかりしているのです。子供じみたケンカとはいえ、術の限りを尽くす壮絶なもの。弟子の二人はあきれております。そんなある日、死んだ皇族をキョンシー化して都へ移送する一行が近くを通ります。そして突然の雷雨によりキョンシーが凶暴化。一行は見る間に殺されキョンシー化されました。4人は力を合わせてキョンシーたちと戦います。
 全編スラップスティックなアクション・コメディ。お子様は大喜びかと思います。キョンシーは清朝の皇族で、咬まれた者もキョンシーになります。徐々にキョンシー化する症状を詳細に表現しているほかは、もち米を使った通り一遍の戦い方です。キョンシーは最後大量の毒薬と蛇を飲まされ、内部から崩壊しました。
 原題に「彊」という字を使いましたが、本当の漢字は「弓」偏ではなく「歹」偏です。悪しからず。

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『霊幻道士5 ベビー・キョンシー対空飛ぶドラキュラ!』    
One Eyebrow Priest / 一眉道人

 林正英(ラム・チェンイン)監督主演(初監督)。他に銭小豪(チン・シウホウ)、呂方(ルイ・フォン)など。“New Mr. Vampire 2”という英題もあります。
 宣教師に倒された吸血鬼の死体が掘り出され、ひょんなことから復活してしまう。術の効きにくい西洋のモンスターを相手に苦戦する道士。前半はひたすら退屈、後半の林正英のアクションと本物を使ったコウモリ、ヘビ、カエルのシーンが見所。
 ベビー・キョンシーは道士に使役されているイタズラ者で、特に誰かと対決するわけではありません。一方の西洋人吸血鬼(そもそもドラキュラではない)は飛行能力がありません。感染能力はあり。他に樹の精のようなモンスターと、遊女の幽霊が本筋と関係ないところで登場します。

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『霊幻道士6 史上最強のキョンシー登場!』    
the Musical Vampire / 音樂彊屍

 唐偉成(トン・ウェイシン)監督、製作。林正英(ラム・チェンイン)をはじめ馮淬帆(フォン・ツイファン)、李麗珍(ロレッタ・リー)などおなじみの出演者が出ており、日本ではシリーズ6作目とされていますが、製作会社が違う番外編です。主演は李家声(リー・カーシン)、熊欣欣(ホン・ヤンヤン)。
 盗まれたキョンシーが西洋人科学者の実験で凶暴化し、お札、太極図はおろか日光すらものともしない無敵のモンスターとなる。ラム・チェンインの道士は、キョンシーに化けて本人から強さの秘密を聞きだす(キョンシー語で)部分、最後に鍼でキョンシーを倒す部分に登場するのみです。五色旗から舞台が満州国とわかりますが、この頃も死体に宮廷服を着せてたんでしょうかね?
 このキョンシーは孫娘に与えたオルゴールの音を聞くと沈静化します。これが「ロンドン橋」のメロディなのですが、戦う間ずっとこのミニマルな曲を口笛で吹き続けるシーンがあり、聞いていると気が狂いそうになります。原題、英題はそういう意味なので、ミュージカル映画を期待して観ると落胆することになるでしょう。
 原題に「彊」という字を使いましたが、本当の漢字は「弓」偏ではなく「歹」偏です。悪しからず。

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『霊幻道士7 ラストアクションキョンシー』    
Mr. Vampire 5 / 新彊屍先生

 シリーズ本流、劉觀偉(リッキー・ラウ)監督の5作目。林正英(ラム・チェンイン)をはじめ許冠英(リッキー・ホイ)、銭小豪(チン・シウホウ)、楼南光(ビリー・ロウ)、呉君如(サンドラ・ン)といったおなじみのメンバーが登場します。
 道士の初恋の相手は、今は隊長と結婚し、近く出産を控えている。しかし悪嬰(水子の悪霊)が助産婦に憑依し、胎児を奪って転生しようとしていた。また隊長は父親がキョンシー化した影響で、謎の病気に罹っていた。弟子2人の活躍でなんとか隊長の病気は解決した道士は、強敵悪嬰と対決するために霊媒チャイの助力を頼んだ。
 道士、悪嬰、キョンシーの三つ巴のバトルが売りですが、チャイが道士に執拗に言い寄るシーンとか、道士が回転寿司を食べて下痢の状態で戦うシーンとか、とにかく下ネタの連発で品のない作品になっています。それさえ我慢すれば、悪嬰の操る様々な妖術は見ものです。逆に、キョンシーは今回添え物に過ぎません。
 原題に「彊」という字を使いましたが、本当の漢字は「弓」偏ではなく「歹」偏です。悪しからず。

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『霊幻道士8 空飛ぶドラキュラリターンズ』    
Exorcist Master / 驅魔道長

