NPO法人ぐんま緑のインタープリター協会紙

協会紙表紙

夏季号 第56号 2017年7月10日


「憩の森・森林学習センター」でお待ちしています

  森林学習センター所長 高井 光夫

観察会の写真  群馬県の3分の2は森林が占めています。この森林は、豊かな水をはぐくみ、災害を防止するなど私たちの暮らしを支え、多くの恵みをもたらしています。また、地球温暖化や生物多様性といった地球規模の環境問題の解決にも、森林の果たす役割の重要性が高まっています。これらを背景に、人々の生活や環境と森林との関係を多くの人々に理解してもらい関心を寄せてもらうことで、森林と人とが共存する循環型社会を実現するために、森林環境教育の推進がますます重要になっています。

 一方、多くの恵みをもたらす森林は、地域の共有の財産であるとの考えから、住民、企業、団体など様々な主体が森林ボランティアとして、森林を守り育てる活動に積極的に参加しています。このような中で、「憩の森・森林学習センター」では、@森林環境教育の拠点、A森林ボランティアへの支援を業務の柱に位置づけ、さまざまな事業を展開しています。

 森林環境教育の拠点として、県民の皆さんに森林に関する知識や興味を深めてもらうために「憩の森」の管理運営をはじめ、県民の方を対象とした「自然講座」、「森林観察会」、「親子森であそぼう森で学ぼう教室」などを開催しています。そのほか、平成26年度から導入したぐんま緑の県民税を活用し、森林環境教育の指導者を養成するため「緑のインタプリター養成講座」を開催しています。森林ボランティアへの支援としては、県民税事業として「森林ボランティア支援センター」を運営し、専用ホームページによる情報発信、ボランティア団体同士の交流会開催、安全指導研修、森林整備作業器具の貸し出しなどの業務を行っています。

 多くの県民の皆さんが、森林に理解や興味を示すとともに森林整備が推進され、質の高い群馬の森林環境・自然環境の創造が実現できますように、これからも、関係する皆様の御理解、御協力をお願いいたします。

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校庭の樹木A 古来より日本人に好まれたマツ

  顧問  亀井 健一

  マツ(松)は古来より日本人に好まれ、詩歌,絵画などの題材になり、庭園樹などに使われてきました。学校や公園にも非常に多い樹木です。古木の風情があることや常緑であることなどが日本人の感性に合ったのでしょう。植えられたマツの多くがアカマツかクロマツです。両種は、姿や特徴が似てはいますが、よく観察すると、明確な相違があります。両種の特徴は子どもたちにとって、五感を使った観察の格好の対象です。身近な教材になるのでぜひ活用したいものです。なお、いずれも胚珠(成長し種子になる器官)がむき出しになった裸子植物であり、マツ科マツ属の常緑針葉高木です。両種は雑種をつくるほどの近縁の植物です。

アカマツの写真  両種は分布が異なります。アカマツは、内陸性のマツで比較的標高の低い山地に分布。群馬県では、低山地の尾根や岩山などにまれに自生することがあります。普段目にする多くのアカマツは、植えられたものかその逸出(子)です。クロマツは、海岸の砂浜や海岸沿いの岩上に自生する種であり、本県には自生しません。本県で見られるものは、すべて植えたものか、その逸出です。なお、クロマツは本県に自生しないのに、なぜか県民の投票により「県の木」に指定されています。

クロマツの写真  樹皮や葉の特徴が違います。アカマツの樹皮は赤褐色で、幹の下部で亀甲状に深く割れます。クロマツの樹皮は灰黒色で、幹の上部まで亀甲状に深く割れます。葉は2個が対になった2葉性です(ハイマツやゴヨウマツは5葉性)。アカマツの葉は、細く柔らかく手の甲に突き立ても、ほとんど痛さを感じません。クロマツの葉は、アカマツに比べて太く硬く、手の甲に突き立てると痛いです。痛さの相違は簡単な区別点になります。冬芽は色彩が異なります。アカマツの冬芽は赤っぽく、クロマツの冬芽は白っぽく見えます。この相違もすぐわかる区別点になります。

雌花と雄花の写真  繁殖方式は似ています。両種とも、花期は4〜5月で、同じ株に雌花(胚珠を持つ種鱗の集まり)と雄花(花粉嚢を持つ鱗片の集まり)がつきます。したがって、雌雄同株であり雌雄異花です。雄花は多量の花粉を放出します。近くに水たまりがあると花粉がたまり、水面が黄色に染まるほどです。花粉を顕微鏡で見ると、花粉の左右に風船のような気嚢(きのう)がついています。花粉を遠くへ飛ばす工夫です。

