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8.2.4 製品の監視及び測定
組織は、製品要求事項が満たされていることを検証するために、製品の特性を監視し、測定すること。監視及び測定は、個別製品の実現の計画(7.1参照)に従って、製品実現の適切な段階で実施すること。
合否判定基準への適合の証拠を維持すること。記録には、製品のリリース(次工程への引渡しまたは出荷)を正式に許可した人を明記すること(4.2.4参照)。
個別製品の実現の計画(7.1参照)で決めたことが問題なく完了するまでは、製品のリリース(出荷)及びサービス提供は行わないこと。ただし、当該の権限を持つ者が承認したとき、及び該当する場合に顧客が承認したときは、この限りではない。
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1. いわゆる製品に対する検査
製品そのものに対する要求で、具体的には結果系で考える検査的な内容です。製造工程での各プロセスから次工程へ移る段階で実施することを明確にしておく必要があります。
製品の監視・測定は製品実現の適切な段階で実施するよう要求しており、例えば「受入れ時点」「工程内」「リリース時点」など、どの時点で行うかを組織自ら決めなければなりません。
また、それが決定したならばQC工程表などで明確にしておく必要もあるでしょう。
どの段階で行うかが決まれば、具体的にどのように監視・測定を行うのか、つまり、
・ 検査の項目
・ 手順・方法・条件
・ 方式(抜取り/全数)
・ 基準(合否判定基準)
なども明確にしていきます。とくに合否判定基準については「7.1 製品実現の計画」の検査・試験に位置付けたものが対象となり、例えば次に示すような項目を結果として記録に残していくことにより、合否判定基準への適合の証拠を維持します。
・ 測定値
・ 合否判定
・ 検査担当(責任)者
・ 実施年月日
・ 環境条件
記録について一言付け加えておけば、合否判定結果(合・否の明示)、裏付け(測定値、適合の証拠)をはっきりと明記し、必要なプロセスがきちんとすべて実施できたことを明瞭、容易に示せるような工夫をすること、そして、何か異常があればどんなことでも書き込めるようにしておくこと(後で不具合の傾向分析をするときなどに有益な情報となります)を検討しておきましょう。
2. 製品のリリース許可について
記録には、製品のリリース(次工程への引渡し、出荷)を正式に許可した人を明記しておくことも要求されています。
「正式に」は原文では“authorizing”となっており、「公知の状態(本来は認定というほど強い意味ではない)」になっていればよく、一般的には「検査員」として登録された人が該当します。言うまでもなく、責任・権限が明確になっている必要があります。
次の場合には要求事項が満たされていない場合であっても製品をリリースしてよいことが規定されています。
・ 製品のリリースを正式に許可する責任・権限を持つ人が承認した場合
・ 該当する場合には顧客が承認した場合
とくに顧客の承認に関して、原則的には「8.3 不適合製品の管理」の“特別採用”の手続きに基づきますが、恒常的に発生する特異点にその都度許可を得なくてもこの条項を適用すれば対応できます。
3. むしろ要因系が重要
本条項は、製品の個々の特性(結果系)を監視・測定し、合否判定基準に照らし合わせることが要求ですが、むしろ要因系をいかに管理するかがとても重要なことと考えます。94年版で言えば、
・ 設備の(始業)点検項目
・ 工程パラメータ(製造中に何を管理するか)
・ 洗浄工程などの溶液管理
などがあり、これらすべての特性についてチェックシートに記録する必要はありませんが、いわゆる“レ点”を付けるだけで済ませている場合は、チェック項目に本当に意味があるのか再確認してみるとよいでしょう。
4. 不適合・改善要望事例と考察
不適合・改善要望事例 | 考察 |
特練りインキを発注し、受入検査を実施する手順は作業標準書に定められているが、受入検査の記録を作成し、維持することの手順が文書化されていない。 |
合否判定基準への適合の証拠を維持すること。記録には、・・・明記すること(4.2.4参照)。 |
品質マニュアルでは抜型の受入検査を実施し、記録を作成することが定められているが、記録が作成されていないケースがあった。 |
合否判定基準への適合の証拠・・・明記すること(4.2.4参照)。 |
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