『ファイナルファンタジーX』    
Final Fantasy X

 スクウェアの人気RPGシリーズ第10弾。プレイステーション2用ソフトです。
 この作品世界では、死者は正しく供養しないとこの世に残ってしまいます。そして、千年前の大戦争の死者たちの思念が巨大怪獣「シン」を産み出し、何度倒されても何年か後にまた現れて大災害をもたらすのです。というのは場当たり的に「シン」を倒すだけで、しかも戦う際、同じく死者の思念の産物である「召喚獣」の力を借りているからです。「召喚獣」が次の「シン」に変わってしまう悪循環を断つべく、主人公らは自力で「シン」を倒し、死者を供養するための旅に出ます。
 敵も味方も生者と死者が当たり前に共存する妙な話。ゲーム内容自体はわりと普通です。

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『フィアー・ドット・コム』    
FeardotCom

 こちらは『リング』の優秀なパクリ。十分消化し切れてる印象です。ただ、スタイリッシュな(つまり10年前のフィンチャーのような)映像は格好良すぎて怖くありません。サイトの映像もブロードバンド過ぎてどうも。ネットに繋いだことのない人が作っている印象を受けました。全体的に物語は日本風、見た目はヨーロッパ風です。
 ウィリアム・マローン監督。スティーヴン・ドーフ(『ブレイド』)、ナターシャ・マケルホーン。チョイ役でウド・キアーも出演。
 スナッフサイト「フィアードットコム」を見た者は、白髪の少女の幻覚を目にし、48時間後に必ず死んでしまう。最初の犠牲者の霊がネット上に巣食い、犯人が捕まる日まで閲覧者を呪い殺し続けるのだ。

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フェイク・シェンプ    
fake Shemp

 アメリカのコメディ番組『三バカ大将the Three Stooges』に出演していたシェンプ・ハワードShemp Howardは、シリーズ撮影の途中で死んでしまいます。撮りさしのエピソードは代役を使って完成させたのですが、この代役たちはぜんぜん似ていませんでした。ファンは彼らを「偽シェンプfake Shemp」と呼んで面白がることにしたということです。
 サム・ライミ『死霊のはらわた』シリーズのスタッフは、『三バカ大将』の大ファンだったのです。そこでモンスターや体の一部だけを演じた役者たちを、わざわざ「フェイク・シェンプ役」と名づけてクレジットしました。以来アメリカの映画業界では、後姿だけの代役とか、監督の友人が一瞬だけ特別出演した役とか、そういう役名のない役のことをフェイク・シェンプと呼ぶようになりました。

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ブギーマン    
boogeyman, bogeyman, boogieman

 映画『ハロウィン』シリーズに登場する不死身の殺人鬼マイケル・マイヤースの呼称ですが、他の作品でも同様のモンスターがブギーマンと呼ばれています。ブギーマンとは元来普通名詞で、子供を脅かすお化けのことです。

 ブギーマンの登場する作品:
 『ハロウィン』
 『ハロウィン2』
 『ハロウィン4』
 『ハロウィン5』
 『ハロウィン6』
 『ハロウィンH20』
 『ハロウィン レザレクション』

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『ブギーマン 死霊の鏡』    
the Boogey Man

 ウーリー・ロメル監督。スザンナ・ラヴ(監督夫人)主演。
 母親の愛人に虐待された幼い兄妹が、ナイフで愛人を刺し殺した。その後20年間トラウマを抱えて暮らしていた兄妹の前に、愛人の霊が現れる。
 愛人の霊(ブギーマン?)は殺される自分を映した鏡に宿っていて、鏡の破片の近辺にいる人を刺し殺します。対象は無差別で、兄妹に復讐する気は特にないようです。鏡の破片を水につけると炎が上がり、霊を処理できるようです。『ハロウィン』シリーズのブギーマンとは趣がだいぶ異なりますね。続編あり。

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『不成仏霊童女』    

 花輪和一のマンガ。表題作のほか数編の短編を収録。
 自分が死んだことを自覚できない童女の霊が現世を遍歴し、様々な人に出会う。悪人、欲深い者、人を呪う者などが業の報いを受ける。…そういう感性の人なんでしょうが、田舎の坊主が語る説教交じりの怪談のような話を次々と描き続ける作者はかなり怖いと思います。
 ほかに、富士樹海で自殺者をゾンビに変える業者の話『存美』など。ゾンビは納豆パンを食い、漫画家のアシスタントとして働きます。

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『ふたり』    
Chizuko's Younger Sister

