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  クリンゴン語講座
KLINGONESE COURSE 




基本の語順 

大原則として、語順は英語の逆になるという事を憶えて下さい。
コレさえ憶えておけば、もう問題ありません。
(逆に、英語の文法が苦手、という人は以下の説明をよく憶えて下さい)

目的語−動詞−主語(OVS)

ちょうど、英語の語順と逆です。
例:"puq legh HoD " (船長は子供に会う) ("puq"=子供、"legh"=会う、"HoD"=船長)
  "HoD legh puq " (子供は船長に会う)


説明語−目的語−動詞−主語(COVS)

さらに、時間・場所・状況を表す「説明語」が使われる時はこうなります。
この内、時間と場所・状況を同時に言う場合、時間は場所・状況よりも前に置きます。
例:"pa'Daq puq legh HoD " (船長は、部屋で子供に会う) ("pa' "=部屋)
  "wa'leS puq legh HoD " (船長は、明日、子供に会う) ("wa'leS "=明日)
  "wa'leS pa'Daq puq legh HoD " (船長は明日、部屋で子供に会う)

接辞 

動詞接頭辞
これは動詞の前につなげて、主語と目的語の人称代名詞を表します。
動詞接頭辞のページ 

動詞接尾辞
これは動詞の後ろにつなげて、動詞の意味を拡張します。
動詞接尾辞のページ1 (1類〜〜6類)
動詞接尾辞のページ2 (7類〜rover)

名詞接尾辞
これは名詞の後ろにつなげて、名詞の意味を拡張します。
名詞接尾辞のページ 

動詞接頭辞が付く場合
接頭辞は主語と目的語を表します。 主語/目的語が単に人称代名詞だけですむ場合は「接頭辞−動詞」だけでひとつの文章が成立します。
例:"jIQong " (私は眠る) ("Qong"=眠る)
  "qaHoH " (私はあなたを殺す) ("HoH"=殺す)
  "tunep " (あなたたちは、私に嘘をついている) ("nep"=嘘をつく)

主語や目的語が別に加わる場合でも、動詞にはそれらを指す接頭辞を付けます。 例えば「敵と戦う」と言う文章の場合、目的語が「敵」なので接頭辞の目的語が「彼/彼女」や「彼ら/彼女ら」の物を選ばなければいけません。

例:"qagh vISop " (私はガーグを食べる) ("Sop"=食べる)
  "maghwI' DaHoH " (あなたは裏切り者を殺す) ("maghwI' "=裏切り者)
  "vavwI' luHoHpu' romuluSnganpu' " (ロミュラン人たちが私の父を殺した) ("vav-wI' "=父−私の、"romuluSngan-pu'"=ロミュラン人−たち)
  "DaHjaj ram pa'Daq qagh vISop " (私は今夜、部屋でガーグを食べる) ("ram"=夜)

接頭辞の使用に加えて、主語に代名詞を使うとその意味を強調する表現になります。

例:"qagh vISop jIH " (私が{私こそが}ガーグを食べる)
  "maghwI' DaHoH SoH " ({他の誰でもなく、}あなたが裏切り者を殺すのだ)

さらに、その主語の代名詞に主題化を表す名詞接尾辞 -'e' を付けると、その意味がより強調されます。 日本語には訳しにくい場合も多いので、原語の感覚で理解するように努力しましょう。

例:"qagh vISop jIH'e' " (私が{他の誰でもない私こそが}ガーグを食べる)
  "maghwI' DaHoH SoH'e' " (裏切り者を殺すのは、他の誰でもないあなたがやるのだ)



形容表現 

クリンゴン語には「形容詞」というものはなく、全て「動詞」に分類されます。 学習者は、紛らわしい時は「食べる」「歩く」などを「動作動詞」、「美しい」「大きい」などを「状態動詞」と呼んで区別しています。
形容表現も英語と逆で、名詞+状態動詞で「○○なXX」(限定用法)、状態動詞+名詞で「XXは〇〇です」(叙述用法)になります。
クリンゴン語の状態動詞は英語で言う「 be動詞」を含んでいる形になっているので、例えば "bIyoH"(bI-=あなたは〈動詞接頭辞〉、yoH=勇敢な)で "You are brave."「あなたは勇敢です」となります。 yoH が be brave (〜は勇敢です)の意味を持っているからです。(違う言い方をすれば、be動詞を含んでいるから動詞として扱われるのだと言えます)
(※このサイト内では、解りやすさを優先して、便宜的に「形容詞的動詞」「修飾語」という表現を使っている個所があります)
例:"yoH HoD " (船長は勇敢だ)
  "HoD yoH " (勇敢な船長)
  "SuvwI' yoH ghaH vavwI''e' " (私の父は勇敢な戦士です)

