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7.2.2 製品に関連する要求事項のレビュー

 組織は、製品に関連する要求事項をレビューすること。このレビューは、組織が顧客に製品を提供することについてのコミットメント(例 提案書の提出、契約または注文の受諾、契約または注文への変更の受諾)をする前に実施すること。レビューでは次の事項を確実にすること。

a) 製品要求事項が定められている。
b) 契約または注文の要求事項が以前に提示されたものと異なる場合には、それについて解決されている。
c) 組織が、定められた要求事項を満たす能力を持っている。

 このレビューの結果の記録及びそのレビューを受けてとられた処置の記録を維持すること(4.2.4参照)。
 顧客がその要求事項を書面で示さない場合には、組織は顧客要求事項を受諾する前に確認すること。
 製品要求事項が変更された場合には、組織は、関連する文書を修正すること。また、変更後の要求事項が関連する要員に理解されていることを確実にすること。

(参考)
インターネット販売などの状況では、個別の注文に対する正式なレビューの実施は非現実的である。このような場合のレビューでは、カタログや宣伝広告資料などの関連する製品情報をその対象とすることもできる。

1. 製品要求事項のレビュー

顧客に製品を提供することについてのコミットメント(顧客に対して契約や注文を請負う心積もりができていることを何らかの態度で示すこと)をする前に製品要求事項をレビューするように要求しています。

その仕事(注文)を請け負うことを決めるには、まずすべての製品要求事項を明らかにし、問題がないかどうか、対応可能かどうかを確かめてからにせよ、ということです。

7.2.1 製品に関連する要求事項の明確化」で明確にされた製品にかかわる要求事項が、a)〜c)の視点で懸案事項がないかのレビュー(確認・審査)を契約の前に行う必要があります。 もちろん、このレビューを行うためには、誰が/どのように、と言ったような手順をあらかじめ定めておかなければなりません(文書化の要求はありませんが、必要に応じて・・・ということになるでしょうか)。

a)では、7.2.1a)〜d)に該当する製品要求事項を明確に定義した結果を示せる必要があります。「製品仕様書」のような書面に網羅的に製品要求事項がまとめられているとよいでしょう。

b)では、新規の契約または注文において製品要求事項の変更点が明確にされている必要がありますが、これは契約前の変更が該当し、契約の修正とは異なります。

c)では、7.2.1a)〜d)に対して、製品要求事項を達成するための能力確認とそれを実施した結果を説明できる必要があります。

これらa)〜c)に対して、レビューを実施した記録、および何らかの処置(action)を必要とした場合にはその記録を示せるようにしなければなりません。とくに記録の日付(順)には注意を要します。

2. 顧客が要求事項を書面で示さない場合の対応

すべての顧客が契約書や注文書などの形に残るもので要求事項を示すとは限りません。例えば、電話注文などの場合には顧客から注文内容(要求事項)が形となって示されませんので、何らかの対応策が必要となります。

このような場合の対応方法の一般的な例を示します。

●電話で注文を受ける
   ↓
●“受注メモ”などに書き物として注文内容(要求事項)を書き留める
   ↓
●FAXで折り返し、あるいは復唱などで注文内容(要求事項)を確認する
   ↓
●a)〜c)について、注文内容(要求事項)をレビューする
   ↓
●問題がなければ注文を受諾する
   ↓
●記録:“受注メモ”およびその後のやり取りを記録に残す
(いつ/どこで/誰に/どのような形で確認/その結果/日付)

顧客からの製品要求事項(注文・契約内容)を口頭で受けても必ず何らかの形に残し、受ける前に必ず顧客と確認するという行為は、ISO 9001で要求されているからというわけでなく日常的に行われていることです。 それをもう少し前進させてa)〜c)の要求に対して負荷が増えないように記録に残せるようにすることで、ISO 9001にも対応できるようになります。

3. 契約内容の修正

受注後や契約後に製品要求事項が変更になった場合には、関連する文書(仕様書、図面、QC工程表、作業指示書など)を修正し、また、作業担当者などの関係者に確実に連絡し、変更内容を伝えなければなりません。 これは、通常業務の中での連絡体制がしっかりとできていれば問題ないでしょう。日常の仕事の中で「言った、言わない」が頻発しているような場合は、仕事内容が変更になってもそれが伝わらずに間違った製品を作りかねませんので、連絡体制を見直す必要があります。

