3.ベルリン式について

 閉ざされた水槽の中で生体を飼育する場合は、水槽内の水は残餌・糞等によって次第に汚れてきます。これを水換えによって綺麗な水と入換えます。この水換えの頻度を少なくするために、濾過槽を設けます。濾過槽を設けることで、飼育水の劣化を遅らせることができます。つまり、残餌・糞などの腐敗物から発生する、魚に有害なアンモニア,亜硝酸を濾過槽内にいるバクテリアによって比較的害の少ない硝酸塩へ変えます。この硝酸塩が魚に有害な濃度になるまで、水換えをさぼることができるようになります。これらは、淡水水槽でも同じ話しです。

(1)淡水水槽
 水を汚す主な要因は、魚の排出する尿・糞や飼育者が与えた餌の残りです。この糞・尿/残餌を濾過する流れが下図になります。淡水水槽は、濾過槽に濾材を入れ、そこへバクテリアを繁殖させて、バクテリアの酸化作用によって、汚れた水を濾過します。





(2)海水水槽(通常濾過)

 海水水槽で海水魚メインに飼う場合も淡水水槽と同じ濾過システムになります。これを通常濾過とも呼びます。この濾過システムの方が、バクテリアで濾過するため多くの魚を飼うことができます。魚の多さに応じて濾過槽を大きして濾材を増やしたりと、比較的簡単に環境変更ができます。また淡水魚に比べて海水魚の方が、多くのアンモニアを出すことからも海水魚を多く飼いたい人は、この通常濾過が適していると思います。





(3)ベルリン式(珊瑚)水槽
 「ベルリン式」,「モナコ式」,「DSB式」、これらを含めてナチュラルシステムと呼びます。
ベルリン式の濾過システムと淡水水槽/海水水槽(通常濾過)の違いを比較すると下図になります。(モナコ式については、他の先輩方のサイトを参照下さい。お奨め→qnqnさんのサイト





 ベルリン式の飼育環境は、海水に混入して溶け出した
有機物(残餌・糞等)が、アンモニアに変わる前に「プロティンスキマー」と呼ばれるアクア機器を使って取り除くことに特徴があります。プロテインスキマーでも取り除けずにアンモニアに変わってしまったものは、「ライブロック」「ライブサンド」と呼ばれる珊瑚礁の海から持ち込んだ「岩」と「砂」によって濾過を行います。
 「ライブロック」は、淡水の濾材で良く使われる「シボラックス」「パワーハウス」「サブストラット」と言った濾材と同じ多孔質構造で、自然が作った天然の濾材です。「ライブサンド」は、海底から持ち込んだ珊瑚砂で、淡水水槽でも使われる底面濾過の濾材のような役割を果します。この「ライブサンド」,「ライブロック」へ
「水流」を当てることによって、表面で好気性の酸化濾過を行い、奥深くで嫌気性の還元濾過を行います。この嫌気性の還元濾過が行われるために、硝酸塩を窒素ガスへ変えて水槽外部へ出すことができます。硝酸塩を取り除くことによって、ミドリイシの飼育しやすい環境に近づけます。硝酸塩は、順調にベルリン式の飼育環境が立ち上がれば、ゼロ(市販の試薬上)になると思います。ミドリイシの飼育には、あと燐酸の濃度も問題になります。燐酸の話は別のところで書きたいと思います。

 ベルリン式水槽の濾過では、
「プロティンスキマー」「ライブロック」「水流」が重要なキーワードになります。また、ベルリン式水槽でミドリイシを中心に飼育するためには、さらに、「カルシウムリアクター」「照明」そして「水質」が重要になります。