サラワクについて マレーシアの概要 |
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マレーシアの国土と地勢 マレー半島の9州と、ボルネオ島北部の2州の全13州で構成され、面積は約33万ku(日本全土の約9割の大きさ)である。北緯1〜7°とほぼ赤道直下に位置し、国土の70%は熱帯雨林に覆われている。赤道に近いので、年中昼夜の時間がほぼ一定である。東京では、夏と冬の昼の時間は3時間ほど違うが、マレーシアの南部に位置するジョホールやクチンでは10分ほどしか違わない。 マレーシアの気候 全土にわたって高温多湿の熱帯雨林気候であり、年間通して日中平均気温は26〜27℃とほぼ一定だが、1日の気温差(日較差)は10℃と大きく、明け方には肌寒さを覚えることもある。マレー半島東部海岸とボルネオ島は、東北モンスーンの吹く10〜12月が雨季となる。年間通して降水量が多いが、「下から雨が降る」といわれるほど激しい雨が午後に1〜2時間降ることが多く(スコールという)、1日中降り続けることはない。また、1日中かんかん照り、という日は少なく、薄曇りや雲があちこちに漂うような天気が多い。 <年間気温(最高・最低)の変化と降水量の比較>
熱帯に「熱帯夜」はない? 熱帯夜とは気温が25度より下がらない夜のことをいう。サラワクは赤道直下の熱帯地方だからさぞかし暑いだろうというイメージがあるかもしれないが、サラワクには熱帯夜はない。日中の直射日光は日本の真夏とそれほど変わらないが、夜になるとぐっと気温と湿度が下がり、ずいぶんとすごしやすくなる。寝ているあいだに雨が降ると肌寒くて目が覚めることもある。ちなみに大阪は年間40日以上が熱帯夜である。 寒さがぜいたく 1年中暑い国ゆえに、「寒い思いをすること」への憧れが強い。オフィス、デパート、バス、レストラン、ホテルなどは極端なほど冷房をかけているので、都会に住むオフィスワーカーにとっては「寒い、寒い」といってセーターやカーディガンを羽織るのが一種のおしゃれになっている。熱帯だから暑いに違いないという固定間観念を持ってマレーシアに行くと、寒い思いをすることになるので、気をつけよう。外は暑く室内は寒い、ということを繰り返していると体調を崩す原因になるので、薄手の防寒着を持参することをお勧めする。 (イラストはマレーシアの漫画家Lat氏の風刺画) マレーシアの民族 人口約2,746万人(2008年)の多民族複合国家である。 マレーシアが「多民族複合国家」といわれるのは、マレー系、中国系、インド系の住民構成の中に、さらに民族別や出身地ごとのグループがあり、それぞれの文化や生活様式、言語が存在することからきている。特に多数派で政治力のあるマレー系と、経済的実権を握っている中国系の間には複雑な民族問題を抱えている。
マレーシアの宗教と暦 国教はイスラム教だが、信教の自由は認められており、民族によって異なる宗教が日常生活の中に根づいている。特にイスラム教は、「日常生活そのものがイスラム教」といわれるほど生活に密着している。1日5回の礼拝と、金曜礼拝、ラマダン(1ヶ月の断食月)などが義務とされている。また、偶像崇拝の禁止、豚肉やハラル(イスラム教の教えに従った屠殺)をしていない肉を食べることの禁止、左手の不浄など。また、イスラム教徒だけに課せられる刑罰もあり、宗教警察や宗教裁判所がそれに関わる。
