NPO法人ぐんま緑のインタープリター協会紙

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新年号 第62号 2019年1月8日


ぐんま昆虫の森へぜひお越しください

 群馬県立ぐんま昆虫の森園長 関口 敦

ぐんま昆虫の森の写真  ぐんま昆虫の森は、全国的にもユニークな「昆虫」をテーマにした体験型教育施設です。昆虫や自然と直接ふれあうことにより、生命の大切さや自然環境への理解を深めていただくことなどを目的として平成17年8月に開園しました。現在まで、延べ150万人を超える皆様にご来園いただいています。本園は、東京ドーム10個分にあたる約45ヘクタールの広大な敷地に雑木林や田畑、小川など日本の原風景である里山を再現しています。フィールドでは、チョウやバッタ、トンボなどを見つけて、手に取りじっくり観察することができます。

また、巨大なガラスドームが特徴的な昆虫観察館では、今では身近にいなくなってしまったゲンゴロウやタガメなどの里山の昆虫や、ヘラクレスオオカブトをはじめとする世界の珍しいカブトムシ、クワガタムシなどを一年中いつでも見ることができます。そして、亜熱帯の温暖な環境を再現した国内最大級のふれあい温室は、まるでチョウの楽園のようです。亜熱帯の植物が生い茂る中を、日本最大級のチョウ「オオゴマダラ」などいろいろな種類のチョウが飛び交っています。

さらに、年間を通して様々な参加型のプログラムを用意しています。里山歩きや飼育室探検ツアー、季節に合わせ自然観察会や昆虫飼育講座などを開催しています。昆虫とのふれあいコーナー、工作体験ができるクラフトコーナーもあり、かやぶき民家では、自然を感じながら昔の暮らしや遊びを楽しめる里山生活体験などを実施しています。

昆虫施設としては国内最大級の規模を誇る「ぐんま昆虫の森」にぜひお越しください。

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校庭の樹木G カンフルを含み身を守るクスノキ

 顧問 亀井 健一

 クスノキは病虫害に強く、長命で大木になります。単木でも、こんもりと盛り上がり、堂々たる風格があります。そんな特徴が好まれたのか、公園、学校、神社などに多く見られます。

クスノキの写真  太田市立韮川小学校には、大きなクスノキがあります。 高さ1.3mで幹の周り(以下幹周という)は4.4mほどあり、優に巨木の分類に入ります。根元に置かれた石碑には、この木を詠んだ校歌が刻まれています。まさに学校のシンボルです。他では、前橋市月田小学校(幹周約4.1m)、藤岡市美九里東小学校(幹周約4m)などのクスノキが巨木に入ります。県指定天然記念物として、桐生市新里町野にある「野の大クス」(幹周約7.7m)と、「桐生日枝神社のクスノキ」(幹周約5m)が知られています。

日本最大のクスノキは、鹿児島県姶良(あいら)市の蒲生八幡神社にある「蒲生の大クス」(昭和27年、国の特別天然記念物に指定)です。過日訪れた折に見た解説板には、目通りの幹周が24.2m、根回りは33.6m、高さ30mとありました。これは全樹種を通しても日本最大の幹周であり、日本で最も大きい木です。この木の前に立ったときは、生きてきた年月の長さを思い、思わず姿勢を正して仰ぎ見てしまいました。

クスノキの写真  子供たちにはクスノキに出合ったら、「葉を千切って香りを嗅いでみよう」と呼び掛けています。さわやかな樟脳(カンフル)の香りがします。防虫成分を含む材は、虫や腐敗に強く、昔は船の建造に使われました。また、アオスジアゲハの幼虫は、防虫作用のあるこの葉を好んで食べます。他の昆虫との餌をめぐる競合を避けていると考えられます。さらに、和名クスノキの語源としては、香りがあることから「臭し(くすし)」が「クス」になったという説、「薬(くすり)の木」に由来する説などがあります。

クスノキの写真  本種はクスノキ科の常緑高木で高さ20m以上になります。中国、台湾、ベトナムなどの暖地に分布し、日本では本州、四国、九州の暖地に生育します。群馬には自生しませんが、植栽されたものが多数あります。中国から有史以前に導入された史前帰化植物ではないかとの説もあります。人里に多いのは、そのためかもしれません。

 葉は互生し、長さ5〜10cmの卵形や楕円形、革質でつやがあります。三行脈が目立ち葉の縁はなめらかです。花期は5〜6月で、黄白色の小さな花がたくさんつきます。秋に果実は熟して紫黒色になり、小鳥に食べられ、消化されない種子は散布されます。

写真 上:韮川小学校のクスノキ、中:クスノキの花、下:クスノキの果実

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<協会活動のトピック>

感謝状授与の写真 12月26日(水) 群馬県立観音山ファミリパークより、当協会の観音山ファミリパークの事業(自然の森の植生調査、月例自然観察会、自然の森の樹木の図鑑作成等々)への協力に対し、感謝状をいただきました。
次年度も「自然の森」の植生調査、月例自然観察会を実施していきます。また「自然の 森の草本」図鑑を作成、発行予定です。
引き続き、協会員の皆さんの協力をお願いします。

