抵当権Ⅱ

 

お客様から抵当権についてご質問を頂いたので、
再度抵当権についてご説明します。

「所有権」という言葉はみなさん耳にした事があると思います。
物を持つ権利の事です。
マイホームを購入した時も「所有権」登記を行います。

マイホームを住宅ローンを利用して購入した場合、
もうひとつ必ず登記される物があります。
それは「抵当権」です。
「抵当権」って、何なんでしょう?
マイホームを購入する方を対象に、
抵当権について簡単に解説してまいります。

保証人

住宅ローンを利用するという事は、
銀行からお金を借る事です。
お金を貸した金融機関は、確実に返済してもらう事を求めます。
しかし人生何が起きるか分かりません。
債務者(お金を借りた人)が長い返済期間中に、
返済できなくなってしまう事もあります。

そうなると金融機関は、
貸したお金を返してもらえなくなってしまいます。
その様な心配がある時には、
万一債務者が返済できなくなった時に、
返済できなくなった人の代わりに返済をする
「保証人」を付けてもらいます。
保証人が居れば金融機関は安心です。
万一債務者がお金を返してくれなくても、
債務者に代わってお金を返してくれるので確実に回収できます、

担保

「お金を借りるから保証人になってくれ。」
と頼んでも、
中々他人の借金の保証人になってくれる人はいません。

そこで、人の代わりに物を保証にします。
分かりやすい例では質屋さんがそうです。

例えば、質屋さんでお金を借りるとします。
単純に質屋さんに行ってお金を借りようとしても貸してくれません。
そこで、借りるお金と同等の価値のある物を質屋さんに預けます。

質屋さんから借りたお金を全額返済すれば、
預けた物を取り戻す事ができます。
万一期限までに返済できなかった時質屋さんは、
預かった品物を売却して貸したお金を回収します。
この借りるお金の代わりに相手に預けた物が「担保」です。

抵当権

住宅ローンは、金融機関からお金を借りる事です。
お金を借りたら金融機関に担保を差し入れます。
しかし借りた住宅ローンの額程の価値のある物を、
殆どの方は持っていません。
そこで、住宅ローンを利用して購入したマイホームの土地と建物を、
担保として金融機関に差し出すのです。

しかし折角購入したマイホームを金融機関に預けたら、
住む事ができません。
そこで、現物は渡さず「担保の権利」だけを
金融機関に提供するのが抵当権なのです。

抵当権と登記

抵当権は登記しなくても当事者間では有効です。
しかし第三者に対抗するには、登記されていなければ対抗できません。
そこでお金を貸した金融機関は担保提供で預かったマイホームに
「抵当権設定登記」を行います。
これによって金融機関は第三者に対しても、
担保提供されたマイホームに担保の権利を持っていると主張できるのです。

抵当権の登場人物は
●抵当権者 お金を貸す代わりに転倒権を持っている人(金融機関)
●債務者  お金を借りた人(住宅ローン利用者)
●抵当権設定者 自分の不動産に抵当権をつけさせている人。
        (住宅ローン利用者)
抵当権設定者は、債務者以外の第三者の場合もあります。
例えば、親が子の借金の為に、
自分が持っている不動産を提供した場合などです。。

抵当権の実行

質屋さんの例で、
質屋さんからお金を借りた人が返済しなかった場合、
質屋さんは預かった物を売却して貸したお金を回収します。

住宅ローンも同じような事があります。
万一住宅ローンを利用した人が、
何らかの理由で返済できなくなった場合金融機関は、
抵当権設定しているマイホーム(不動産)を差し押さえて、
競売に付して貸金を回収するのです。
この事を「抵当権の実行」と言います。
競売物件は、抵当権が実行された物件なのです。

抵当権の抹消

抵当権は借金の担保の権利の事です。
登記簿を見ると、
誰が誰からいくらお金を借りているか記載されています。

住宅ローンを完済したり、
売却して住宅ローンの残債を返済した時には、
抵当権を外してもらいます。
この事を「抵当権の抹消」と言います。

奥が深い抵当権

抵当権に関する事は、奥が深く幅が広い事ですが、
マイホームを購入する一般消費者が認識すべき事は、
上記した程度の事で十分だと思います。

宅地建物取引士試験を目指す方は抵当権に関連した、
「担保物件」「順位」「譲渡」「法定地上権」「共同担保」「被担保権」
なども勉強する必要があります。
抵当権は奥が深く幅が広い物なのです。

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2019年02月26日