マレーシアの国の花「ハイビスカス」が象徴すること マレーシアの国花はハイビスカスである。このハイビスカスは5枚の花びらがあるが、これはイスラム教徒が一生の義務として課せられた行為「五行」を象徴しているという。@信仰告白(唯一の神アッラーを信じること) A礼拝(1日5回のお祈り) B喜捨(収入の一部を困窮者に施すこと) C断食(ラマダン月の日中、飲食を慎むこと) D巡礼(メッカに巡礼すること) 民族ごとにあるお正月 マレーシアには、太陽暦(西暦)の他に、宗教ごとの暦があるので、マレー半島では1年に3回の新年祝日がある。西暦による1月1日、イスラム教の太陰暦による新年(ハリ・ラヤ・プアサ)と、太陰暦でも中国暦の新年(中国正月)だ。同じ太陰暦を用いていても、イスラム教は純粋な太陰暦なので太陽暦に対して毎年ずれ続けていくが、中国暦は3年に1度うるう月を設けて太陽暦とのズレを修正するので新年は1月末〜2月頃になる。先住民族の多いサラワク州では、伝統宗教により6月1〜3日が先住民族の新年の祝日となる。 マレーシアの言語と教育 公用語はマレー語だが、英語、中国語(福建語、広東語、北京語など出身地によって様々)、タミール語がよく話されている。先住民族ごとにも普段使う言葉がある。学齢制度はイギリス式。 マレーシアの政治と経済 1)政治体制と国王 立憲君主制で、議会制民主主義を採用している。国王は5年ごとにスルタンのいる9州より互選によって選出された人物がなる(ペナン州、マラッカ州、サバ州、サラワク州にスルタンはいない)。国会は上院と下院の二院制で、上院70名のうち40名は国王の任命制、あとは選挙で選出される。 2)ブミプトラ政策 独立建国以来マレー系民族を中心とした国づくりをめざしていたマレーシアだが、マレー系と中国系の所得格差や、農村と都市の地域格差が拡大した結果、1969年にクアラルンプールでマレー系と中国系の住民間で激しい民族暴動が発生した。これを契機に、政府は1971年より「NEP(新経済政策)」を推進した。これが「ブミプトラ政策」である。「ブミプトラ」とは「土地っ子」という意味で、あらゆる分野でマレー系住民の地位を引き上げるための優遇政策を行っている。 優遇例@ 教育におけるマレー人優先 公立の小学校では、マレー語、中国語、タミール語で授業が行われるが、中学校からは一部の私立学校を除いてすべてマレー語の授業になるので、中国語やタミール語で教育を受けた小学生は余分にマレー語を勉強するか、1年間の補習校通学が必要となる。大学入学定員枠は、非マレー系には20%しかなく、マレー系より成績の良い非マレー系学生が入学できず、海外留学する傾向が強い。 優遇例A 公務員採用や、就職と昇進のマレー人優遇(企業に人種構成に応じた雇用の義務づけなど) 優遇例B 営業許可、各種補助金の優遇 このように、マレー人全体の地位向上を願ったブミプトラ政策だが、批判の声も高い。その一つはマレー系の国内資本家の一部は大きく成長したものの、結果的には一握りの富めるマレー人を生み出すだけだったということ、もう一つはマレー人が優遇されるのに慣れてしまい、ぬるま湯に浸かったようなその地位に甘んじて自己向上の努力をしなくなった、ということである。経済的実権を握っている中国系の潜在的不満も大きい。 3)ルック・イースト政策 マレーシアがマラヤ連邦として独立した1957年以降、西欧を見習って近代化、経済発展を進めてきたが、1980年代、労働者の福祉や労働倫理に関しては東方、特に日本や韓国を見習うべきだと当時のマハティール首相が主張した。この時すでに、日本はマレーシアにとっての最大貿易相手国となっており、ルック・イースト政策の導入によって日本にとって安定した投資先が確保されるという利点が生まれた。このため、日本からの技術移転や投資が促進されやすい環境が整い、日系、韓国系企業の進出ブームになった。 4)ワワサン2020(ビジョン2020) 2020年までに先進国の仲間入りをしよう、というマレーシアの国家目標。かつては天然ゴム・スズ鉱を中心とする1次産品輸出に依存していたが、天然ゴムは合成ゴムに、ブリキ缶の原料であるスズ鉱はアルミ缶に押されて価格の下落と生産量の減少がおこった。現在では、外国資本と技術を積極的に導入し、半導体などの電子機器、家電製品、ゴム関連加工業の進展により、現在は工業国家の道を歩んでいる。 |
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