 受粉した雌花は翌年の秋に熟し、鱗片状の種鱗が木質化して堅くなり、長さ数cmの卵形状の球果(松かさ、松ぼっくり)になります。それぞれの種鱗の内側に翼のある種子が2個ついています。球果と呼びますが、裸子植物なので果実ではなく、種子を持つ種鱗が軸に集合したものです。樹上の球果は熟すと下向きになり、乾くと種鱗が反り開いて、種子を放出します。種子は風に乗り、広い範囲に散布されます。

写真 上から赤っぽいアカマツの冬芽、白っぽいクロマツの冬芽、先端の雌花と元の雄花

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<緑の窓> 「自然が描く」

  第8期生 住谷 收

自然の造形の写真 自然の造形の写真 自然の造形の写真 自然の造形の写真  ブナの森を歩いていると、その木肌に種々の像が浮かんで見えることがある。犬や鳥あるいは人の姿や誰かの顔に似ていることもある。
 ブナに限らずシャラノキやリョウブそしてプラタナスなどの幹にも見られる。付着している地衣類の模様であり、樹皮が剥落した跡である。あるいは木々の幹、倒木や立ち枯れの 木そのものも何かに似ていることがある。
 例えば、草津白根の噴火により焼け残ったシラビソにキリンや恐竜、バベルの塔などの形を、また解け始めた雪や崩れた雪にもいろいろな形を発見することが出来る。
 常日頃探そうと心掛けていると思わぬ所に思わぬ傑作を発見することが出来るかもしれない。

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<豆知識> 雑草の話 6

 理事長 関端 孝雄

イヌガラシの写真  自然観察会では草木の形態が類似しているために、時々種の判断に迷うことがあります。雑草の中にもそうした例が多く見られますので、雑草の話としてはやや趣旨に反しますが、身近な雑草についてしばらく記したいと思います。

 農耕地の道ばたに、黄色の十字状花(あぶらな科)の雑草を見ます。1つは多年草のイヌガラシ(@ 図1)、もう1つは越年草のスカシタゴボウ(A 図2)です。花の作りは両者共通で、雌しべ1,雄しべ6(内4本が長い)です。共に4〜9月過ぎまで長い期間花を付けます。両者の相違点で主なものを上げます。

スカシタゴボウの写真  葉について:@は浅く羽状に分裂しますが、茎の上部に着く葉は羽裂しません。葉の先は尖ります。Aは深く羽状に分裂します。茎上葉にも荒い鋸歯があり、基部には耳状の裂片があります。

 果実について:@は図に見るように長い線形で円柱状(長角果)をしており斜上します。Aは短くやや曲がった長楕円形(短角果)で果柄が下向きに下がります。その他、Aのタゴボウは名の通り湿った所に多く見られます。なお、@に似ていて花弁のないものが希にありミチバタガラシと言います。

ヘビイチゴの写真  道ばたや野原に黄色の5弁花(ばら科)の雑草が何種類かあります。赤色の果実を付けるヘビイチゴ(B 図3)とヤブヘビイチゴ(C 図4)です。共に多年草でヘビイチゴの仲間でしたがキジムシロ属に引っ越しました。3出複葉でほふく茎を出し、花柄の先に1花を着けます。Bは田の畦などに生育します。Cは全体にBより大型で、林縁などに分布します。

ヤブヘビイチゴの写真  葉について:Bは黄緑色で先が丸く見えます。Cは濃緑色で先が尖り、葉脈が葉辺まで届きます。時に外側の小葉は2裂します。

 先が尖った萼片と3裂した副萼片:Bは副萼片が花弁より大きく、Cはいずれも花弁とほぼ同長です。

 そう果(共に花床が肥大した果床に着く)について:Bは果床が淡紅色で、そう果と同様しわがあります。Cはそう果、果床共に赤く滑らかで光沢があります。 生育場所が異なりますが、両者共に形態が良く似ているものです。

草刈れば飛ぶ紅やヘビイチゴ    松尾 静子

(写真 上から図1:イヌガラシ、図2スカシタゴボウ、図3:ヘビイチゴ、
図4:ヤブヘビイチゴ)

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<群馬の自然災害>
 第2回 「夏の群馬の異常高温」の謎解き 

 群馬地球温暖化防止活動推進センター長 中島 啓治

天気図  東毛地域を中心に異常高温が観測されるのはなぜ? 

