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4.3.3 目的、目標及び実施計画

 組織は、組織内の関連する部門及び階層で、文書化された環境目的及び目標を設定し、実施し、維持すること。

 目的及び目標は、実施できる場合には測定可能であること。そして、汚染の予防、適用可能な法的要求事項及び組織が同意するその他の要求事項の順守並びに継続的改善に関するコミットメントを含めて、環境方針に整合していること。

 その目的及び目標を設定しレビューするにあたって、組織は、法的要求事項及び組織が同意するその他の要求事項並びに著しい環境側面を考慮に入れること。また、技術上の選択肢、財務上、運用上及び事業上の要求事項、並びに利害関係者の見解も考慮すること。

 組織は、その目的及び目標を達成するための実施計画を策定し、実施し、維持すること。実施計画は次の事項を含むこと。

a) 組織の関連する部門及び階層における、目的及び目標を達成するための責任の明示
b) 目的及び目標達成のための手段及び日程

1. 環境目的・目標とは?

まず、環境目的・目標とは何でしょう。規格における用語の定義をここでもう1度おさらいしてみますと、

環境目的:
組織が達成を目指して自ら設定する、環境方針と整合する全般的な環境の到達点。

環境目標:
環境目的から導かれ、その目的を達成するために目的に合わせて設定される詳細なパフォーマンス要求事項で、組織又はその一部に適用されるもの。

この定義から考えてみますと、会社組織の環境方針を達成することを主眼として初めに環境目的を設定し、その環境目的を達成するための詳細な活動の到達点として環境目標が設定されるということになるでしょう。 環境目的・目標の設定の仕方にはだいたい次の2つの方法があるようです。

1)ブレイクダウン型
環境方針をブレイクダウンして中長期的(3〜5年)な達成ビジョンを作り、それを環境目的とする。そのうち初年度に達成すべき単年度(1年間)内容を詳細かつ具体的に定めたものを環境目標とする。

2)分担型
環境方針を展開して達成すべき内容を示した全社目標(これを環境目的とする)にし、それを達成するために関係部門に詳細かつ具体的に割り振って分担(貢献)できるようにし、これを環境目標とする。

ほとんどの企業・組織で採用している方法は1)のようです。ちなみに当方では1)の変形型と言いましょうか、末端の実務部隊が環境方針を念頭に置きながら著しい環境側面に基づいて環境目的(3年で達成する項目)、環境目標(環境目的を達成するため1年間で取組む項目)を立てて活動を実施するという手順にしました。

目的・目標の組立て方の例

なお、環境目的・目標は夢や理想を掲げるのではなく、あくまでも努力すれば達成できる程度の内容にしておくべきです(定義の中にも「達成を目指して自ら設定する」とあります)。また、会社組織の規模にもよりますが、たくさんの目的・目標を掲げていればいいのかというとそういうことでは決してありません。 背伸びし過ぎずに実現できて、重点的に進捗・達成管理ができるレベルに設定しておくのがうまくいく秘訣だと思います。

環境方針と目的・目標

とは言っても塵も積もれば山となるのような目的・目標ばかりを掲げていては環境配慮型組織になるまでにどれだけの年月を割くことになるか・・・。時には設備投資、工程変更などの思い切った行動をしてみることも要求されるかもしれません。

また、環境目的・目標として掲げるには問題が多すぎて(大きすぎて)とりあえず現状維持ぐらいしかできない項目がある場合は、それらを目的・目標には掲げず、日常管理項目などとして扱っておくほうがよいと思います。

2. 環境目的・目標を設定・見直しする際の考慮事項

・ 環境方針との整合性
・ 著しい環境影響に関連する側面
・ 法的およびその他の要求事項
・ 社内外の利害関係者の意見、要望および苦情
・ 汚染の予防
・ 技術的可能性
・ 経理上、運用上、事業上の問題(とくに費用対効果の考慮)

環境目的・目標を設定する際には以上のような事項に考慮することが規格の中で求められています。とくに環境方針と整合していること、汚染の予防(環境方針の中でも述べられています)、著しい環境側面と目的・目標とのつながりを説明できるようにしておくべきでしょう。

また、目的・目標の達成状況を評価することが監視・測定の項目で述べられていますから、可能な場合は数値化し、不可能な場合はより具体的な状況を述べておく必要があります。あいまいな表現にしておくと達成したのかしていないのか評価できないからです。 数値の例としては、産業廃棄物を前年度比5%削減、ガソリン1L当たりの配送件数20件など。状態の例としては、管理体制を構築する、管理手順書を作成するなど。