顧客との度重なる打合せで顧客要求事項が最終的にどれに落ち着いたのか、明確に分からない(顧客との打合せ記録を最初から最後まで読まないと結論が分からない)ことがよくあります。このような事態を防ぐために、確定した顧客要求事項には都度マークを施すなどの工夫が必要です。

4. まとめ

その仕事(契約、注文)を請負うことを決めるには、まず、すべての「製品要求事項」を明らかにし、問題がないかどうか、対応可能かどうか確かめてから実行せよ!ということです。そのためには、次の1)〜4)のステップをしっかりと踏むことが必要です。

1) 製品要求事項(7.2.1a)〜d))の確定
2) 製品要求事項(7.2.1a)〜d))のレビュー(確定した製品要求事項が分かるようにすること)
3) 対応可否の判断
4) 入札、見積書提出、契約・注文の受諾

個々の注文にイチイチ「製品要求事項のレビュー」などやってられない(現実的でない、やるだけの意味がない)場合、標準仕様書やカタログなどで製品要求事項の主要な部分が確定し、顧客に知らされている場合、製品識別情報(品名・品番・型名など)、数量、納期(工期・期日)、納入先(引渡し相手)などを確かめるだけでもよいでしょう。

5. 不適合・改善要望事例と考察

不適合・改善要望事例考察
入稿記録に要求事項をレビューした結果が記録されているが、とられた処置の記録が確認できなかった。 このレビューの結果の・・・記録を維持すること(4.2.4参照)。
納期変更の連絡は「納期変更連絡書」を営業部が発行し、生産管理部が回答し記録として保管することが作業標準書で定められているが、回答されず記録として保管されていないものがあった。 このレビューの結果の・・・記録を維持すること(4.2.4参照)。
顧客から口頭で注文を受けた場合は「受注確認書」が発行されているが、受注後に注文内容の変更があった場合の処理手順が営業G、業務Gでそれぞれ定めている作業標準書で整合してない。また、改訂された「入稿記録書(仕様書)」が製版Gへ配付されていない。 製品要求事項が変更された場合には、確実にすること。
新規、再版品の契約内容の修正を行う場合、見積書および入稿記録の修正に関する手順が不明・不足である。また、営業部の作業標準書に数量変更を行う手順が文書化されていない。 製品要求事項が変更された場合には、組織は、関連する文書を修正すること。また、変更後の要求事項が関連する要員に理解されていることを確実にすること。
顧客からの受注内容に対して、これらの製品要求事項を達成する能力があるかについての検討がなされているかどうか不明であり、結果の記録もない。 組織は、・・・確実にすること⇒c)。このレビューの結果の記録及び・・・記録を維持すること(4.2.4参照)。
「受注確認書」と「正式注文書」で注文内容が異なる場合、1.変更が社内都合か、顧客都合可変項の理由が不明確である、2.変更の確認、承認がされていない、3.注文内容に対する「変更連絡書」等の漏れの確認ができる手順がない。 レビューでは次の・・・確実にすること⇒b)契約又は・・・解決されている。製品要求事項が変更された・・・確実にすること。

★ヤッスー部長より一言★

とりあえず注文だけ請けちゃったけど、そのあとどうしよう・・・。これは当方で時々見かける光景です。営業さんは自分の売上を上げたいので注文を取ってくることに躍起になっているのですが、作り手(工場・製造)側からすれば、「どこがどうなってんのかさっぱり分からないよ」「こんなのはウチじゃできないよ」となってしまいます。これでは後の祭です・・・。

やはり、ものを作り上げる上で必要なことはしっかりと聞き出して確認しておかないと結果的には顧客を裏切ってしまうことになりますし、自分たちの会社の能力(色・寸法・バラツキ・生産スピード・品質異常の検出力・新規技術力など)も把握しておかなければ注文を請けられるかどうかの判断もつきません。

そういう意味においても自社の製造スペックを洗い出し、一覧表などにまとめ、必要な担当者が周知している状態にしておくのは基本中の基本なのでしょうね。

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