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<緑の窓> 溶岩樹型

 第3期生 土屋 茂次

 群馬県には三つの特別天然記念物があります。一つは「尾瀬」、二つ目は「カモシカ」、三つ目が私の住んでいる嬬恋村と長野原町にある「溶岩樹型」です。
 「溶岩樹型」とは天明三年の浅間山の大噴火によって流れ出た吾妻火砕流が麓の森林を流れ下り、木々を取り囲み、木の形が空洞となり深く井戸の様な穴になった物を言います。
溶岩樹型の写真
樹型の出来る条件としては
@豊かな森林が有った事、
A傾斜が緩やかな地形である事、
B流れの速さが鈍る末端部に木々がある事、
このような条件が揃って樹型が出来たと言われています。

 樹形は直径50cm〜2m深さ3m〜6mの物が500個以上とされていますが今年度より再調査(三年間)が始まりました。樹型の中にはエメラルドグリーンに輝くヒカリゴケを観ることが出来ます。単独でも天然記念物に指定されていますが、原始的で環境の変化に弱くレッドリストにも指定されているヒカリゴケですが、ここの樹形では65%以上の穴で確認され、驚くことにその数は年々増えています。

 10年ほど前から保護委員会が組織され毎年4〜5回の作業を行っています。作業の内容としては草刈り・枯れ木の除去・遊歩道の整備・秋に落ち葉が穴に入らないように網掛けをして春には網外しです。8月には地元民を対象に観察会を開いています。整備が進んだ結果、林床に光が入り色々な植物が顔を出し始め、私たちを楽しませてくれています。
 協会員の皆さんも足を運んでみては如何でしょうか。

写真 溶岩樹型

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<豆知識> 雑草の話 12

  理事長 関端 孝雄

 あの土手の北側には畑や竹藪があります。藪の盛り上がりに近づいて見ると、内側が見えない程ぎっしりと繁茂した立派なクズ(図1)の山です。 クズの写真 秋、赤紫色の花が咲き甘い芳香を放っています。しかし、クズの下の生き物達はさぞかし息苦しいことでしょう。つるは縦繊維が丈夫で引っ張りに強く、太い道管を蔵しています。このような姿は、ヤブガラシ(ブドウ科)やカナムグラ(アサ科)なども作ります。いすれもつる植物で、背の高い木や塀に支えられることで己を支持するための組織に投資するエネルギー量を少なくし、高所まで達することが出来ます。

クズの写真  クズはマメ科でつる性の多年草です。日本原産で、九州以北に広く分布しています。秋の七草の1つに数えられ、昔から食用、薬用、衣類、家畜飼料などに使われてきました。根は食材としてデンプンを取り葛粉として利用し、漢方薬や民間薬などには初夏に採取された葛根が用いられています。根は長芋状の塊根(図2)、長さは1m以上で太さは何と20pにもなるようです。内部に根粒菌を飼い、お互いに養分を交換し共生しています。根粒菌から窒素化合物を提供してもらえるので、マメ科植物は荒れ地でも元気に成長出来ます。

クズの写真  つるは10m以上伸び、褐色の細かな毛を密生させツルッとはしていません。籠を編んだり、繊維で布(葛布)などに使用されました。蕾や花と同様に花後のつるの先は甘みを増し天ぷらにすると美味です。でも、人工林のスギやヒノキなどの若木がつるに絡まれたら商品になりません。北米に良かれと持ち込まれたクズは繁殖力旺盛で今では「悪魔の植物」と「屑」扱いです。葉は三出複葉で、裏面には白い毛が密生しており白色に見えます。葉柄の基部にある膨らみ(葉枕)で圧力を変化させ葉の向きを変えます。日差しが弱い時には葉面を太陽に向け、日射が強いと葉を立てて白い葉面を出して日光をいなします。別名ウラミグサ(恨見草)の名の所以のようです。

クズの写真  花は葉腋から総状花序を出し、蝶形の花を下から咲かせます。蝶形花冠は5枚の花弁から成りますが、形を3種類に変えています。正面上方の大きな花弁は旗弁と呼ばれ、その基部には黄色の部分があり昆虫に蜜のありかを示すので蜜標と云います。旗弁の下に突き出ているのが舟弁(しゅうべん)と翼弁で、翼弁が舟弁(竜骨弁とも云う)を包み込んでいます。1個の雌しべと10個の雄しべが2枚の舟弁で包まれています(図3)。雄しべの上の1個は遊離し、他の9個は先端を除いて癒着し丈夫な鞘になっています(二体雄ずい)。虫が蜜を求めて花の翼弁に乗ると、虫の重みで翼弁が押し下げられ舟弁から雌しべと雄しべが外に押し出されて虫の体に接触し、花粉の授受が起こることになります。
豆果は毛で覆われています(図4)。

