NPO法人ぐんま緑のインタープリター協会紙

協会紙表紙

秋季号 第61号 2018年10月9日


初めてのトレッキングコース

  群馬県立観音山ファミリーパーク
NPO法人KFP友の会園長 野町 隆宏

トレッキングコースの写真  公園の東側に約30ヘクタールの自然林があり、周回できるよう鎌倉時代からある古道を利用して遊歩道を整備しています。

シニアや幼児が山道歩き【初歩的なトレッキング】が楽しめるように、
@一帯に広がる丘陵の樹木を理解する「自然の森の樹木(NPО法人ぐんま緑のインタープリター協会編集)」の図鑑の発行と販売。
A各ポイント標柱に自然に因むクイズを掲示して、周回しながら答えを完成させて景品をもらう。
Bインスタグラムの撮影ポイントの設置、
C古い祠の改装、
D屋外写真ギャラリー(来春完成予定)
があり、都市近郊ならではの自然を楽しむ環境を提供しています。外周歩きは約1時間のコースになっています。

また、ボランティアの手により「幻の蝶 アサギマダラ」が飛来するようフジバカマを植えるなど整備を図りました。最近では、子ども達が自由に捕獲できるよう「カブトムシ」の大量養殖も始めました。

 都市生活者にとって自然の中に溶け込んで植生など具体的に体験できる機会が少なくなってきていると思います。来園者は幼児を連れた家族が中心となっており、遊具やバーベキューを楽しむ以外に折々の自然に実際に触れられるような公園づくりを目指して参ります。

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校庭の樹木F 〜昔から大切にされていたケヤキ〜

 顧問 亀井 健一

ケヤキの写真  地元ではよく知られた前橋市立大胡小学校の大ケヤキを見せてもらいました。校庭の一隅に児童を見守るように生えていました。校歌にも歌われる学校のシンボルです。測ってみると、1.3mの高さで幹周は5.6mありました。校庭にあって、これだけの大木で、自然樹形が保たれているのはまれな例です。
大木になると安全確保のために強く剪定されてしまうのが普通です。この木を守るために、地元の人たちにより「大けやきを守り育てる会」が結成され、学校と連携して活動をしていることを知り、素晴らしいことと思いました。

 全国的にケヤキを「県や市町村の木」に指定している例が多くあります。群馬県では前橋市、高崎市、神流町、中之条町、東吾妻町及び大泉町が指定しています。また、前橋駅前から県庁にかけてのケヤキ並木は、全国的に著名です。寿命が長く巨木になるので、天然記念物や巨木の指定を受けた木もあります。本県で最も大きいケヤキは、東吾妻町原町にある「原町の大ケヤキ」(国指定天然記念物)で、目通りの幹周は11mになると言います。残念ですがこの株は、見るのがつらいほど損傷しています。

 関東平野に多かったのは、幕府の政策による面もあったようです。木造船をつくる材料にするためケヤキの植樹を奨励したそうです。また、材は木目が美しいこと、磨くと光沢がでること、堅く摩耗に強いことから、生活用具、家具、建具などに使われています。また、農家の屋敷に多いのは、この材で餅つきの臼や杵などをつくり、落ち葉を堆肥に使ったからです。現代は公園や学校などで大きな緑陰をつくる木として、利用されています。

ケヤキの写真 ケヤキはニレ科ケヤキ属の落葉高木で、高さは普通20〜25mになります。自然樹形は箒型です。丘陵や山地の谷沿いなど肥沃な場所に自生しますが、乾燥地や栄養分が少ない場所でも生育します。貧栄養であることが多い公園、校庭などで大木になります。
 葉は互生で、葉身は長さ3〜7cmの狭卵形や卵形。縁に鋭い鋸歯があります。雌雄同株で雌雄異花です。花期は4〜5月、雄花は新枝の下部に、雌花は新枝の中部〜上部の葉腋につきます。両花とも直径数ミリと小さく、緑色っぽくまったく目立ちません。雄花は数個の雄しべが突き出していること、雌花は子房のかたまりが目立ち、いずれの花かわかります。秋には直径4mmほどの小さな堅い果実が多数つきます。大木にしては、その小ささは驚きです。果実だけが落下したのでは遠くまで運ばれないので、遠くへ届くよう驚くようなうまい工夫が見られます。数個の果実と数枚の葉をつけた小枝ごと落下します。その葉は少しねじれてスクリューのようになり、小枝は風を受けて回転しながら飛んでゆきます。

 和名の由来については、ケヤキは「けやけき木(際立って目立つ木)」に由来し、ツキまたはツキノキとも呼びますが、こちらは「つよき(強木)」に由来するとの説があります。