上記で述べたような目的・目標とはせずに日常管理によって現状を維持するような活動については、「4.4.6 運用管理」によって運用状態の管理および監視・測定を行っていきます。

著しい環境側面および環境目的の関連図

3. 2004年版改訂による変更点

2004年版改訂によって1996年版の「4.3.3 目的及び目標」と「4.3.4 環境マネジメントプログラム」が「4.3.3 目的、目標及び実施計画」として1つになりました。目的、目標はISO 9001:2000と同様にその達成度が判定可能(measurable:数値化にこだわらない、進捗状況の把握が可能ならばよい)であればよく、無理に数値化する必要はありません。 「プロジェクトが、新規開発及び・・・適用されるように、プログラムの該当部分を改訂しなければならない」は、「4.3.1 環境側面」に移動しています。

また、環境目的・目標の設定対象がすべての部門・階層を意味するものではなくなりました。事務部門などのように著しい環境側面がほとんどなく、長らくエコオフィス活動を無理に目的・目標にしているような場合、エコオフィス活動は目的・目標から日常管理項目に移動してしまうという対応も可能でしょう。

4. パフォーマンス指標(原単位)の導入

数値化した目的・目標を設定する場合、数値・状態をどういう単位でとらえるかということが問題になります。すべてを絶対値だけでとらえるのは非常に危険ですから、指標化(原単位)の考え方を取入れる必要性が出てきます。パフォーマンス指標(原単位)の例には次のようなものがあります。

・ 使用される原材料・エネルギー量
・ CO2などの排出量
・ 生産量に対する廃棄物発生量
・ 原材料・エネルギーの使用効率
・ 運用基準を超過した件数
・ リサイクル率
・ ロット当たりのサービス輸送距離
・ 指定化学物質の使用量
・ 環境関連の投資額
・ 苦情件数

5. なぜ数値化か?

目的・目標は、可能な場合には数値化することが求められています。ISO規格を離れて考えてみても、いろいろな場面で目標を設定する際には数値化が求められます。では、数値化をする意味とはいったい何なのでしょうか。数値化の意味としては例えば次のようなことが考えられるのではないでしょうか。

・ 達成状況をつかみやすい(結果どうだったか、今後どうすればよいか)
・ 他者に示しやすい、客観的で説得力がある
・ 進捗が遅れている場合、隠しようがない(データの改ざんがなければ)

結果が数値ではっきりと出てしまうのはよくもあり悪くもありますが、目標値に対して現状はどうなのかを示してくれるもの(ツール)だと割り切って考えると受入れやすくなるのではないでしょうか。

6. 実施計画の責任・手段・日程

自ら設定した環境目的・目標を実際どのように達成していくのか、という実施計画を策定します。規格の中では目的・目標の達成を成功に導くための要素として責任・手段・日程の明示を挙げています。考えてみますと、環境目的・目標だけでなくあらゆる分野においてこれらを設定しておくということは基本的なことですが・・・。

さて、まず責任についてですが、目的・目標を達成させるための責任を誰が負うかということを決定します。必要に応じてこの責任は、目的・目標の達成活動の実施責任者・実施担当者に分けてそれぞれを決めておいてもよいと思います。誰が責任を負っているのか追跡可能な表現(個人名、個人が特定できる場合は役職名など)にしておくと責任のあいまいさがなくなります。

次に手段を決定します。目的・目標を達成するためには相応の段取りを踏んでいかなくてはなりません。基本的な達成手段としては、“現状の把握”⇒“管理手順・体制の確立”⇒“手順の実施による具体的な活動”が挙げられます。実施計画の中でどこまで詳細な手段が必要かは組織の決め方によって変わってきますが、詳細な手順をここで明記しておけば、これが運用管理手順書にもなります。

最後に日程を決めます。責任、手段を決めてもダラダラとやっていたのではいつまで経っても目的・目標を達成することはできませんね。各責任者が達成手段をどういったタイムスケジュールで実施するかを決定するのです。もちろん、そのタイムスケジュールは目的・目標を達成できる見込みのあるものでなくては意味がありません。ここまで決まったら、後は実行あるのみです。

7. 日常管理項目も入れ込んじゃおう!

