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7.5.5 製品の保存
組織は、内部処理から指定納入先への引渡しまでの間、製品を適合した状態のまま保存すること。この保存には、識別、取扱い、放送、保管及び保護を含めること。保存は、製品を構成する要素にも適用すること。
(備考) 内部処理とは、組織が運営管理している製品実現のプロセスにおける活動をいう。
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1. 94年版(旧版)との違い
94年版(旧版)規格「4.15 取扱い、保管、包装、保存および引渡し」では、多くのスペースを使い、こと細かな方法論まで規定されていましたが、2000年版では大幅に整理されています。
「保存」の意味は、
94年版:
顧客に製品を引渡せる状態にありながら、製品が組織の管理下にあるときの管理。例えば、防錆など製品の保護をするような具体的な行為を指す。
2000年版:
製品として実現できていてこれを顧客に引渡すために必要となる、いわゆる「ものの取扱い」全般における管理。識別、取扱い、包装、保管、保護などの総称。
のように変化しており、その対象となるものにはプロセスの結果である製品、つまり、購入した原材料や工程内にある半製品も含まれます。規格内でも「保存は、製品を構成する要素にも適用すること」と規定されています。
2. 製品の保存での考慮点・注意点
製品の保存での考慮点・注意点として、
・ 製品の特殊性
・ 製品の損傷、劣化などを防止するための作業環境
・ 保管(保存)期間(保存条件の指定がある場合は要注意)
・ 長期保存する場合、期限の設定や使用(提供、出荷)前の品質確認
などが挙げられます。
保存の中には「識別」も含まれており、「7.5.3 識別およびトレーサビリティ」と重複しているように見えますが、これはあくまでも保存状態に対する識別であり、
・ 保存中の製品の劣化などの状態
・ 在庫における先入れ先出しのための識別
などで、納入ラベルに入荷日または製造日などが記述されていればこの識別に該当します。
製品の識別は、多くの組織で行われている「5S活動」とともに進めると効率的・効果的かもしれません。
また、他の条項との使い分けは、
7.5.5 製品の保存:
内部処理(製品実現のプロセスにおける活動)から指定納入先への引渡しに至るプロセス
7.4.1 購買プロセス:
購買製品に対する管理の方式と程度
7.5.4 顧客の所有物
顧客の所有物(顧客からの無償提供物)に対する管理
のように、管理対象の性質によって規格をうまく使い分けるとよいでしょう。
3. 不適合・改善要望事例と考察
不適合・改善要望事例 | 考察 |
包装・梱包の仕様内容及び表示内容は「製品取扱い管理規定」に従うことが品質マニュアルに定められているが、「製品取扱い管理規定」には実際行われている具体的な梱包仕様の記述がない。また、包装・梱包指示をどの文書で行うのか定められていない。 |
組織は、内部処理から・・・要素にも適用すること。 |
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