写真 上:大胡小学校の大ケヤキ、下:雄花と雌花がつく新枝

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<協会に対する支援>

●9月25日(火) 株式会社サンワ「美しいふるさと基金」遠藤宗司様より運営資金として30万円ご寄付いただきました。

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<緑の窓> 「緑の窓を覗いてみて・・・」

 第16期生 清水 岩夫

 朝の天気模様次第で山に登っていた勝手気ままな自分が、過去にいた。そのうちガイドをしてみようと思い、赤城自然塾の「赤城山検定」を受験。自然の成り行きで「環境ガイドボランティア」への道に入っていく。いくつかのガイドをこなしていくうちに、自分のお客様への説明力の乏しさを痛感し、昨年「緑のインタープリター養成講座」を受講し、そしてインプリ協会のお世話になる事になった。

 植物の事を学んで、自然界の中で唯一の生産者として君臨している、そして動くことが出来ないながら、それに代わる技を有している「知能者」に日々脱帽している。他にも地球上に降り注いでいる強過ぎる紫外線に対処する技、実にあっぱれという他ありません。ヒトは植物のその技をマネたり食べたりして助けてもらっています。あくまでも自然界での"消費者"です。そもそも地球上への紫外線量を増やしてしまったのも、オゾン層を破壊した張本人=ヒトでした。今後地球環境の崩れは激しさを増していくのではないでしょうか。改めてヒトの活動と地球環境保全は二律背反であると思います。

コニシキソウの写真  このような自然環境が厳しさを増していく今日、我々「緑のインタープリター」は子供達に"自然体験〜生き延びる力"を伝える手段として、植物の中の《帰化植物の雑草》を取り上げ、帰化植物によって在来種が駆逐されつつあるといった説明をすることは大切ですが、"帰化植物は在来種とは違って、強い生き方をしているネ…"そんな紹介の仕方も宜しいのではないでしょうか。

写真 コニシキソウ(帰化植物)

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<豆知識> 雑草の話 11

  理事長 関端 孝雄

チガヤの写真  近くの土手には雑多な種類の雑草で被われていますが、時々草刈りが行われます。平らな路面と斜面の一部には芝生の如く綺麗に刈り込まれますが、斜面の大部分は様々な高低の雑草達が残されます。
 7月中頃、ある所ではオオマツヨイグサやヨモギ、クサボケが目立ち、また別な所にはススキやチガヤの間からヒメジョオンやナズナ、カラムシなど、その他クズ、メヒシバ、オヒシバ、ヒメムカシヨモギ、ノハラアザミ、ノコンギク、エノコログサ、シバ等々互いに競い合って地面が全く見えないほどの雑草群落を呈しています。

 チガヤはイネ科の植物で日本の在来種ですが、本来熱帯や亜熱帯に分布の中心があり、関東地方ではススキやオギほど草丈はありません。ですから年間1度も草刈りが行われないと、チガヤは次第に衰え、やがてススキ草原へ移っていきます。昔は田畑の肥料や家畜の飼料、紙、茅葺きなどの材料にしていました。また、根茎(は利尿や脚気、止血など多数の薬効が知られています。若い穂は甘みがあるので子供達は良く口にしました。

 チガヤは日当りの良い強酸性から弱アルカリ性の痩せ地でも生える「C4植物」(雑草の話9参照)です。根茎は地中にあってシバよりも多数の根をかなり深くまで張るので、雨水による浸食に対して土手などの斜面を保護するのには最適の材料として見直されつつあります。緑地帯に勢ぞろいした銀白色の穂波は美しく綺麗なものです(図1)。

 地表で草刈りをし、また、根茎が切られても茎が土中に残っていれば各節に定芽があり萌芽します。それ故、根まで駆除するのは大変苦労なことで、特に熱帯地方では「世界の強害雑草」と認定されているとか。風媒花で毛を蓄えた種子を風に託し散布しますが、それよりも根茎による繁殖の方が優れています。

 チガヤは、根茎から少数広線形の葉をほぼ真っ直ぐに立ち上げます。気温が低下してくると先端から赤くなります。初夏になると葉より長く分枝しない花茎を出します。穂はチバナとも呼ばれ、細長い円柱状をしており銀白色の綿毛で包まれています(図2)。
チガヤの写真 チガヤの写真









 小穂は花序から延びた短い柄に2個ずつ着きます。小穂にある小花には2個の雄しべと1個の雌しべがあります。雌しべは2花柱あり、柱頭は細長く紫色になります(図3)。
 節に毛のある型(フシゲチガヤ)と無いもの(ケナシチガヤ)とがあります。日本列島では、前者の分布が多く西方にやや偏っています。お住まいの近くで見られるチガヤはどちらでしょうか

写真 上:図1.チガヤの穂波 下左:図2.チガヤの穂 下右:図3.チガヤの小穂

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<群馬の自然災害>第7回 天明3年(1783)の「天明泥流」による利根川の流路変更!!