環境目的・目標の実施計画を策定する際に、もし、日常管理項目(著しい環境側面であるが何らかの理由により目的・目標にはできないもの)があるのならば、その維持・管理もこの実施計画の中に入れ込んで一緒にやってしまうというのも1つの方法です。

というのは、現状維持のための日常管理活動(責任・手段・方法)は、目的・目標の達成活動と何ら違うところがないからです。ただし、現状では環境影響に変化を与えられないという意味で、より詳細な運用管理手順と監視・測定が必要になってくるかもしれません。

8. 質問と回答

9. 関連サイト・書籍など

10. 不適合・改善要望事例と考察

不適合・改善要望事例考察
目的・目標の設定に際し、目的値または目標値は「…を○%削減」などと明確になっているが、「何に対して○%削減」か、基準となる数値が明記されていないものが散見された。 とりあえず、数値目標を掲げることに重点が置かれ、その目標値の妥当性や基準値に関する検討を行っていなかった。
目的・目標管理シート、マスタープラン実施計画表、進捗管理表の関係が不明確で整合しておらず、目標の策定と進捗管理のつながりが途切れている。 どちらかと言うと月次の進捗管理表が一人歩きし、活動基盤である目的・目標管理シート、マスタープラン実施計画表がなおざりにされている。
目標の達成度の報告(進捗管理表、経営会議)は力を入れて行われているが、それにも増して年度始めの目標策定、上司や他部門との整合性、達成に向けての決意表明に力を入れるべき。 目標設定にどれだけ力を費やしたかによってその後の活動結果が変わってくる。進捗管理がうまくいかない、あるいは達成度が悪いのは最初のプランニングが疎かにされているため。
廃液(湿し水)削減の'05年度の目標値が前年度の実績よりも低いレベルで設定されている。 目標値の算出が間違っていたこと、確認が漏れたことによるミスだが、目標(値)が重要視されていないことが根本にはあると考えられる。
目的・目標の到達レベルの基準値が、例えば、目的の基準値は'02年度に対し、目標の基準値は'04年度に対し、と異なっている。目的・目標の基準値間の整合性が取られていない。 とりあえず数値で出しておけばよいという意識から生じたもの。目標値とその基準値の設定は活動の到達点を決める重要な活動だという意識付けが必要。
有益な著しい環境側面として特定し、「目的・目標一覧表」に取り上げられた“ペーパーレス”が「マスタープラン実施計画表」に反映されていない。 目的・目標にかかわる各文書の整合性が取れていないという問題が生じている。
○○品質保証Gの目標は「クレームの削減:'04年度55件を30%削減し、40件とする」と記載されているが、このように基準年度を明確にして、目標を数値化することが望まれる。 目標値とその基準値は第三者が見ても分かる内容でなければならない。そのようなよい例として指摘された。
'04.3.29に作成された「目的・目標管理シート」で2004年度の目的として「長期在庫ゼロ」とされているが、2004年度の目標は「前年の50%」となっており、整合しない表現になっている。 目的・目標の立て方・内容に対する理解がされておらず、承認者によるチェックもされていない、また、書類を作りさえすればよいという認識からこのような状況が起きていると思われる。
「用紙予備率の削減」で2002年度の目標は3%と設定されていますが2004年度の目的が数値化されていません。 2004年度にどこまで用紙予備率を削減できるのか予測がつかなかったので数値化せずに「用紙予備率の削減」という目的にとどめておいた。達成可能かどうか分からないがとりあえず2004年度目的も具体的に設定した。
マニュアルでは目的・目標及び日常管理の活動は環境方針との整合を定めていますが、日常管理項目でその整合が確認できないものがあります。 目的・目標設定者が環境方針を認識しないで目的・目標を設定してしまった。
「環境目的・目標一覧表(事業所:××)」の××部門のグループの目的である「テーマごとに設定」が事業所の目的、部門の目的との関連が明確でありません。 事業所の目的・目標設定→部門の目的・目標設定→グループの目的・目標設定という流れで目的・目標を設定することになっているが、グループ目的・目標設定時に上位の目的・目標が考慮されていなかった。

★ヤッスー部長より一言★

“関連する各部門及び階層で”というのが曲者。全部署で細かく目的・目標を立てろとは言っていませんが、無関係な部署ができてしまうのもそれはそれで指摘の的になりかねません。当方も初めは実務部隊のみが目的・目標を立てましたが、コンサルから「階層が抜けている」と言われ、慌てて下から上へ目的・目標をいろいろと組み合わせて作っていきました。 “ ”の部分は審査側の考えをちょっと聞いておいたほうがいいかもしれません。

また、“作業効率アップ”などという曖昧な目標は必ずお灸を据えられます(指摘にはならないと思いますが・・・)。

目的・目標達成活動をしていく中で、“達成できそうにもない目標を(下方)修正しよう!”という意見がすぐに出てくるのはいかがなものでしょう・・・。 審査員からは「目標はどんどん変わっていくものですよ」と言われたのですがコロコロと変わってばかりじゃあ目標の意味がないような気が・・・。 でも、最初に立てた目標があまりにも建前すぎるから仕方ないことなのでしょうかと悩んでしまいます。

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