熱帯雨林の自然 〜 その多様性・共生・競争の世界 〜 |
屋根、砂糖、塩になる不思議なヤシ〜ニッパヤシ〜 | |
ニッパヤシは海水と淡水が混じる汽水地帯に生息するヤシです。マングローブを構成する主要な植物でもありますが、森に住む人々にとって大変有用なヤシでもありす。葉は屋根を葺いたり、細く裂いてかごを編んだり、日よけがさの素材にしたりします。 それだけでなく、このニッパヤシからはなんと塩が採れるのです。ニッパヤシの幹を焼いたその灰を、水に溶かし煮詰めると塩が採れるのです。 さらに、砂糖も採れます。花芽を切り取るとその切り口から蜜が出てきます。それを集めて煮詰めると黒蜜のような砂糖が採れます。 このように食、住にわたって利用されているヤシなのです。 | |
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バナナに種が?〜ジャングルバナナ〜 | |
普段私たちが口にしているバナナとはずいぶん異なるバナナです。大きさ約10センチほどの実を割ると、なんと種があります。実には細かい毛がたくさん生えています。また、バナナの樹も1.5メートルほどの高さしかありません。その花も、食用バナナの花が下向きに咲くのに対して、ジャングルバナナは上向きに咲きます。 味のほうもまったく違っていて、大変「えぐみ」が強く、そのままではおいしいとはいえません。森に住む人々の間では、トウガラシ、エビペースト、中国しょうゆ、味の素、ライムを混ぜた、特性ソースをつけて食べたりします。 | |
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絞め殺しの木〜熱帯林の激しい生存競争〜 | |
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熱帯雨林は日本の森にくらべ、森を構成する植物の種類がはるかに多いのが特徴です。草や樹木はもとより、コケやシダ、地衣類やキノコなどの菌類など、膨大な数の「生命体」が生息しているのが熱帯雨林なのです。 その中では激しい「生存競争」が繰り広げられています。この「絞め殺しの木」といわれる木は、もともとあった木に取り付き、絡みつきながら光を求めて上へ伸びる一方、根を下に伸ばしていきます。最終的に絡みつかれた木は枯れてしまいます。この様子が絞め殺しているように見えることから、「絞め殺しの木」といわれるようになりました。 カンボジアのアンコールワットの寺院郡は、こうした絞め殺し植物によって風化が進んでいると言われています。ちなみに、私たちが観葉植物として親しんでいる「ベンジャミン」はこの絞め殺し植物の仲間です。 |
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200mlの容量?〜巨大なウツボカズラ〜 | |
ウツボカズラといえば、虫を取り込んで栄養分としている食虫植物として有名です。日本でも観葉植物として容易に入手できるようになりました。しかし、熱帯林に多く生息するウツボカズラにはユニークなものがたくさんあります。写真のウツボカズラは大変大きく、その容量はコップ1杯分(180〜200ml)ほどもありました。中にアリやバッタなどの昆虫のほかにカエルなどの小動物が混じっていることもあります。 森に住む人々によると、このウツボカズラでご飯を炊くことができるそうです。 | |
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動く宝石〜アトラスオオカブト〜 | |
ジャングルウォーキングをしていて、いきなり上から落ちてきたのがこのカブトムシでした。日本のカブトムシより一回り大きく、しがみつく力もかなり強いこのカブトムシはアトラスオオカブト(ボルネオオオカブト)と呼ばれています。大きな三本の角が体長の三分の一以上を占めています。体色はメタリックグリーンに渋く輝いていました。思ったよりすばやい動きで、機を見て飛び立とうとしていました。特に夜になると行動が活発になり、ある晩、入れていたビンから脱出してしまいました(残念!)。 | |
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小宇宙〜1本の木に宿る多様な生命〜 | |
熱帯雨林は日本の森にくらべ、森を構成する植物の種類がはるかに多いのが特徴です。草や樹木はもとより、コケやシダ、地衣類やキノコなどの菌類など、膨大な数の「生命体」が生息しているのが熱帯雨林なのです。 一本の木にも多種多様な「生命体」が共生、共存、競争しているのです。見えるだけでも、シダが数種類、ラン、コケ、地衣類、さらに見えない菌類、またそこに住む虫や小動物などを含めると数百種類の生物が1本の木を頼りに生きているのです。いわば1本の木を中心にして多様な生物が生き死にを繰り返している「小宇宙」といえます。 | |
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竹〜多様に利用される天然素材〜 | |
熱帯雨林の竹は日本の竹と少し違います。まずその生えかた。日本の竹は1本1本生えるのに対して、熱帯雨林の竹は「株立ち」つまり、一箇所から数十本の竹が生えるのです。そのため、熱帯では「竹やぶ」が形成されることがないのです。 また、節が長いのも日本の竹と異なる点です。一節が長いものでは1メートルを超えるものもあります。さらに、肉厚が薄いのも大きな特徴です。 こうした特長を活かして、森に暮す先住民族の人々はこの竹を生活のさまざまな面に活かしています。長い節を細く裂いてかごを編んだり、お供え物を入れる器を作ったりします。また、写真のように一節ごとに切りそろえ、この節の中に米を入れて炊いたり、豚肉や山菜を入れて調理したりする器として利用しています。(→「食事〜イバン料理」のページ参照) | |
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森のバター〜フタバガキの実〜 | |
フタバガキとは果物の「かき」に似た形をした実に2〜7枚の「羽」がついているところから名付けられたと思われます。東南アジアの熱帯林を構成する樹種のうちで種類も多く、商業的にも重要な位置付けをもつのがこのフタバガキ科の樹木です。電信柱のようにまっすぐに約20〜30メートルもの高さになり、その材も比較的やわらかいため、加工しやすいのが特徴ですそのため、大量に伐採され、合板などに加工され日本に輸入されています。(→「森林伐採」のページ参照) 木材としてだけではなく、この実から「森のバター」と呼ばれるほど、豊富な油(植物性油脂)が採れます。この油は「テンカワン」という植物性油脂として日本にも輸入されています。 さらに、この木は6〜10年という周期でしか実をつけず、さらに実をつけるときは「一斉開花」という現象を伴うという点もユニークです。 | |
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ワニ〜呪術師による退治〜 | |
マレーシアのサラワク州ではワニは保護動物に指定され、許可なく捕獲することはできません。ワニにとって人間以外に外敵が存在しない状況は、まさに楽園です。そのためかなりの数が生息しているといわれています。実際に人間が被害にあうこともあり、年に何回か新聞をにぎわします。 人が被害あった場合、そのワニを退治することは黙認されているようです。人に被害を与えたワニは、森に住む先住民族の呪術師にかかると、決して逃れることはできないといわれています。そのワニは呪術師によって、必ず仕掛けたわなにかかり、まったく動けない状態でつかまってしまうというのです。人に被害を与えたワニだけが、呪術師によってつかまるといわれています。 | |
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