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8.4 データの分析

 組織は、品質マネジメントシステムの適切性及び有効性を実証するため、また、品質マネジメントシステムの有効性の継続的な改善の可能性を評価するために適切なデータを明確にし、それらのデータを収集し、分析すること。この中には、監視及び測定の結果から得られたデータ及びそれ以外の該当する情報源からのデータを含めること。
 データの分析によって、次の事項に関連する情報を提供すること。

a) 顧客満足(8.2.1参照)
b) 製品要求事項への適合性(7.2.1参照)
c) 予防処置の機会を得ることを含む、プロセスと製品の特性及び傾向
d) 供給者

1. データの分析の意図と重要性

94年版の運用で言われていた、ISOに基づく活動が結果(パフォーマンス)につながらない、という側面を払拭するための要求事項です。

この条項の目的・意図は、

品質マネジメントシステムの有効性の継続的な改善の可能性を評価する

ことであるため、データの分析結果から「8.5 改善」のテーマを抽出することが最重要課題です。

実際問題としては、データの収集はできているものの分析が適切に実施されアクションにつながっているケースは少ないのではないかと思います。データは何のためにとるのかが明確になっていない、または過去には意味があったが現時点ではデータをとっていることが顧客に対してのポーズになってしまい、「ちゃんと管理していますよ」という証拠程度になっているということはありませんか。

データとはありあわせの数値の集まりではなく、何のためにどのようなデータをとるのかが明確になっていて、初めて有効なデータとなるのです。また、このように目的が明確にされたデータをとり、適切な方法で分析することによって問題点の明確化も可能となり、改善が思いつきではなくなるのです。

2. データとその分析から得る情報の例

データの例としては次のような項目が考えられるでしょう。

・ 品質目標の達成状況
・ 顧客満足の情報
・ 苦情、顧客の声、その他顧客からの情報
・ 製品の監視・測定から判明した情報
・ 不適合・不適合製品に関する情報
・ 特別採用に関する情報
・ 監査・審査の結果に関する情報
・ プロセスの監視・測定から判明した情報
・ 供給者の評価・再評価に関する情報
・ 是正・予防処置の情報
・ 継続的改善に関する情報

もちろん、製品の測定結果のような数値(定量的)データもあれば、作業担当者からの聞き取り情報のような(定性的)データもあり、データの形に対する制限などはありません。

これらの情報をどのようにして収集するか、どのような方法・タイミングで分析するか、分析によって得られた情報をどのように活用するかをあらかじめ決定した上で収集・分析を実施します。

データの分析によって得る必要のある情報としては次のような項目があります。

・ 顧客満足はどのぐらい達成できるか
・ 製品要求事項への適合状況はどうか
・ プロセスおよび製品の性状と傾向はどうなっているか
・ 改善の余地があるとすればどこか
・ 供給者の能力や適性はどうであるか

データの分析から「傾向」を把握することはとても重要です。不具合が顕在化する前に、あるいは増加傾向をとらえるための管理や情報収集は経営的にも極めて重要な項目です。

供給者に関しては、「7.4 購買」の対象から発生する不具合情報や供給者に対する品質目標の達成状況などが挙げられ、供給者に対する評価につなげることも有効です。

いずれにしてもデータの分析を行う上でしっかりと目的を明確にしておくことが最も大切なポイントです。

・ 品質マネジメントシステムの適切性、妥当性、有効性の検証
・ 品質マネジメントシステムの完成度を高めるためのシステムの改善の余地の評価

3. 不適合・改善要望事例と考察

不適合・改善要望事例考察
顧客クレームの発生件数推移をとっていますが、その内容の推移に関する分析が見当たりません。 顧客クレームの件数だけは把握していたが、件数だけの資料として残しているだけで活用することは検討していなかった。
設備の修理記録が修理業者の発行する報告書としてファイルされていましたが、機械台帳への記録を進め、保全資料として活用できないか検討してください。 修理報告書はただ単にファイルしているだけで他のことには活用していなかったため、設備診断の資料(設備不調の予防)として活用してほしいとのアドバイス。
顧客からの苦情の受付窓口として営業部により苦情の件数および苦情内容の把握をし、その結果として、営業としての改善事項を明確にして活動の方針をつくることを検討してください。 苦情データは品質保証部が集計しているデータしかないが、営業部として自主的に苦情データの分析をすべきという助言。
購買品の特性データをグラフ等にして、購買時の品質状態の確認・管理を徹底するべきである。 組織は、品質マネジメントシステムの・・・データを含めること。

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