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5.6.3 マネジメントレビューからのアウトプット
マネジメントレビューからのアウトプットには、次の事項に関する決定及び処置を含むこと。
a) 品質マネジメントシステム及びそのプロセスの有効性の改善
b) 顧客要求事項への適合に必要な製品の改善
c) 資源の必要性
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1. トップマネジメントの責務として
本項は、マネジメントレビューの結果に対しての要求事項です。品質マネジメントシステムの大きなP-D-C-Aサイクルの締めくくり(A:アクション)として、インプット情報をもとに経営者自らが品質マネジメントシステムを診断し、それに対する結果を下します。
マネジメントレビューを通じてトップマネジメントは必要な意思決定をし、アクションすべきことを明確に示してやらなければなりません。
マネジメントレビューの結果(アウトプット)は、品質マネジメントシステムに関する評論のような他人事ではなく、責任ある当事者としての明確な決定とアクションでなければなりません。
2. アウトプットに対する要求事項
アウトプットには、次のa)〜c)についての決定(有効性、改善の必要性の判断結果)と処置(どのような改善を、誰が、いつまでに)を含めなければなりません。
a) 品質マネジメントシステム及びそのプロセスの有効性の改善
“インプット情報において、大幅な未達や重大な不適合が発生する場合には、システムやプロセスに何らかの問題(改善対象)が内在する可能性がある”という視点から品質マネジメントシステムやプロセスの不完全性を改善する。
b) 顧客要求事項への適合に必要な製品の改善
「7.2.1 製品に関連する要求事項の明確化」の要求事項が満足できていない場合の改善であり、個々の製品そのものの改善ではない。
c) 資源の必要性
大幅な変更(法律、規格、新製品など)に基づく資源投入は当然として、a)、b)の改善のための資源確保が非常に重要であり、品質マネジメントシステムの有効性を高めるという要求に対する各組織の前向きな取組み姿勢をうかがうことができる。
これらのアウトプットに対する処置方法の1つとして、問題解決を品質目標に掲げて改善を進めることが挙げられます。とくに比較的問題が大きくなく、特定(1つまたは複数)の部署やプロジェクトで解決可能な場合には品質目標に展開して改善活動につなげます。
3. アウトプットの記録
マネジメントレビューのアウトプット(決定と処置)も記録に残します。しかし、「マネジメントレビューをやった!」というだけの議事録を残しても何の意味もありません。
証拠機能 → マネジメントレビューのPDCAの追跡機能
を備えるようにする必要があります。つまり、
・ インプット情報に対して、追跡し、突き止められる識別情報の記録
・ アウトプットに対して、フォローアップ状況も追記できるような記録
が残せるようにする必要があります。
また、とくにアウトプットの記録に関する注意点として、インプット情報a)〜g)とアウトプットa)〜c)の内容の違いが挙げられます。
インプットに対する個々のアウトプットがあることは構わないのですが、アウトプットに関する要求事項a)〜c)に対してのコメントは必要です。もれることがないように注意しましょう。
マネジメントレビューのアウトプットには、a)〜c)以外に、
・ 品質マネジメントシステムの改善の機会
・ 品質マネジメントシステムの変更の必要性
に対する評価も忘れずに入れましょう。
4. 不適合・改善要望事例と考察
★ヤッスー部長より一言★
マネジメントレビューのアウトプットは、インプットに比べると項目内容が集約された形になっていますが、やはり、インプット同様に漏れがないことを確認できる工夫が必要と考えます。
このアウトプットは、次のプランニングのための大事なインプットになるわけですから、トップマネジメントも適当でいい加減な発言はできませんよね。
インプット項目のe)にあるように、前回までのマネジメントレビューの結果(アウトプット)に対するフォローアップもインプット情報になりますから、アウトプットしっぱなしではなくて、それに対するフォローアップ(是正・改善と効果確認)もしっかりやっておかないといけませんね。
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