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7.2.1 製品に関連する要求事項の明確化
組織は、次の事項を明確にすること。
a) 顧客が規定した要求事項。これには引き渡し及び引渡し後の活動に関する要求事項を含む。
b) 顧客が明示してはいないが、指定された用途または意図された用途が既知である場合、それらの用途に応じた要求事項
c) 製品に関連する法令・規制要求事項
d) 組織が必要と判断する追加要求事項
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1. 7.1a)の具体的な要求です
「7.1a) 製品に対する品質目標および要求事項」がはっきりしていなければ、どのように製品を実現すればよいか分からず、目標を失った活動になってしまいます。この部分をはっきりせよ!という具体的な要求事項が本条項です。
2. 顧客が指示する要求事項
a)項は、契約や受注段階で顧客から指示される製品に関する要求事項で、比較的容易に明確化することができます。
契約型製品の場合、契約書とそれに付随する要求(たとえば、特記仕様書、品質管理要求書、製品規格など)が具体的にどのような内容なのかをはっきりさせる必要があります。
市場型製品の場合、特定の顧客がいるわけではなく、製品要求事項が指示されないので、自ら想定した顧客要求をはっきりさせ、説明できるようにする必要があります。
また、顧客が規定する要求事項には、最終製品の納入・引渡しやサービス提供について顧客から求められた事項、その後の活動(アフターサービス)について指示された事項・付帯サービスも含まれます。
3. 顧客との暗黙の了解事項
b)項は、顧客がはっきりとは示してくれないが暗黙の了解とされている要求事項で、厄介なものでもあります。
たとえば、
・ 家や車が雨漏りしない
・ ラベルにきちんと粘着剤がついている
・ ホテルのドアに鍵がかかる
などです。
一義的には、自社内で定められた要求事項ということになりますが、それ以外に
・ 顧客の要求以外から発生した問題
・ 問題を起こすと「お宅はプロだろ!」と叱られるような問題
・ 過去の経験・類似
・ 契約書などに書かれていない製品要求事項
などから「自ら明確にする」べき項目を洗い出すことによって見えてくるような要求事項も該当します。
あまりにも当たり前過ぎることは明文化する必要はないと考えますが、明らかに必要なものや重要なものは絞込みをする必要があり、したがって、どこまでを要求事項として明文化しておくかの基準を決める必要があるでしょう。
また、これらの要求事項は自分たちで勝手に決めないようにする運用が大切です。可能な限り顧客に確認し、同意を得ることが自分たちを守ることにもつながります。
4. 製品に関連する法令・規制要求事項
c)項に該当する要求事項としては、法律・条例、業界での取決め、規格・基準などがあり、法律名、規則名の列記ではなく、何を守らなければならないのか、具体的な要求事項の明確化が求められます。
環境マネジメントシステムの「4.3.2 法的およびその他の要求事項」と同等の要求であり、その対象が製品であるか環境側面であるかの違いで、互いにリンクする項目もあり得ます。
5. a)〜c)以外の+αの要求事項
a)〜c)での製品に関する要求事項以外として、その製品に関連した社内の取決め(社内規定、社内標準など)、たとえば、
・ トレーサビリティの確保の程度
・ 検査の程度(AQLの設定、検査項目・基準・方式など)
がもしあれば、それも要求事項として明確にすることになります。
この部分をうまく利用することが会社の失敗経験やノウハウを製品に反映させ、他社との一層の差別化を図り、会社としての強み、特徴を伸ばす秘訣です。
6. 不適合・改善要望事例と考察
★ヤッスー部長より一言★
ここ数年で、見積関係帳票がかなり改良され、見積書兼製品要求事項明細書として営業さんが顧客の場ですぐに作成・提示できる形式になってきていますね。
引越しする必要があって先日、見積を取ってもらったんですが、分かりやすい見積書とカタログをセットで渡されて非常に感心しました。
帳票にひと工夫加えて分かりやすいカタログを添えることによって顧客もスッキリしますし、営業さんもスムーズに仕事ができるので一石二鳥ですね。
<格言> ⇒格言募集中!
・ 間違いを起こさないためにも製品要求事項はしっかりと把握しよう!
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