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4.5.4 記録の管理

 組織は、組織の環境マネジメントシステム及びこの規格の要求事項への適合並びに達成した結果を実証するのに必要な記録を作成し、維持すること。

 組織は、記録の識別、保管、保護、検索、保管期間及び廃棄についての手順を確立し、実施し、維持すること。

 記録は、読みやすく、識別可能で、追跡可能な状態を保つこと。

1. 要求されている環境記録

環境記録は、組織の環境マネジメントシステムと規格要求事項へ適合していること、達成した結果を実証することを目的として作成、維持します。

環境マネジメントシステムで環境記録とされるものには、規格が直接要求するものおよび組織が必要と判断するものを含めて次のようなものが挙げられます。

・ 著しい環境側面に関する記録
・ 力量を裏付ける記録、その他の教育訓練記録
・ 外部の利害関係者からの情報を受付けた記録
・ 外部コミュニケーションに関する決定の記録
・ 文書・計画の見直し・レビュー結果の記録
・ 環境パフォーマンスの記録
・ 著しい環境側面の運用管理の実施記録
・ 関係のある請負者および供給者に関する記録
・ 環境目的・目標の達成度に関する実績記録
・ 環境に関する出来事についての報告書
・ 事故・緊急事態対応計画のテストに関する記録
・ 監視・測定機器の校正(検証)、保守の記録
・ 法的およびその他の要求事項によって要求される記録(届出、測定結果、使用化学物質報告書など)
・ 法的およびその他の要求事項の順守の定期的評価の記録
・ 是正・予防処置の実施結果の記録
・ 内部監査結果の記録
・ マネジメントレビューの記録

これらの環境記録の中で、組織として何が該当するのかを検討・決定し、抜けている(足りない)記録があればどのように補填するかを検討して穴埋めしましょう。環境記録の対象を決定するのと同時に、それらの記録に対する管理方法を定め、手順を準備します。

規格が要求する環境記録への管理項目は、

・ 読みやすいこと
・ 識別可能であること
・ 関連した活動、製品およびサービスに対して追跡可能であること
・ 容易に検索できること
・ 損傷、劣化または紛失を防ぐような方法で保管、維持すること
・ 保管期間を定め、記録すること

これらの項目について管理手順を定め、必要に応じて手順書を作成しておきます。

2. 記録様式にひと工夫を!

記録様式に記録すべき項目、処置手順、記録後の提出ルートなどを規定として盛り込んでおけば手順書(要領書)としても使え、必要事項を記入すればそのまま記録になります。このように記録様式にひと工夫すれば手順書(要領書)兼記録という形の使い方もできます。

3. 視覚的な記録で要点をつかみやすく!

監視・測定、運用管理の結果などの記録は時系列的なものであることが多いので、時系列データのグラフを付けておくと時間的な推移や傾向が視覚的につかみやすくなり非常に効果的です。数字の羅列はなるべく避け、グラフなどを活用した記録を残したほうが傾向的な変化や問題点を視覚的に把握できるので説得力が出てきます。必要に応じてQC7つ道具などの手法をうまく活用していきましょう。

4. “日付”は重要な記録項目!

重要な記録項目として忘れてはならないのは“日付”です。“日付”は重要な記録項目の1つと考えておいたほうがよいでしょう。“日付”のない記録は、記録としての価値もほとんどないと言っても過言ではありません。なぜなら、“日付”がないことによって追跡能力(トレーサビリティ)の信頼性がガタ落ちになってしまう可能性があるからです。

話はちょっと変わりますが、追跡性(トレーサビリティ)の向上という点では、どの環境記録がどの活動、目的・目標と関連性があるのかが分かるように管理番号、関連事項への追跡情報などを書いておくと、識別や追跡可能性の向上が期待できます。

5. 記録の信頼性向上と改ざんの防止

記録は、エンピツ書きでもボールペン書きでもデータを印字したものでも構いませんが、エンピツ書きは記録の保管状態や保管期間によっては薄くなったり消えたりしてしまう可能性がありますし、書き直しも容易にできてしまうので、ボールペン書きを常識とすることが望ましいと思われます。