状態動詞には、強調の意味を持つ動詞接尾辞 -qu' を付けて「とても〜な」という意味にすることができます。

例:"yoHqu' HoD " (船長はとても勇敢だ)



受動態 

クリンゴン語には受動態はありません。 全て能動態で表します。
例えば「私の父はロミュラン人に殺された」は「ロミュラン人が私の父を殺した」"vavwI' HoHpu' romuluSngan " と言います。



疑問文 

動作や形容表現について「〜するか?」(食べるか?など)「〜か?」(柔らかいか?など)という時には、動詞に9類動詞接尾辞 -'a' を付けます。 日本語の係助詞「〜か」によく似ています。
この場合、英語のように語順が入れ替わったりはしません。
例:"paqvam Daghaj'a' " (この本を持っていますか?) ("paq"=本、"ghaj"=持つ、所有する)

  "choyonmoHlaH'a' " (お前は俺を満足させられるか?) ("yonmoH"=満足させる)
  "tuj'a' Darghvetlh " (そのお茶は熱いか?) ("tuj"=熱い)


付加疑問の「〜ですね?」は qar(正確な、厳密な)に -'a' を付けた qar'a' を「動詞のあと」か「文の最後」に置きます。

例:"paqvam Daghaj qar'a' " (この本を持っていますよね?)
  "qa'vIn DamaS qar'a' " (コーヒーの方が好きなんだな?)
  "Dura' qar'a' HoDDura' HoD qar'a' " (艦長がお前に命令したんだな!?)

1例目の paqvam Daghaj qar'a' は、逐語訳すると、paqvam Daghaj「あなたはこの本を持っている」+qar'a'「それは正しいか?」という言い方をしていることになります。
 

「なぜ〜するのか」「いつ〜するのか」という時(英語でいう wh疑問文)は、英語の why や when にあたる疑問詞を使います。 これについてはその他の言葉のページを参照。


命令形 

クリンゴン語の命令形は通常の接頭辞と違う、命令形用の接頭辞を使って表します。
動詞接頭辞のページ を参照
例:"yIQochbe' " (同意しろ!)
  "HIwaQQo' " (私の邪魔をするな!)
  "Qu' yIbuS " (任務に集中しろ!)



関係詞節 

これは「〜することを・・・する」というように、2つの文節をつなぎ、一方がもう一方の目的語になっている文章を作る場合です。 英語の that節にあたり、'e'netthat の役割をします。
"A 'e' B " で「Aの事をBする」「AについてBする」という意味になります。
その他の言葉のページ を参照
例:"vIHoH 'e' vI'Ip " (私は彼を殺すと誓う) ("HoH"=殺す、" 'Ip"=誓う)
  " DujvamDaq tIj tera'ngan 'e' wIchaw'be' " (我々は地球人がこの船に乗ることを認めない) (" tIj"=乗船する、"chaw'"=許可する)



名詞−名詞 構文 

「バード・オブ・プレイの船長」「敵の心臓」など、「○○のXX」と名詞の所有を表したり、名詞で修飾語的にもう一方の名詞を形容する表現を行いたい時は、「所有主−所有されるもの」の順に2つの名詞を並べます。 単純に日本語の語順と同じです。
例えば「カーレスの剣」(The sword of Kahless)は qeylIS betleH という風に英語と逆の語順・日本語と同じ語順になります。(英語だと Kahless's sword と言う時と同じです)
日本語の「〜の」、英語の of、-'s にあたる助詞はクリンゴン語にはありません。
例:"toQDuj HoD " (バード・オブ・プレイの船長) ("toQDuj"=バード・オブ・プレイ)
  "lot DuH tu'lu' " (大災害の可能性がある) ("lot"=大災害、"DuH"=可能性)
  "jagh tIq yIqem! " (敵の心臓を取って来い!) ("jagh"=敵、"tIq"=心臓)

5類名詞接尾辞は、後ろの名詞にのみ付きます。 1類〜4類は先行する名詞に付けることができます。

例:"DIvI' yerDaq maghob " (連邦の領域で戦う) ("DIvI' "=連邦、"yer"=領域)
  "yuQchaj bIQ'a'Daq pumpu' toQDujmaj " (我々のバード・オブ・プレイは、彼らの惑星の海に墜落した) ("yuQ"=惑星、"bIQ'a' "=海)



肩書き/父称 

「〇〇船長」「〇〇軍曹」のような肩書きは、やはり英語と逆・日本語と同じ語順で、名前の後に役職・階級を置きます。
例:"qeng HoD " (カング船長)
  "qor la' " (コール司令官)