 2015年の夏は7月14日に館林の最高気温が、この年の全国最高となる39.3℃を観測したことが報道されました。群馬県では、1998年7月4日に上里見、2007年8月16日に館林で40.3℃を観測しましたが、これは全国10位(2016年1月現在)のランキングです。

 2007年の8月16日の館林の15時、気温40.3℃、風速3m/s、風向は北北西でした。 天気図 この時の前橋では、37.0、4.5、北北西、熊谷39.4、5.4、北でした。熊谷は、当時の日本の観測史上最高の40.9℃を記録しました。(日最高気温の国内最高記録は、高知県四万十市の2013年8月12日の41.0℃、第2位は埼玉県熊谷と岐阜県多治見市の、2007年8月16日の40.9℃です。)この時の伊勢崎で37.9、3、南東、みなかみ は32.3、2、西でした。これら異常高温が出るときは空気塊の押しあいのバランスが変わるときで、西風が強くなり、南東風と釣り合う状態になったのです。これは、異常高温は日照時間が長く地表面加熱が大きかったこと、利根川沿いの都市により風速が弱められ、海風による気温上昇の抑制効果が内陸部まで及ばなかったことが影響したようです。高気圧の中心が西日本に位置し、北西から山越えの風が吹き込んで顕著なフェーン現象が発生しました。

 関東地方では都市化率が高く、太平洋高気圧に広く覆われて日照時間が長く風が弱い日にはヒートアイランド現象が現れ易くなり、この影響は熊谷附近で11℃程度です。館林、熊谷周辺では、北西寄りの風と沿岸部を覆う南寄りの風(海風)が合流する場所(収束域)のさらに内陸部に位置し、比較的涼しい海風が到達しなかったのも要因の一つでした。猛暑となる理由は、@平らな地形で日射を受け易い A海側と山側からの暖かい空気がたまりやすい B内陸で海からの風が吹き込みにくく夜間にも気温が下がらない という環境にあります。

 1990年以降、夏に35℃以上となる猛暑日は急増しています。温暖化やヒートアイランドの現象を少しでも食い止める活動は重要です。

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<協会員の声> 自然への興味、そのきっかけは…

第15期生 近藤 美恵子

 山ガール? 登山はしません。ハイキング?な山歩きは大好きです。〇〇ガールとよく聞きますが、私にはよく分かりません。

観察会の写真  社会人デビューの仕事が人相手で、職場の人間関係や対人サービスに疲れ、仕事が終わると夜でも、ちょっとした山へ行ったり、田んぼの畦に行って星を眺めたり、カエルの声に耳をすませたりする時期がありました。子どもの頃は家からでも、星を見たり、田んぼの畔へ行ったりしていたのに、気づかぬうちに田んぼは家に変わり、公園ができ、街灯が増え、見える星の数も減っていました。

 そうして月日は流れ…、夏の40度を体感したのです。「やばい。地球がおかしいぞ…このままだと、相当やばいでしょ!なんとかしないと、今まで私を救ってくれていた自然や綺麗な星空が無くなっちゃう!そしたら、私は、何に救いを求めたらいいの?!」と思い、「自然を守る方法はないものか?」と思っていたところ、上毛新聞に緑のインタープリター養成講座の広告を見つけ応募したのでした。県と協会の講座を受講したのです。自然に関する知識はもちろん、文化や社会、今の子どもたちの世界など、様々な世界を学びました。「楽しい!面白!」色々な見聞を通して、自分を成長させてもらっています。自然に救われているだけでなく、自然を通して知り合えた人たちにも救われています。

 活動は始めたばかりですが、継続によって何かが良い方向へ変わると信じ、行動していきたいと思います。

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<編集後記>

 種を取ろうかと、1本だけ残しておいた「かき菜」の下に、5、6羽の鳥が来た。弾けて下に落ちた小さな黒い種をしきりについばんでいるようだ。ガラス越しにそっと覗いてみると、羽のところが黄色がかっている。「カワラヒワ」だろうか、その後も時々姿を見せる。種を取るのはまだ先になりそうだ。(大谷春)

<pdf版>

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2010年11月1日更新