 大林宣彦監督。赤川次郎原作の小説を映画化。尾道&久石譲で下品なまでに魅せます。ドラマでもやっていたと思うのですが、そっちは見ていません。
 優等生の姉、千津子(中嶋朋子)が事故死してまもなく、ドジで影の薄い妹、実加(石田ひかり)のもとに千津子の幽霊が現れるようになる。実加は姉の幽霊に励まされ、姉の影ではない一人の人間として成長していく。
 優等生の姉(兄)が死んで、目立たなかった妹(弟)が成長するという、日本のマンガなどに類型的なストーリーです(普通は双子ですが)。ですが「おまえが代わりに死ねばよかった」などと発言するお約束のキャラも登場せず、多少波乱はあるものの、殺伐とした部分は全くないまろやかな雰囲気に仕上がっています。この作品が特徴的なのは、姉が幽霊として登場し続け、かつ妹を良い方向に導いている点です。幽霊は実加にしか見えておらず、別人格などと解釈したほうが良いでしょう。

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『フライトナイト』    
Fright Night

 トム・ホランド監督。80年代コメディ・ホラーの名作。内容の愉快さだけでなく、特殊メイクも良い具合です。
 高校生チャーリーは隣人が吸血鬼だと知ってしまい、命を狙われる。親も警察も信じてくれない。友人エド、恋人のエイミーと共に、ホラー番組の俳優ピーター・ビンセントに助力を頼むが、彼とて本当にヴァンパイアハンターなわけではない。そのうちエドとエイミーは吸血鬼の毒牙にかかってしまう。果たして素人2人に吸血鬼は倒せるのか?
 はっきり言って主役はイビル・エド(スティーブン・ジェフリーズ)です。甲高く笑いながら乱暴を働くタイプの悪ガキで、アメリカン・ホラーには必須の存在ですが、この手のキャラがここまでフィーチャーされている映画は多くありません。咬まれてからは吸血鬼(狼に変身する)として活躍しますが、この特殊メイクの力の入り具合は並々ならぬものです。
 吸血鬼は杭を打たれたり、日光に晒されると死滅します。招待されなければ家屋に入れない、鏡に映らない、十字架に弱い(ただし不信心者が持っても無効)、蝙蝠に変身する、などの定番設定のほか、咬まれても夜明けまでに親ヴァンパイアを倒せば人間に戻れる設定もあります。また、吸血鬼ジェリーの同居人ビリーもアンデッドモンスターですが、正体はよくわかりません。銃弾を食らっても生きていて杭で死にましたが、日光は平気だし鏡にも映っていました。
 続編もあります。

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『フライトナイト2 バンパイアの逆襲』    
Fright Night Part2

 トミー・リー・ウォーレス監督。前作に比べるとパッとしません。説明しにくいのですが、愛が感じられず、機械的に作った続編という印象です。
 チャーリーは3年間精神科の治療を受け、ようやく吸血鬼事件が気のせいだったと納得できるようになった。そこへ前回の吸血鬼の妹が、何人もの子分を連れて復讐のために登場する。魅惑的なダンサーである彼女はピーター・ビンセントの仕事(ホラー番組のホスト)を奪い、チャーリーからは毎夜少しずつ血を吸って徐々に吸血鬼にしていく。完全に吸血鬼になる前に親ヴァンパイアを倒さなければならない。
 チャーリー君、別の彼女と付き合っています。この彼女は心理学の学生で、吸血鬼は妄想だとしてなかなか信じてもらえません。大学生になったこともあって、よりエッチなシーンも。しかし、性衝動がどうこうとか、精神分析的な読み方ができるのかと期待して見ていると、肩透かしを食わされます。結局、味気ない二番煎じでしかありません。
 十字架、杭、聖水はもちろんですが、吸血鬼の口に薔薇の花束を突っ込んで倒す、祭壇布(?)に包んで溶かす、聖餅(ホスチア)を十字架型に並べて棺に入れなくする、などの珍しい戦い方が描かれています。あとは昆虫を食う謎のマッチョや、カルチャークラブ風な吸血鬼のファッションなども興味を引く部分でしょう。

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『ブラッディ・マロリー』    
Bloody Mallory

