『いきすだま〜生霊』    

 池田敏春監督。前編『いきすだま〜生霊』と後編『空ほ石の…』の2編からなるオムニバス。原作はささやななえこ(ささやななえ)のマンガ。
 主演はDOGGY BAGの松尾兄弟(兄・雄一が後編、弟・光次が前編の主役で、役の上でも兄弟)。この二人の超イケメンを見ているだけで十分楽しい映画ですが、三輪姉妹が揃って出てくる(セーラー服を着るだけで化け物になれる姉・ひとみ、全然可愛くないけれども演技力は相変わらず凄い妹・明日美)ので墓守としては見ないわけにはいきません。物語は結構でたらめです。
 前編は生霊(ドッペルゲンガー)の話。後編がアンデッドの話です。コンクリ漬けにされた少女の死霊が祟り、団地の縦一列の各部屋で不幸が起こります。最初は押入れに幽霊が出るだけですが、最終的にはポルターガイスト現象を起こし、骸骨の姿で実体化します。

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『生ける屍の死』    
Death of the Living Dead

 山口雅也。世間では本格として紹介されていますが、どうなんでしょうか。よくわかりません。
 世紀末、全米で死体が甦る謎の現象が多発していた。そんな中、ニューイングランドの大霊園を経営する一族が次々と殺されていく。だが被害者は甦り、現場から逃げたり犯人を捜したりする。
 死者の蘇生というファンタジーな状況では、死体消失、殺人予告、見立て殺人、双子、といった推理小説の約束事が全然別の意味をもってきます。またアメリカの葬儀風習が入念に紹介されており、世界が違えば推理も違うよということなのでしょうが、アメリカ人らしくない台詞が多々あって違和感有り有りでした。
 書かれた当時は日本が経済大国などと呼ばれていた時代で、作品内の端々からそれを感じることができます。一国の経済が10年でここまで凋落できるのかと思うと驚愕。盛者必衰の理をあらわしています。

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『居酒屋ゆうれい』    
Ghost Pub

 渡辺孝好監督のスーパー人情劇。墓守はビデオで見たのですが、酒なしで見るのは拷問のようでした。ご覧になるときはビールぐらいは用意した方が良いでしょう。
 居酒屋の女房(室井滋)が病死したあと、夫(萩原健一)と後妻(山口智子)の前に化けて出ます。幽霊は勝手気ままに出て迷惑をかけますが、最後は二人や常連客の人助けになるようなことをして成仏していきます。
 幽霊は居酒屋主人夫婦と、子供など一部の人にしか見えません。特撮も特殊メイクも使わない不透明度100%の幽霊です。物を持ったり人に触れたりできるほか、飲み食いもできます。また、冷気や旋風を起こす能力、未来予知の能力も持っています。幽霊になったのは死ぬ前の約束を破って夫が再婚したのが理由です。
 『新・居酒屋ゆうれい』としてリメイクされています。

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『イザベルの呪い』    
the Reincarnation of Isabel
/ Riti, Magie Nere e Segrete Orge nel Trecento

 レナート・ポルセリ監督。レデンプションが発掘した幻のイタリアンホラー。
 生憎と、ストーリーは何がなんだか全くわかりませんでした。500年前、ドラキュラ伯爵の愛人イザベルは魔女として火あぶりにされたのですが、それを悪魔的な儀式で復活させるため、吸血鬼たちが風光明媚な古城に暗躍します。
 とにかく出演者(全員)の顔が怖いです。イタリアに生まれないでよかったと思いました。意味不明な上、エロくておどろおどろしい映画なので、子供が見たら100%確実にトラウマになるでしょう。

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伊藤潤二
いとう じゅんじ

 現在人気トップのホラーマンガ作家。長編『富江』『うずまき』のほか『死びとの恋わずらい』など多くの作品が映画化されています。
 彼の作品が真のホラーたる所以は、その退廃にあると思います。伊藤潤二の作品では、恐怖の対象は決して倒されることがありません。魅せられ、イッてしまった人々が次々と登場し、最後には主人公もあちらの世界に行ってしまい、帰って来ません。

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『犬神の悪霊』    

 「悪霊」と書いて「たたり」と読みます。伊藤俊也監督。序盤は泉じゅんのポルノ映画、中盤は社会派風で陰惨な村八分、終盤は悪霊との壮絶バトル。1本で3度おいしい大傑作。特に終盤の長谷川真砂美は、確実に『エクソシスト』のリンダ・ブレアーを超えています。
 竜次(大和田伸也)はウラン鉱脈を見つけ、地主の娘麗子(泉じゅん)と結婚した。だがその調査中に山の祠を壊した上、車で犬をはねてしまったことから、犬神に祟られるようになる。山師仲間2人は変死し、竜次の身代わりに憑かれた麗子は発狂、加持の甲斐なく死亡した。憑いたのは麗子の友人で竜次に横恋慕した垂水かおり(山内恵美子)らしい。垂水(室田日出男)一家は村ののけ者だった。村人たちは垂水を犬神よばわりして迫害し、鉱山会社の流した毒まで垂水のせいだとして一家を殺してしまう。怒った垂水は自分と飼い犬の命を引き換えにして、犬神を召喚して村を呪うのだった。呪いが効いたのか、麗子の両親は死に、妹の磨子(長谷川真砂美)も犬神に憑かれる。義妹を助けようとする竜次に犬神は、全ての災いを招いたのはおまえだ、と言う…。
 麗子が幽霊だか憑依霊だかの形で現れるほか、衝撃のラストでは死んだ竜次まで復活します。

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『イノセント・ブラッド』    
Innocent Blood

 ジョン・ランディス監督。アンヌ・パリロー主演。
 マフィアのドン、サルが血を吸われ、吸血鬼になってしまった。始末をつけるためサルを追う女吸血鬼マリーは、刑事ジョーといつしか恋に落ちる。一方サルは行く先々で騒動を巻き起こし、子分たちを次々と吸血鬼に変えていた。
 無邪気ないたずら娘が騒ぎを起こした後に恋をする類のラブコメですが、なぜフランス人なんでしょうかね? そういうもんなのかな。

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『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』    
Interview with the Vampire: the Vampire Chronicle

 ニール・ジョーダン監督のアメリカ進出2作目。原作『夜明けのヴァンパイア』アン・ライスが脚本も担当。女性受け美形4人を揃えた豪華キャスティングからして度肝を抜く大作。
 原作者が脚本を書いているだけあって、原作と筋書きやテーマはさほど違いません。ただ、映画は『風と共に去りぬ』のパロディの様相を呈し、300年の物語の中でも特に、アメリカ南部が経験したブルジョワジーの台頭と封建社会への郷愁の部分が強調され、そして大西洋の対岸からその様子を眺めるような、複雑な構造になっています。

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『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』    
Interview with the Vampire

 篠原烏童によるマンガ化。映画よりは原作小説を元にしているのですが、さすがに二百ページ足らずでは説明不足な感じがします。なのでどちらかというと原作を読んだことのある人におすすめ。

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