また、正式に名乗る時に使う「〇〇の息子」「〇〇の娘」は、やはり英語と逆・日本語と同じ語順で、名前の後に続けます。

例:"wo'rIv mogh puqloD " (ウォーフ、モーグの息子) ("puqloD "=息子)
  "HuS 'atrom puqbe' " (ハス、アトロムの娘) ("puqbe' "=娘)



比較構文と最上級表現 

「AはBよりも〜である」という比較構文、また「Aはもっとも〜である」という最上級表現の場合です。
"A Q law' B Q puS " で「AはBよりもQである」という意味になります。 Qには形容詞的動詞(状態動詞)が入ります。 またA・Bには名詞だけでなく文章を入れることも可能です。
例:"tlhInganpu' HoSghaj law' tera'nganpu' HoSghaj puS" (クリンゴン人は地球人より強い) ("HoSghaj"=力がある・強い)
  "'Iw jeD law' bIQ jeD puS " (血は水よりも濃い) (" 'Iw"=血、"jeD "=濃い)
  "QamvIS Hegh qaq law' torvIS yIn qaq puS " (ひざまずいて生きるより、立ったまま死ぬ方が良い)
    ("Qam"=立つ、"Hegh"=死ぬ、"qaq"=好ましい、"tor"=ひざまずく)

Bに Hoch(全て)を使うと、直訳で「Aは全てのものよりQである」となり、つまり「Aは最もQである」という最上級表現になります。

例:"'Iw HIq 'ey law' Hoch 'ey puS " (ブラッドワインは最も美味しい) (" 'ey"=美味しい)
  "tera'Daq SuvwI' ghaH yoH law' Hoch yoH puS " (彼は地球で最も勇敢な戦士だ)

puS の代わりに rap(同じ)または nIb(同一の、等しい、同質の)を使うと、「AはBと同じ様にQである」となります。 この場合は、rapnIb の意味には差がないようです。

例:"tlhIngan woch law' tera'ngan woch rap " (クリンゴン人は地球人と同じくらい背が高い) (" woch"=背が高い)
  "tera'ngan yoH law' tlhIngan yoH nIb " (地球人はクリンゴン人と同じ様に勇敢だ)
  "SoH qur law' verengan qur nIb " (お前はフェレンギ人と同じくらい貪欲だな)



直喩 

「(彼/彼女/それは)〜のように・・・である」という表現です。
"Q; A rur" で「AのようにQである」という意味になります。
例:"jej; betleH rur " ({それは}バトラフのように鋭い) ("jej"=鋭い)
  "HoSghaj; 'Iw rur " ({彼/彼女は}血のように強い) ("HoSghaj"=強い)
  "lam; romuluSngan rur " ({彼/彼女は}ロミュランのように卑怯だ) ("lam"=卑怯な)

また、"Q A, rap B" で「BはAと同様、Qである」という意味になります。

例:"let nagh, rap porghDaj" (彼の身体は岩のように硬い) ("let"=硬い)
  "tlhab bo'Degh, rap jIH " (私は鳥と同様、自由だ) ("tlhab"=自由な、"bo'Degh"=鳥)



省略形(clipped Klingon) 

動詞接頭辞のページでも説明してますが、軍事行動中の上官から部下への指令、部下から上官への返答、及び様々な理由で話者が興奮している(大変な危険が身に迫っているなど)時には動詞接頭辞を省略します。
また、場所を表す名詞接尾辞 -Daq や主題化の名詞接尾辞 -'e'、be動詞の役割をする代名詞(その他の言葉のページ)なども省略形では省かれます。
正式:"jolpa'Daq yIjaH !"「転送室へ行け!」 ("jolpa' "=転送室)
省略:"jolpa' yIjaH !"「転送室へ行け!」

正式:"nuqDaq 'oH puchpa''e'?"「トイレはどこですか?」 ("puchpa' "=トイレ)
省略:"nuqDaq puchpa'?"「トイレどこ?」

また、以下は動詞そのものを省略する場合です。

正式:"nISwI' yIbach!"「ディスラプター発射!」 ("nISwI' "=ディスラプター)
省略:"nISwI'! "「ディスラプター!」
  これで「ディスラプターを撃て!」という意味になります。



祝辞(例外的用法) 

乾杯の席で、『〜しますように!』という風に乾杯の言葉をいう時は、動詞接尾辞-jaj(〜しますように)が文の最後に来るように、主語を目的語の位置に移動させるなどして語順を入れ替えます。
例:"reH tlhIngan wo' taHjaj! " (「クリンゴン帝国よ、永遠なれ!」)
  本来の文法では "reH taHjaj tlhIngan wo' "となります。





★説明の誤りや、抜けている部分は、ご指摘頂ければ訂正・追加したいと思います。

  制作・茶月夜葉 yaIba' chaDQI' (Earthdate:0612.23)



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