権利証を無くした!
テレビドラマで、悪い奴が家に来て
「ここの家の権利証は俺が持っている。
だからこの家はオレの物だ。お前ら出て行け!」
というシーンをご覧になられた事があると思います。
権利証を無くしてしまったりすると、
大変な事がおきるのでしょうか?!
権利証は登記の抜け殻
権利証は、正式には「登記済権利証」と言います。
現在では登記が電子化され、
「登記識別情報」と言う名前に変わりました。
昔は登記申請すると、
その申請書の内容に従って登記官が、
紙の登記簿謄本に登記して、
登記申請書に「登記済」のハンコを押して返してくれました。
それが「権利証」と言われ、
さも、その不動産の権利を表している様に誤解されていますが、
正式には「登記済み権利証」であり、
いうならば、
登記申請をした申請書の抜け殻で、
何ら権利を第三者に主張する物ではなかったのです。
権利証(登記識別情報)は身元証明の代わり
明治時代に作られた登記法は、現在でも基本的に同じです。
登記法では、所有権移転登記申請の時に、
売主は「登記済み権利証」を法務局に
所有権移転申請書と共に提出する必要がありました。
それは、
「登記済み権利証を持っていた者が、
申請された不動産の所有者本人であろう。」
と判断する為だったのです。
明治時代には、写真入りの証明書などありません。
なので、登記済み権利証が身元確認の証拠としたのです。
紛失した時は保証書(本人確認)
万一登記済み権利証を紛失したとしても、
その法務局管轄で登記している人三人以上が
「間違えなくこの不動産は、この人の物です。」
と署名・捺印された「保証書」を
登記済権利証に代えて申請すれば、
登記ができたのでした。
現在は「登記済み権利証」から「登記識別情報」に変わりました。
万一、登記識別情報を紛失した場合は、
写真入りの公的な身元を署名できる物
(運転免許証・住民カード等)を
司法書士に提示提示して本人確認してもらえば、
登記識別情報の代わりになります。
ただし有償です。
権利証(登記識別情報)に権利はない
万一、権利証(登記識別情報)を紛失して、
第三者の手に渡ったとしても、
権利証を手にした人のものになる事はありません。
テレビのシーンは、真っ赤な嘘なのです。
ただし、権利証(登記識別情報)を悪用する輩がいて、
ややこしい事件に巻き込まれる事がある事、
登記の際に、本人確認の余計な費用が掛かる事から、
権利証(登記識別情報)は、大切に保管しておく必要があるのです。