1度記録した内容はあとから書き換えたり書き直したりしてはいけません。そのようなことをすると“改ざん”と言われます。記録の改ざんをしてしまうと場合によっては法的責任を問われたり、組織としての社会的な信用・信頼を失うリスクを負わなければならなくなることがあります(原発の点検記録の改ざんがよい例です)。

しかし、記録を書いていて書き間違えることはよくあります。「書き間違うな!」とは言えませんし、新しい記録帳票に改めて記録し直すというのもムダです。書き間違いを修正することになりますが、そのときに修正液を使ってはいけません。修正液を使うとたとえ記録内容を正しく書き直したとしても改ざんと見なされてしまう危険性が非常に高いです。 修正方法としては、二重線で消して余白に訂正内容を書き、訂正印を捺印するという方法をとることをオススメします。この方法は、公的な文書・記録の修正方法として採用されていると思います。

6. 保管期間について

環境記録の保管期間を組織が勝手に決めるのは危険です。保管期間を決定するに当たっては次の事項を考慮してください。

・ 法規制によって定められている期間
・ 顧客を初めとする利害関係者から要求されている期間

法規制によって○○記録は5年間保管、あるいは特定の顧客から××記録は10年間保管というように、外的要因によって保管期間が決められてしまう記録が意外と多いものです。そして、環境影響の長期間残留の危険性という特性上、期間が比較的長く設定されているという傾向もあるように思われます。

法的その他の要求事項は必ず順守しなければなりませんから(環境方針の中でも宣言しているはず!)、記録の保管期間についてもしっかりと把握して順守しましょう。

その他の記録の保管期間は組織が決定することになりますが、

・ 環境影響の重大度と残留期間
・ 外部の利害関係者に対する環境面の保証期間
・ データ分析、是正・予防処置に要する時間
・ 関連する他の記録の保管期間やトレーサビリティ

などを考慮して組織内外に対して十分保証できる適切な保管期間を決定しましょう。

7. 質問と回答

質問内容 回答
規格への適合を実証するための記録とは、どこまでを意味していますか? 規格が要求している記録以外にも、組織が必要と判断した記録を含みます。
記録は紙以外に、電子情報として記録してもいいですか? 文書、記録とも電子媒体でも問題ありませんが、電子上での文書管理、記録の管理が必要になります。

8. 関連サイト・書籍など

9. 不適合・改善要望事例と考察

不適合・改善要望事例考察
印刷T、加工T合わせて3つの部門ミーティングを実施し、議事録で内容を記録していたが、その議事録を環境記録とすることが望まれる。 議事録の扱いは結構難しく、指示書(文書)としての性格を持つ場合もあるが、少なくとも記録管理の対象とすることが要求された。
環境マニュアルに定められた環境記録を管理するための「環境記録一覧表[B]」が作成されていない。また、環境記録一覧表[A]と[B]を区分して記録を管理しているが、その必要があるかどうか検討することが望まれる。 個別部門で管理する記録の一覧表の作成が漏れていた。[A]と[B]の使い分けが不明確になってきているため、統合するようにアドバイスを受けた。
環境記録の管理状況を確認したところ、〇〇〇〇Gにおいて管理文書と判断される「原稿」が環境記録として扱われていた。 文書と記録の違いが理解されておらず、本来は品質の文書である「原稿」が環境でも利用する際に「記録」と認識されていた。
総務Tの環境記録一覧表に他部署に移管した分離層点検表が残っている。 環境記録の管理の移管に関する取決めが何もされておらず、実務上においても管理が別部署に移されたにもかかわらず記録一覧の変更がされていなかった。
「環境マネジメントシステム文書第二種管理文書一覧表」に記録が混在しています。 文書と記録の区分けが理解されていないため、記録であるにも関わらず文書と認識して文書一覧に載せてしまった。
規格の「かつ、関連した活動、〜追跡可能でなければならない」に関する記述がありません(環境マニュアル)。

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