 堕天使アバドンを奉ずるグールたちに教皇が誘拐された。マロリー率いる特殊部隊のメンバー(オカマのヴェナ、超能力少女ティナの計3名)が異次元空間へ乗り込む。
 マロリーは下級悪魔だった夫の血液を体内に取り込んだ半神半人のハンターです。彼女らが普段倒しているグールは、死体を食い処女の身体で繁殖する生物で、格闘か銀弾で倒すことができます。他に吸血鬼のヴァランティーヌという敵キャラも登場。
 日本アニメの雰囲気の再現を試みたようですが、肝心の部分がなってない印象です。売りのはずの娯楽性やアクションも所詮はフランス映画で、目新しさ、どぎつさに欠けています。80年代に現れていたらそこそこ評価できたかもしれない作品。ジュリアン・マニア監督。

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『ブラディ・ヴァンパイア』    
the Breed

 マイケル・オブロウィッツ監督の吸血鬼映画。微妙ですが一応墓守はアンデッドだと判断しました。
 吸血鬼が人間と共存している世界で、女子大生連続吸血事件を捜査するスティーブ(人間)とアーロン(吸血鬼)の刑事コンビ。事件の背景には、人間との共存の是非をめぐる吸血鬼内部の政治的争いがあった。人間側は報復として吸血鬼だけに感染するウイルスを撒く準備をしている。二人は無事事件を解決し、共存を破局から救えるのか?
 近未来ということなのか、描かれているのは『1984年』的な管理社会で、ファッションは1920年代(前後)風です。ただしそれに何の意味があるのかは不明。アーロンはナチに家族を殺された後吸血鬼になったという設定ですが、これらは全て、最初に「ハンガリーでロケ」ありきの口実的な設定に思えてしかたありません。それと、後半の戦闘シーンで吸血鬼たちは『マトリックス』よろしくワイヤーで飛びながら銃を乱射するのですが、これがとってつけたようで妙な感じです。
 人血の代替となる薬品が開発されたため、吸血鬼と人間が共存できるようになったという設定です。吸血鬼はごくまれに血友病の暗喩として使われますが、クリオ製剤の発明を髣髴とさせる話でした。

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『ブラム・ストーカーズ マミー』    
Legend of the Mummy

 ブラム・ストーカーの"the Jewel of the Seven Stars"を、ジェフリー・オブロウ監督が3度目の映画化。ちなみに前の2度のタイトルは『王女テラの棺』と『ピラミッド』
 古代エジプトの王女テラのミイラが、再現された儀式により現代に甦る。人々はそれを阻止するでもなく、ただおろおろするばかり。
 というか、王女テラを含め、登場人物全員がどういう意図で行動しているのか不明で、プロットもくそもありません。舞台を現代(20世紀末)のカリフォルニアにしている時点で失敗は決定でしょう。ブラム・ストーカーの情緒に流されまくりの原作を、現代の映像でやるのは滑稽極まりないです。

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フランコ、ジェス・
Franco, Jess

 ヘスス・フランコとも。トラッシュの帝王と呼ばれ、なぜか人気の高い監督です。たしかにジャン・ローランとかよりずっといい映画を撮るんですけど。

ジェス・フランコ監督作品(年代順):
 『吸血のデアボリカ』
 『吸血処女イレーナ』

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『プリースト』    
Priest

 ヒョン・ミンウのマンガ。日本語版は現在6巻まで刊行。
 舞台は開拓時代の西部。中世から続く悪魔ベシエルと邪神テモザーレの永遠の戦いに巻き込まれ、死から蘇った神父イワン・アイザックの物語。序盤、テモザーレを奉ずる邪宗の徒がゾンビを使役しています。噛むことで感染し、銀製品や火などで破壊されます。ゾンビは序盤だけでもう出てこないのかもしれませんが、イワンやベシエルは元人間のアンデッドです。
 『ヘルボーイ』と『妖怪人間ベム』を混ぜたような濃密な画風。帯には「ダーク」「暗黒」の文字が躍っておりますが、むしろ「こってり」とかいう単語が似合うエピックでリリカルな物語だと思います。「味噌ラーメンは醤油ラーメンよりダークだ」というならこの作品も「ダーク」でしょうけれど。

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『ブレイド』    
Blade

 スティーブン・ノリントン監督。
 洋画の吸血鬼映画では、吸血鬼の獣じみた性質を強調したものが多い気がします。それに対して日本のマンガの吸血鬼は、退廃的でロマン主義的な性質を強調したものが多いと思います。前者の方が多分吸血鬼本来の姿なのでしょう。
 さてこの作品『ブレイド』は、かなり後者、貴族的な、日本のマンガによく出てくる吸血鬼像を提供しています。全体的に劇的、大げさな演出なこともあり、非常にマンガっぽい映画になっています。墓守はそういう映画が大好きです。
 しかし純血吸血鬼のリーダー格のキャラクターを演じたウド・キアーですが、何にでも出演しますね。三船敏郎ばりですなあ。

