8.ライブサンドについて
淡水水槽で底に敷く底砂のことをベルリン式では、ライブサンド(生きた砂)と呼びます。
淡水水槽で底砂を敷く目的は、主に水草を植えるためと、バクテリアを繁殖させて濾過槽の補助的役割をさせることだと思います。また淡水で水草水槽を立ち上げる時、底砂に大磯砂を使います。この時に使う大磯砂は、新品よりショップで使用済みの大磯砂を買った方が、水槽の立ち上がりも早く、水草の育ちも良いです。これは、使用済みの大磯砂にバクテリアが繁殖しているからです。これと同じようにベルリン式でも、自然界の海の砂を使った方が水槽の立ち上がりが早いです。
ベルリン式は、底砂に珊瑚砂を使います。しかし単に珊瑚砂を敷いてバクテリアが繁殖しただけの底砂をライブサンドとは呼びません。ベルリン式で使うライブサンドには、バクテリアの他、ゴカイや甲殻類等いろんな生物が生息していて砂を内外から活性化しています。これは自然の海の底砂:ライブサンドを水槽へ導入しているからです。これによって、水槽の中に自然の海底に近い生体系を実現して、珊瑚・魚を飼育する環境を海へ近づけようとしています。
ライブサンドの表面では、好気性濾過よってアンモニア→亜硝酸→硝酸塩の硝化が行われ、ライブサンドの奥深く酸素がほとんど無いところでは嫌気性濾過によって反硝化が行われ硝酸塩→窒素ガスとして水槽内へ放出されます。これも自然の海で行われていることを水槽内で実現しています。
ライブサンドは、ライブロックと同じように、海から採取したものを輸送して来る訳ですから、途中で死んでしまう生物もいます。また、生き残ったとしても、海と水槽内では環境がまったく違う訳ですから、水槽に入れて死んでしまう生物もいます。そして、生き残った生物が繁殖して、基のライブサンドと呼べるような状態に戻るには、時間が掛かります。私の水槽では、立ち上げて4ヶ月後くらいから水槽正面の砂の中に、ゴカイ,他見たことのない生物を確認できるようになりました。
ライブサンドの奥深いところでは、低pHな状態になって、ライブサンドが次第に溶けて、量が減ってきます。このため定期的にライブサンドを追加します。追加することによって、新しいライブサンドから新しい生物も追加され、ライブサンドが活性化されます。また、ライブサンド内で生息する生物を見ると、時間が経つにつれて、弱い生体は強い生体に捕食され、一部の強い生物のみが繁殖するバランスの悪い、自然の海とは違った生体系になるようです。そして、捕食する餌を失った強い生体も、ついには存在できなくなってしまうようです。ここに定期的なライブサンドを追加することによって、一定の生体系を保つことができるようになるようです。