写真 上:図1.クズ 中:図2.根塊 下:図3.蝶形花 左:図4.豆果

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<群馬の自然災害>第8回 東毛地域を中心に地盤沈下

 元群馬県地球温暖化防止活動推進センター長 中島 啓治

 群馬県の平野部は、関東平野の北西部にあたり、利根川と渡良瀬川にはさまれた地域です。利根川の南側に隣接する埼玉県においては地下水の汲み上げの影響で早くから地盤沈下が起っています。同じ地下水盆の一部をなす本県の平野部でも地盤沈下、地下水位の低下が見られます。

 本地域の地下には、厚さ200m以上の氷河時代の地層が伏在します。例えば、館林市赤生田のボーリング資料では、地下57〜85mに貝殻片が見られ、99〜120mの貝殻片はカキが大部分です。この57〜125.5mは砂層、粘土層で海棲の珪藻化石が見られます。海域が最も安定した中‐後期更新世の関東平野に出現した内海です。過去約40万年間で海域が最も拡大した約30万年前、約40万年前に対比されます。沈降運動の中心部が板倉町や栗橋付近で、沈降は1年で1mmと言われ、10万年では100mです。

地盤沈下の図  地盤沈下は、過剰な地下水の採取によって、主として粘土層が収縮するために生じる現象です。地盤沈下は、比較的緩慢な現象で徐々に進行し、いったん地盤沈下が起こると元に戻りません。

 近県も含めた開発の進行する中で上水道、工業用水、農業用水などの目的での地下水の揚水によるもので、それが地層の収縮として現れています。一級水準測量による累積沈下量は、最大の明和町新里では、昭和51年から平成29年の41年間に474.3mmですから、年に11.6mmとなります(群馬県環境白書H29.9)。

 地下水の採取は、深度100m以深、特に150m以深の被圧地下水であり、ほとんど同一水準の帯水層(砂礫層、砂層)から取水しています。例えば、H28.1.1〜H29.1.1の1年間の太田市(藪塚本町を除く)の地下水採取量は、21,534千m3(水道用は17,278千m3)、明和村は、7,270千m3(工業用は6,009千m3)です。

 地盤沈下は、地下水の過剰な汲み上げによって生じるので、その防止には地盤沈下防止に関する規制等を実施しての地下水利用の適正化が重要です。さらに取水における地下水から表流水への転換を推進することに努めることです。

図:累積地盤沈下量上位5地点:群馬県環境白書2017

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<協会員の声> わくわく ドキドキ 自然観察教室

 第16期生 中村 久和子

 「子どもたちの世界は、いつも生き生きとして新鮮で美しく、驚きと感激にみちあふれています。残念なことに、わたしたちの多くは大人になるまえに澄みきった洞察力や、美しいもの、畏敬すべきものへの直感力をにぶらせ、あるときはまったく失ってしまいます。」(レイチェル・カーソン センス・オブ・ワンダーより)

自然観察教室の写真  自然観察指導員として小学生と一緒に校庭の樹木を中心に自然観察をしました。
 「ケヤキの短枝の葉は小さく、葉柄の根元には種子が一つずつ付いて、風が吹くと短枝ごと木から離れてくるくると回りながら飛んでいくんだよ。」「ブナの葉は、卵形で先が尖っているよ。多くの葉がのこぎりの歯のようなギザギザした縁をしているけれど、ブナの葉の縁は丸みを帯びた波状になっていて、葉脈の先端が波状のへこんだところへ向かっているという特徴があります。」
 子どもたちは、目を輝かせて説明を聞き、真剣に自然と向き合っています。

 科学は、ただ教えられることを覚えていくだけではおもしろくないものです。科学的好奇心が喚起されるのは、自然の神秘を実感する体験であったり、本物に触れる機会であったり、心を揺さぶられる感動的な体験が大事です。
 これからもずっと子どもたちと一緒に、「センス・オブ・ワンダー」を持ち続けていきたいと思います。

写真 自然観察教室

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<編集後記>

 インタープリターの公式「インプリの機会=(人の理解+資源の理解)×適切なスキル=ねらいの達成」。
 県の養成講座で教えられたことが今生き、これからも活かされるようにと思う。さらに、「つなぐ人、緑の架け橋」としての役割の基本が、「共にいること」であり、共にいて「人に、自然に聞き」、最後に「書く、話す」が為されると教えられた。常にそうありたいと願う。(吉永)

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<pdf版>

協会紙 平成30年度新年号 第62号 pdf版

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協会紙 平成30年度夏季号 第60号 pdf版

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協会紙 平成23年度夏季号 第32号 pdf版

協会紙 平成23年度春季号 第31号 pdf版

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2010年11月1日更新