江戸五色不動 えどごしきふどう
不動明王
障害や悩みを打ち砕く
その形にはいろいろあるが、ふつう右手に剣を持ち、左手に羂索(けんさく)という縄を持ち、頭上に蓮華を載せ、弁髪と呼ぶ髪を左肩にたらし、左目を半眼、右目は見開き、下歯で右の上唇をかみ、口の両端に牙を出して、忿怒の顔をもって火炎を背に上半身裸で立っている。この姿で全ての障害や悩みを打ち砕き、人々を救いとるということで、密教系の寺院で、家内安全、交通安全、商売繁盛の神として祭られている。
日本の仏様がわかる本 日本文芸社
江戸五色不動
平直方述の「夏山雑談」に、天海僧正が家光の命により左青竜、右白虎、前朱雀、後玄武の四不動を持って江戸の守護とし、家光がこれに目黄不動を加えて五不動としたと伝えられる。
実際に地図の上で五色不動の位置を調べてみると、江戸城を中心にしているのは確かだが、必ずしも東西南北中央の五方角(五行説)の通りにはなっていない。
東京の地名がわかる事典 鈴木理生 日本実業出版社
|
寺院名 |
宗派 |
住所 |
目青不動 |
教学院 |
天台 |
世田谷区太子堂4-15-1 |
目赤不動 |
南谷寺 |
天台 |
文京区本駒込1-20-20 |
目黄不動 |
永久寺 |
天台 |
台東区三ノ輪2-14-5 |
目黄不動 |
最勝寺 |
天台 |
江戸川区平井1-25-31 |
目白不動 |
金乗寺 |
真言・豊山 |
豊島区高田2-12-39 |
目黒不動 |
滝泉寺 |
天台 |
目黒区下目黒3-20-26 |
各不動をクリックすることにより個別説明が見られます。
現在の五色不動
江戸時代五色不動の位置
現在の五色不動の位置
五行説
紀元前四世紀ころ中国でとなえられた思想。万物を構成する要素として五つの元素を想定した。すなわち、木と火、土と金属と水である。
色 |
方位 |
元素 |
神獣 |
青 |
東 |
木 |
青龍(せいりゅう) |
赤 |
南 |
火 |
朱雀(すざく・(おおとり)) |
黄 |
中央 |
土 |
(天位) |
白 |
西 |
金 |
白虎(びゃっこ) |
黒 |
北 |
水 |
玄武(げんぶ・(かめ)) |
2003/02
最後に一言
五色とは青・黄・赤・白・黒で梵語で言う地・水・火・風・空をあらわし、家光がこの五色不動の目として東西南北中央の五方眼で江戸を守るために五色不動を設定したという説がある(夏山雑談)。しかし実際には色と方角が一致せず、目黄不動が3ヶ所もあるなど、この説には疑問も多い。
日本歴史地名大系 東京都の地名 平凡社 目赤不動の説明より
なお、目黄不動としてもう一寺、「竜厳寺 渋谷区神宮前」というのが資料にあるが、現地で確認したところ寺はあるものの無住の状態であり、門前の看板には「目黄不動」の掲載が無かった。また、現在ある五色不動寺教学院のパンフには竜厳寺の掲載が無い。そのためここでは割愛する。.