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7.1 製品実現の計画
組織は、製品実現のために必要なプロセスを計画して、構築すること。製品実現の計画は、品質マネジメントシステムのその他のプロセスの要求事項と整合性が取れていること(4.1参照)。
製品実現の計画に当たっては、組織は次の事項について該当するものを明確にすること。
a) 製品に対する品質目標及び要求事項
b) 製品に特有な、プロセス及び文書の確立の必要性、並びに資源の提供の必要性
c) その製品のための検証、妥当性確認、監視、検査及び試験活動、並びに製品合否判定基準
d) 製品実現のプロセス及びその結果としての製品が要求事項を満たしていることを実証するために必要な記録(4.2.4参照)
この計画のアウトプットは、組織の計画の実行に適した様式であること。
(参考1.) 特定の製品、プロジェクトまたは契約に適用される品質マネジメントシステムのプロセス(製品実現のプロセスを含む。)及び資源を規定する文書を品質計画書と呼ぶことがある。
(参考2.) 組織は、製品実現のプロセスの構築に当たって7.3に規定する要求事項を適用しても良い。
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1. 計画は必須です!
顧客に提供する製品・サービスを作り上げるために必要とされるプロセス(工程、手順、流れなど)を明確にすることが要求されています。
つまり、実際に請負った個別の受注案件(プロジェクト、契約業務)を実現するための(見直し・修正の手順を含む)計画を立てることが要求されています。
ここで要求されているプロセスの範囲には、
設計機能を有する組織の場合:
製品のコンセプト、コスト、販売数量、予想利益などの計画
設計機能を有しない組織の場合:
顧客からの引き合い段階
からのプロセスを含めることになります。
また、これらのプロセスは、文書・記録の管理、監視・測定などの品質マネジメントシステムの他のプロセスと矛盾することがあってはなりません。
計画されたプロセスは、何らかの形で文書化しておく必要があります。個別製品の計画に対する文書は一般的に「品質計画書」と呼ばれますが、1枚の計画書にまとめる必要はありません。
プロセスの各段階において、新製品案件対応計画書、設計・開発計画書、QC工程表、アフターサービス計画書など、必要な計画が含まれていればよいと考えます。
品質計画書に盛り込む項目には次のようなものが挙げられます(次項「2. 計画の中で明確にしよう」を参照)。
・ その製品に対する品質目標(必要な場合)
・ その製品の要求事項(7.2.1)
・ その製品に必要なプロセス
・ その製品に関連する文書
・ その製品を実現するのに必要な経営資源
・ その製品に必要な検証・妥当性確認・監視・検査・試験活動
・ その製品の検証・妥当性確認・監視・検査・試験に対する合否判定基準
・ 各プロセスが要求事項を満たしていることを実証できる記録(8.2.3)
・ 各プロセスの結果としての製品が要求事項を満たしていることを実証できる記録(8.2.4)
もちろん、これらの計画は「品質保証体系図」などの品質マネジメントシステムの計画(大枠)に矛盾していないことが大前提となります。
2. 計画の中で明確にしよう!
製品実現の計画では、取扱う製品により該当する範囲で次のことを明確にするよう要求されています。
a) 個別製品に対する品質目標および要求事項
個別製品に対する品質目標とは、たとえば、
・ 機能・性能の向上
・ 類似品で発生している不具合の解消
などが挙げられ、「5.4.1 品質目標」の品質目標とは区別する必要があります。
製品要求事項は、「7.2.1 製品に関連する要求事項の明確化」「7.2.2 製品に関連する要求事項のレビュー」で明確にされた個別製品に対する要求事項のことで、一般的には製品設計書・仕様書といった文書により明確にされているでしょう。
b) 製品に特有な、プロセスおよび文書の確立の必要性、ならびに資源の提供の必要性
・ その製品を作り上げるためにはどのようなプロセスが必要か
・ その中で必要とされる資源(人的資源、設備、技術など)は何なのか
・ どのような文書(たとえば、製造手順書、検査基準書など)を使うのか
を明確にする必要があります。一般的にはQC工程表により明確にされているでしょう。
c) その製品のための検証、妥当性確認、監視、検査および試験活動、ならびに製品合否判定基準
その製品の実現計画において、検証、妥当性確認、監視、・・・などをどの段階で、誰が、どのように、何と比較して行うのかをはっきりさせます。
これもQC工程表の監視・測定項目によって明確にすることができます。
合否判定基準には、顧客の製品要求事項を基本として、顧客品質基準、自主品質基準、業界品質基準などがあり得ます。計画の中で、その製品にはどの基準を使って判定するのかが分かるようになっていなければなりません。
d) 製品実現のプロセスおよびその結果としての製品が要求事項を満たしていることを実証するために必要な記録(4.2.4参照)
a)〜c)の各項目について、残すべき記録を明確にし、「4.2.4 記録の管理」の手順に基づいて管理を行う必要があります。
残すべき記録の例としては、
・ プロセスの監視・測定の記録
・ 機械・設備の保守点検記録
・ プロセスのアウトプットとしての製品が合否判定基準と照らし合わせて合格していることの記録(検査・試験成績書など)
があり、これについてもQC工程表の記録項目などで明確にしておくのがよいでしょう。
3. 「計画どおり」が基本原則
計画は、途中で見直し・修正せざるを得ない場合も発生します。計画と実施結果(そのエビデンス)が食い違っているのはよくないことですし、食い違いに対する合理的な説明も求められます。
必要な見直し・修正は、決められた手順に基づいて遅滞なく行いましょう。計画どおり(計画を満たすように)仕事を行うのが基本原則ですよ。
4. マニュアルにまとめる場合には・・・
この項をマニュアルなどに表現する場合には、関連する項目を引用するような形でまとめたほうがよいでしょう。
ここですべてを記述しようとすれば膨大な量となり、かえって煩雑になる可能性があります。
5. 不適合・改善要望事例と考察
不適合・改善要望事例 | 考察 |
「原稿作成管理規定」では原稿に添付する標準見本として「版式見本」「刷色見本」が定められているが、実際の原稿内で見本の表示されていないものがある。ポジフィルム、割付図のルールも明確になっていない。 |
製品実現の計画に当たっては、組織は次の事項について該当するものを明確にすること。c)その製品のための・・・合否判定基準 |
★ヤッスー部長より一言★
当方にも一応、QC工程表(らしきもの?)はありますが、作業標準書・手順書よりもさらに粗末な扱いを受けているのが実状です。しかしながら、顧客からはたびたびQC工程表の提出や提示を求められ、重要なのだろうな・・・とは思っています。
とある審査員から、自動車業界でよく使われるQC工程表のフォーマットを教えていただきました。そのQC工程表には工程特性(製品品質に影響を与える原因系の特性)と品質特性(アウトプットとしての製品品質を監視・測定するような結果系の特性)をまとめるようになっています。
このフォーマットの一部をご紹介しますので、参考にしてみてください(準備中)。
<格言> ⇒格言募集中!
・ 何事も計画段階(P)が重要!
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