 午馬(ウー・マ)監督。林正英(ラム・チェンイン)主演。日本で「霊幻道士」と呼ばれるシリーズとしては最後の映画。
 ひどい脚本ですが解読するとこんな感じ:ラム道士の反対を押して、閉鎖されていたカトリック教会が再開された。神父を招聘したのは村の悪人たちで、教会を隠れ蓑に麻薬取引をしようとしていたのだ。最初はウー神父と反目していたラム道士だが、教会に封印されていた吸血鬼が甦って人を襲い始めたのを知り、協力してこれを退治する。…教会関係者が見たら卒倒しそうな内容ですよ。
 『霊幻道士5』との関係は不明。西洋人吸血鬼は依然ドラキュラではありませんが、今回はちゃんと空を飛びます。2つのモードを使い分け、吸血鬼モードのときは道術が効かず、キョンシーモードのときは十字架やニンニクが効きません。血を吸うことで同族を増やしていました。ほかに冒頭の(本筋とは全く無関係な)アクションシーンでは女幽霊も登場。

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『霊幻百鬼』    
Hocus Pocus / 人嚇鬼

 洪金寶(サモ・ハン・キンポー)製作。若い頃の甄子丹(ドニー・イェン)が主演。林正英(ラム・チェンイン)も登場。
 演劇一座の若者たちがいたずら幽霊に憑かれて大騒ぎになる。座長は一計を案じ、皆で閻魔の裁判を演じて幽霊から成仏できない理由を聞き出した。劇場の下に遺骨が埋まっているのだ。骨を探して埋葬してやったが、それは別人の骨で、怒った悪霊が彼らを襲う。
 なんかテンプレートそのままといった感じの脚本。あんまり、というか全然面白くありません。

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『霊幻勇士VS黒魔術 シャインゴースト』    
Shy Spirit / 羞羞鬼

 荘胤建(ジョン・インギン/ツォイ・インチェン)監督。
 秀秀はデブに風呂を覗かれた上、屋根の上から落下してきたそのデブに当たって死亡。これでは浮かばれるわけもなく、死んだときの姿(全裸)でこの世をさまよう。母親や恋人や道士が仇を討って成仏させようと試みるが、デブは警察やラマ僧を抱きこんで対抗する。
 多少エッチなのが特徴といえば特徴ですか。唐突なアクションもそこそこですが、全体としてはまあ、駄作でしょう。

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『ツイ・ハークの霊戦英雄伝』    
Tsui Hark's Vampire Hunters / 美麗傳説

 錢昇[王韋](ウィルソン・チン)監督。製作脚本が徐克(ツイ・ハーク)。脚本も退屈だわ絵作りも最低だわで目も当てられない駄作。暗闇でアップを多用した格闘シーンなど撮ってはいけないという教訓が得られました。
 生き別れの師父と宿敵キョンシー王を探して旅する道士4人が、長者の婚礼に出くわす。その家では一族の死者を蝋漬けのミイラにする習慣があったが、世の人は家の財産を守るキョンシーだと噂していた。財産を狙う花嫁の兄は悪の道士を呼び、ミイラをキョンシー化して混乱を起こそうとする。

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『レザー・ブレイド』    
Razor Blade Smile

 ジェイク・ウェスト監督のB級アクション映画。
 凄腕の殺し屋「死の天使」の正体は、女吸血鬼リリス・シルバー(アイリーン・ダリー)である。メンバーを暗殺された秘密結社「イルミナティ」は復讐のため、「吸血鬼ハンター」プライス刑事に彼女を追わせる。暗殺を依頼したのは何者なのか。リリスは相棒で愛人の「プラチナム」を人質にとられ、イルミナティと対決する。その首領こそ、彼女の親吸血鬼であるブレイク卿だった。
 本作では吸血鬼の性質として、日光は平気、コウモリや霧には変身できない、などと逐一説明してくれます。銃で撃たれても死にませんが、回復には血が必要です。血を吸われた人は死ぬだけで、吸血鬼の血を与えられた者が吸血鬼になります。
 イギリス人の低俗な部分が濃縮されたような下衆な映画です。ピチピチの黒ビニールスーツに身を包んだ女吸血鬼が、ララ・クロフトまがいの二丁拳銃を披露し、『ハイランダー』ばりに日本刀を振り回します。胸が悪くなるようなエロ・シーン、へっぽこアクション、最後のオチは英国風のユーモアで決めてきます。

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『レジェンド・オブ・ザ・リビング・デッド』    
Crossclub the Legend of the Living Dead

 ビデオ映画。オリバー・クレケル監督。同じカス映画でもドイツ製は特にひどい。何のためらいもなくゴミと断言できる一品です。
 カルト教団が警察の手入れで全滅し、儀式に使われていた赤ん坊と兄の少年だけが生き延びる。その30年後。赤ん坊は冴えない中年男(警官?)に成長していた。彼は突然現れた男の指示で、スペイン、デンマークと各地を転々とし、ゾンビによる世界征服を企む兄と対決する。
 謎の液体が死体の脳を満たすと甦り、ゾンビは生者を食っては増殖していきます。

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『レディ・ヴァンパイア 淫夢伝説』    
Embrace of the Vampire

 アリッサ・ミラノが脱いでるという以上の意味は全くない映画。アン・グールソード監督。
 吸血鬼(名前なし)は生前の恋人の生まれ変わりを見つけた。女子大生シャーロットである。あと3日以内に彼女の血を吸えば二人は永遠の命を得られる。吸血鬼は夢の中でシャーロットを誘惑し、彼女の処女を奪おうとする男子学生たちを次々と蹴散らす。
 邦題を見るとアリッサ・ミラノが吸血鬼になる話のようですがさにあらず。一応女吸血鬼は登場しますけれども。

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