「七分川、三分川」の変遷の歴史

 元群馬地球温暖化防止活動推進センター長 中島 啓治

 前橋から旧芝根村(現玉村町)沼之上(現五料)にいたる利根川の流路は、天文時代(1532〜54)の洪水によってできた河道で、沼之上付近は小規模の乱流を行ってきました。七分川、三分川はその1つで、七分川は天和元年(1681)沼之上から八町河原の間の流路が埋没して新たにできた河道です。ところが天明3年(1783)の浅間山の噴火の「天明泥流」で七分川は埋まって三分川が幹線になりました。

七分川、三分川の図  天明の浅間の大噴火(1783)のさいに、火山噴出物が大量に利根川に流れこみ、河床を上昇させてしまい、「暴れ川」となってしまったのです。その後、下流域の各地で水害が再び起こりはじめ、舟運や農業用水の取り入れにも、支障がでてきました。 その対策として、利根川の東遷がさらにすすめられると共に、現在の群馬県の邑楽郡一帯が、遊水地の役目をはたすことになりました。

 明治期に入り、富国強兵の政策のもとに、足尾鉱山の開発がすすむとともに、鉱害が、ますます激しくなり、鉱毒水が東京まで流れこむようになったことが、さらに東遷工事を、強力に継続させることになりました。
 明治29年(1896)の洪水のさいには、農商務大臣の榎本武揚の東京の屋敷まで鉱毒水が流れこみ、榎本自身が、足尾まで視察にでかけています。この事件は、渡良瀬遊水池の計画の発端となり、公害闘争の原点ともいわれる谷中村事件(1907)までに引き継ぐことになりました。

 谷中村事件の背景は、鉱毒問題の視点だけではなく、治水問題の視点がなければ本当のことは理解しにくいのです。徳川幕府の江戸を、そして、明治政府の東京を水害から守るため、東遷がすすめられたことになります。もともと東京湾に流れこんでいた利根川を、むりやり東遷させたことの矛盾は、いつの時代にもついてまわりました。

浅間石の写真  高崎市玉村町から伊勢崎市柴町へ通じる県道142号線が利根川に懸かる五料橋の左岸下流、400m付近が七分川の分岐点です。流路だった跡にある畑の縁には、「天明泥流」で運ばれてきた浅間石が集められています。また、近くには押し流されて来た多くの人を弔った「戸谷塚観音」があります。



写真 上:「利根川治水史』(栗原良輔:1943.7) 下:伊勢崎市戸谷塚町の七分川の跡地(低地となって耕作地に利用)

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<協会員の声> 「大人のための自然教室」での出会いに感謝

 第16期生 廣神 典子

観察会の写真  私が自然に興味を持つようになったのは、小学校5年生の時。理科を教えて下さった先生との出会いからです。特に"尾瀬"についての話はとても興味深く、いつしか私の憧れの地になっていました。
 後年、先生が解説された『尾瀬の植物図鑑』を片手に、雪解けの頃から晩秋まで何度も足を運んだのです。野の花に感動し、鳥の囀りに癒され、せせらぎに耳を澄まし、風を感じて、星空を見上げる。
 こんな自然の素晴らしさを教えて下さった恩師は、里見哲夫先生(今年2月の観音山ファミリーパークシダ植物観察会講師)でした。

 友達の勧めで、平成29年度の"大人のための自然教室"に参加致しました。なんと、隣の席に座った女性が、「先生にお会いしたい!」という私の思いを叶えてくれたのです。
 賛同して集まった教え子達を前に、89歳の先生の目には涙が・・・。この教室に参加しなければ成し得なかった再会。
 繋いで下さった同期の友人と協会に、感謝申し上げます。

写真 観音山ファミリーパークシダ植物観察会

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<編集後記>

 大地震、迷走台風、集中豪雨、平成最後の夏は記録的な猛暑でもあった。多方面に甚大な被害が及んでいる。ボランティア活動に力を注ぐ人々の善意には頭が下がる。温暖化、気候変動と言葉が並ぶが、それだけで良いのだろうか、何かが問われている。生態系の変化も見逃せない。 (大谷)

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<pdf版>

協会紙 平成30年度秋季号 第61号 pdf版

協会紙 平成30年度夏季号 第60号 pdf版

協会紙 平成30年度春季号 第59号 pdf版

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2010年11月1日更新