細長い土地の末路

旧ブログから編集・転載しています。


開発行為

開発行為とは、都市計画法に定められているもので、
一定の面積以上の土地の、区画形質の変更をする時には、
役所の許可を得て行う造成工事の事です。

まとまった住宅地の開発には、
開発行為の許可を得なければなりません。

何も無い所に住宅地を作るのですから、当然道路も新設します。
その費用は、開発をする不動産業者が負担する事になります。

そしてその道路は、公に採納します。

何も無い所に道路ができる訳ですから、
その道路に面した開発区域外の土地は価値があがり、
尚且つ使用する事ができます。


嫌がらせ

それでは高い造成費を支払って道路を作った不動産業者は面白くありません。

そこで、不動産業者は、開発地から見て、道路の外側に、
幅10センチ程度を分筆して、私有地を持つようにします。

すると開発道路に面していた隣地は、法律上、
たった10センチ幅の他人の土地の為に、
その道路を使う事ができません。

開発した業者からしたら、
「もし道路が使いたかったら、それ相応のお金を支払ってもらいたい。」
と言う嫌がらせなのですね。


反撃

隣地は、
「それなら、こっちも自分で道路を入れるわい!」
と言う事になると、
薄い10センチ程度の土地は、不要の長物になってしまうのです。
それまでは強気だったのに、一気に弱い立場になってしまうのです。

何十メートルもある幅10センチの土地は、全く利用価値が無く、
それでも固定資産税・都市計画税は掛かりますから、
持っている不動産業者は、納税し続けなければなりません。

隣に「買ってくれ。」と言っても、
嫌がらせをされた隣地はそれに応じません。
そして、開発をした不動産業者は、
無用の長物である細長い薄い土地を持ち続ける事になるのです。


欲をかいたバチ

今では、開発行為を申請する時に、
この様な薄い細長い土地を作らない様に、指導する行政もあります。

薄い細長い土地を、
開発した道路を管理する行政が引き受けてくれれば良いのですが、
引き受けてくれない行政もあります。

隣地に無償で譲渡するにしても、登記代は掛かりますし、
今更薄い土地をもらっても意味が無いといわれればそれまでです。

実はこの薄い細長い土地の手法、
地価が高騰していたバブルの頃にあちこちで行われ、
使い道のない薄い細長い土地が1か所程度ならまだしも
複数持っていたら、それなりの負担になります。

嫌がらせをした不動産業者にバチが当たった様な物です。

今でもそう言った土地を持ちつづけている不動産業者がいて、
アタマを悩まし続けているのです。

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2018年04月24日