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『ブレイド2』    
Blade II

 ギレルモ・デル・トロ監督。ウェズリー・スナイプス主演のアクション・シリーズ第2弾。アクション監督にドニー・イェン(甄子丹)を迎え、チェコを舞台にし、『ドゥーム』なセット、アメコミな画角、日本アニメやプロレスの影響も随所に見られる濃密なオタク映画になっております。
 ヴァンパイアから血を吸う新種族「リーパーズ(死神族)」に対抗するため、ブレイドに停戦を申し込んだヴァンパイアたち。だが共同戦線の裏には陰謀が…。
 人間はほとんど出てこない無茶な吸血鬼映画です。本作のヴァンパイアとリーパーは、それぞれ普通の作品での人間と吸血鬼の関係に相当します。吸血鬼は1作目と同様非常に人間的かつ貴族的。一方のリーパーは吸血鬼であると同時にフランケンシュタインでもある、という興味深いモンスターですが、日光以外の弱点を克服した「進化した吸血鬼」というわりには理性がないし動きも動物的です。見た目はノスフェラトゥのようにハゲ頭ととがった耳を持つクラシカルなタイプで、これがまたすごい皮肉です。古の吸血鬼は進化論「我々はかつて獣だった」に対する違和感を表現しており、人間に進化する前の半ば動物のような状態の存在として描かれていました。一方この作品のリーパーは、遺伝子操作に対する不信感などが「我々はさらに進化すると獣のようになる」というおかしな不安へとすりかわった上でモンスター化した存在だと言えるでしょう。
 衝撃度では1作目に及ばないものの、細部へのこだわりが楽しい続編。3作目も楽しみですね。

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『ブレイド3』    
Blade: Trinity

 今度の敵は吸血鬼の先祖で日光も平気なドレイク(ドラキュラ)。一方ハンター「ナイトウォーカー」たちは、吸血鬼を撲滅するウイルスを開発していた。…シリーズ完結編。
 1作目2作目と見てきた人に対してこれはないだろう、というぐらいつまらない3作目。デヴィッド・S・ゴイヤー監督。設定もキャラも全く魅力がなく、それがアクションシーンをも盛り上がらなくさせていますね。

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『フレッシュイーター ゾンビ群団』    
Flesh Eater

 ビル・ハインツマン製作・脚本・監督・主演。全カットが退屈なワンマンショー。この酷さはもう犯罪と言っていいでしょう。
 ハロウィンの日、農場から1体のゾンビ(ハインツマン)が掘り出され、人を食ってはゾンビを増やしていく…。『ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド』の猿真似なので、もちろん主人公は自警団に撃たれて死にます。食われてゾンビになるのはゾンビになるのはほぼ全員若者。自警団は全員おっさんです。特に意味はないでしょうが。

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フレディ    
Fred(Freddy) Krueger


 『エルム街の悪夢』シリーズに登場するモンスターで、夢魔の一種です。
 フレッド・クルーガーは20人の子供を殺した殺人鬼でしたが、エルム街の住人のリンチに遭い、焼き殺されました。数十年後、彼はエルム街の住人(主に子供)の夢に登場します。夢の中で彼に殺された者は、実際に死んでしまうのです。助かるためには夢から覚めるのが手っ取り早いですが、確実に倒すにはもっと別の方法をとる必要があります。作品によって多少違いますが、要するにフレディは都市伝説なので、人が彼を怖れるのをやめれば消滅してしまうのです。
 焼け爛れた顔、指の鉤爪、ソフト帽に赤緑ボーダーのセーターというキャッチーな外見と、夢の中でのみ人を殺すという明快な設定で、1作目が公開されるやたちまち人気のモンスターになりました。演じるロバート・イングランドの素顔が優しそうなおじさんで、そのギャップもまた印象的です。キャラクターの創造という面では大成功で、さすがクレイヴンと言わざるを得ません。しかしながら、最後にはかならず子供たちに倒される「愛すべき悪役」になってしまい、ちっとも怖くありません。
 フレディは、子供に無理解で時に暴力を振るう父親の象徴だと言われています。少なくとも、フレディに殺される子供は大抵、周囲の大人の無理解が原因で死んでいきます。「大人は判ってくれない」と思っている子供には、フレディも怖いモンスターかもしれません。

 フレディの登場する作品:
 『エルム街の悪夢』
 『エルム街の悪夢2』
 『エルム街の悪夢3』
 『エルム街の悪夢4』
 『エルム街の悪夢5』
 『ザ・ファイナル・ナイトメア』
 『ザ・リアルナイトメア』
 『フレディvsジェイソン』

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『フレディvsジェイソン』    
Freddy vs. Jason

 ロニー・ユー監督。最新の映像技術&映像スタイルで描く2大殺人鬼の対決。10年遅かった感はあるものの、ホラーファン待望の大イベントです。
 スプリングウッドの大人たちはフレディの記録を封印し、子供たちがフレディの夢を見ないようにした。忘却され力を失ったフレディだが、自分に匹敵する殺人鬼ジェイソンの存在を知り、一計を案ずる。ジェイソンを騙してエルム街に向かわせ、子供たちを殺戮させるのだ。人々がそれをフレディの仕業と思い、再び恐怖心を抱けば、フレディは力を取り戻すことができる。だがジェイソンを操ることなど不可能だったのだ。やがて2人は獲物を奪い合うようになる。
 キャラクター性を前面に押し出した脚本で、怪獣映画風のバトル作品になっています。恐怖はそっちのけですが、女は全員巨乳、男は全員アホ面という基本は外していません。最大のライバルに投げ飛ばされ、ぶった切られるロバート・イングランドの嬉しそうな顔は必見。

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『フロム・ダスク・ティル・ドーン』    
from Dusk till Dawn

 ロバート・ロドリゲス監督。クエンティン・タランティーノ脚本
 ロドリゲス、タランティーノ両者の味がよく出ている上に、サスペンスフルな犯罪映画の前半と、クソ馬鹿馬鹿しいB級アクション・ホラーの後半という2種類の作品が楽しめる大変お得な映画。
 メキシコの怪しい酒場に巣食うバイカーやトラッカーの吸血鬼。貴族的な優雅さは全くなく、ひたすら俗悪、猥雑で存在感があります。おそらくアメリカ人中産階級の標榜する価値観とは対極の位置にあるこの映画の吸血鬼たちには、人によっては、不快感を通り越してかなりの恐怖をおぼえるでしょう。ただし後半はあまりにも荒唐無稽なので、恐怖映画として見る人は一人もいないでしょう。
 続編もあります。

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『フロム・ダスク・ティル・ドーン2』    
from Dusk till Dawn 2: Texas Blood Money

 スコット・スピーゲル監督のビデオ映画。
 皆既日食のメキシコ。銀行強盗を企む一味が吸血鬼に感染していき、現地警察と死闘を繰り広げる。最初に吸血鬼になる男が、前作の舞台である酒場をちょっとだけ訪れています。
 なんか話のスケールが小さくて、でもだからといって惨事に巻き込まれる人間を等身大に描いているとかいうわけでもなく、ぱっとしないのです。そのわりに戦闘シーンは大掛かりで凄惨なので、そのギャップに戸惑いました。
 3作目もあります。

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『フロム・ダスク・ティル・ドーン3』    
from Dusk till Dawn 3: the Hangman's Daughter

 シリーズ3作目。P・J・ピース監督のビデオ映画。1作目には及びませんが、2作目よりは全然面白い作品です。
 例の酒場の由来を描く作品で、舞台は革命時代のメキシコ。首吊りを間一髪逃れた盗賊ジョニーは、処刑人の娘エスメラルダを連れて逃走する。彼ら2人と子分の盗賊たち、それを追う処刑人と追跡部隊、盗賊に襲われた駅馬車の客、それら全員が砂漠の真ん中の怪しい宿屋にやって来る。そこは吸血鬼娼婦の巣食う魔窟だった。実は吸血鬼の女王クイクスラこそエスメラルダの母なのだ。吸血鬼たちは新しい女王を迎える儀式をするため、次々と客を襲い始める。
 このエスメラルダが1作目の女王サンタニコになります。女系の吸血鬼一家という珍しい設定や、女王の儀式などが興味の中心です。吸血鬼の性質(コウモリに変身、杭や日光で死ぬ)はオーソドックスなものに過ぎません。
 語り手であるアンブロス・ビアスは実在の人物で、作家でジャーナリスト。芥川龍之介に大きな影響を与えたという『悪魔の辞典』、小学校の国語教科書に出てた『空飛ぶ騎兵』などの作品が有名です。パンチョ・ビラの革命軍に参加して行方不明になったというのも史実のようです。

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