動詞接尾辞
動詞接尾辞リスト
1類 | 2類 | 3類 | 4類 | 5類 | 6類 | 7類 | 8類 | 9類 | rover |
-'egh -chuq |
-nIS -qang -rup -beH -vIp |
-choH -qa' |
-moH |
-lu' -laH |
-chu' -bej -ba' -law' |
-pu' -ta' -taH -lI' |
-neS |
-DI' -chugh -pa' -vIS -bogh -meH -'a' -wI' -mo' -jaj -ghach |
-be' -Qo' -Ha' -qu' |
第7類 (アスペクト)
第7類接尾辞は完了・達成、進行形・継続中を区別する物です。
クリンゴン語には時制はありません。 7類接尾辞は、英語やロマンス諸語に見られる「過去形・現在形・未来形」のような時間を示す表現とは違い、その動詞が表す動作を「終えた」「し続けている」ことを意味します。
若干解りにくいので、それぞれの例文を良く見て違いを理解して下さい。
-pu'
これは「〜した」「〜する事を終えた」という意味で、接続した動詞を、日本語で言う完了形にします。
はっきりしたゴール・目的がなく、ただ単に「その動作を終えた」場合に使われます。
例:"jISuvpu' " (私は戦った)
"wa'Hu' mughato' vISuvpu' " (昨日、私はムガートと戦った) ("wa'Hu' "=昨日)
"vIHoHpu' " (私は彼を殺した) ("HoH "=殺す)
(※事故などで、その人物を殺す意図がなかったのに殺してしまった場合などに使います)
"jeghpu' jaghpu' " (敵は降伏した) ("jegh "=降伏する、"jagh-pu' "=敵-達)
-ta'
これは「〜し終わった」「〜を成し遂げた」と言う意味です。
はっきりしたゴール・目的があり、その為の行動を終えた場合に使われます。 日本語の「食べ切った」や「描き上げた」の「−切った」「−上げた」がこれに近いニュアンスを持っていると思われます。
例:"vIHoHta' " (私は彼を殺した)
(※復讐などで、その人物を殺すと固く誓っていた場合に使います)
"jaghpu' Suvqangta' " (彼/彼女は自分から敵と戦った)
"tlhIngan nay' vISopta' " (私はクリンゴン料理を(やっと、なんとか)食べ終えた) ("nay' "=料理)
-taH
これは「〜している」「〜し続けている」と言う意味で、ほぼ英語の
-ing に相当します。
-pu' と同様、ゴール・目的が明確でなく、ただ単に「その動作を続けている」場合に使われます。
例:"qettaH " (彼/彼女は走っている) ("qet "=走る)
"DaH jISoptaH " (私は今食事中だ) ("DaH "=今)
"Hoch lurgh vIHotlhtaH " (全ての方角をスキャンしている) ("lurgh "=方位、"Hotlh "=スキャンする)
(※船の航行中は常に周囲のスキャンをし続けているので)
"pa'wIjDaq jIHtaH " (私は自分の部屋にいる) ("pa' "=部屋)
-lI'
これは「〜している最中」と言う意味です。
-taH と違い、なにかの目的に向かう動作がまだ途中である場合に使います。
例:"jIqetlI' " (私は(ゴールに向けて)走っている)
"tlhIngan nay' SoplI' " (彼/彼女はクリンゴン料理を食べている)
"yuQ vIHotlhlI' " (惑星のスキャンを継続中)
(※惑星をスキャンし終わる、と言うゴールへの途中なのでこの表現になります)
第8類 (尊敬)
-neS
これは話し手の、
話し相手に対する尊敬の気持ちを表す接尾辞です。
日本語の敬語の「です」「ます」に当たりますが、尊敬していない相手には使わない事に注意して下さい。
クリンゴンの文化では、相手に媚びたりする事を嫌います。 そのためこの接尾辞はあまり多用されず、組織・社会で自分より上の地位の人物に対してだけ使われます。
例:"HoD qavumneS " (船長と働けて光栄です) ("vum "=働く)
"qaleghneS " (私はあなたに会えて光栄です/お会いできて光栄です) ("legh "=会う)
"nuqneHneS " (何が欲しいですか) ("nuqneH "=何が欲しい?)
第9類
-DI'
これは「〜する時」「〜してすぐ」と言う意味です。
例:"lIlujDI' " (彼らがあなた達に負けた時に) ("luj "=敗北する)
"Heghpu'DI' be'nal jISaQpu' " (妻が死んだ時、私は泣いた)
("Hegh "=死ぬ、"be'nal "=妻、"SaQ "=泣く)
"HIq botlhutlhDI' SuSolpu' " (お前達は酒を飲んですぐに喧嘩した)
("HIq "=酒、"tlhutlh "=飲む、"Sol "=喧嘩する)
-chugh
これは「〜するならば」「〜すれば」「もし〜なら」と言う意味です。
例:"nay' Davutchugh vISopqangbej " (あなたが料理を作るなら、私は喜んで食べるだろう)
"nIm wIbchugh vItlhutlhQo' " (そのミルクが苦かったら、私は絶対に飲まない)
("nIm "=ミルク、"wIb "=酸っぱい/苦い、"-Qo' "=強い否定(rover))
"bIHeghvIpchugh bIHeghpu' " (「お前が死を恐れるなら、お前はすでに死んでいる」)
-pa'
これは「〜する前に」と言う意味です。
例:"jIjangpa' jatlhchoHpu' " (私が答える前に彼は話し始めた) ("jang "=答える)
"bIHeghpa' vIHoHchu' " (私はあなたが死ぬ前に必ず彼を殺す)
"qanchoHpa' qoH,Hegh qoH " (「愚者は若くして(歳をとる前に)死ぬ」)
("qan-choH "=歳をとっている-〜になる=「歳をとる」、"qoH "=馬鹿/愚者)
-vIS
これは「〜する間に」と言う意味です。
-taHvIS で「〜している間」という意味になり、大抵はこの形で使われます。
例:"ngIvpu' jISoptaHvIS " (私が食事している間に、彼はパトロールを終えた) ("ngIv "=パトロールする)
"bIQongtaHvIS " (あなたが寝ている間に) ("Qong "=寝る)
"wo' toy'taHvIS Hegh 'e' tul Hoch tlhIngan. " (クリンゴンは皆、帝国に仕えながら死ぬ事を望んでいる)
("wo' "=帝国、"toy' "=仕える、"tul "=望む/希望する、"Hoch "=全て)
-bogh
これは英語の関係代名詞
which にあたる役割を持つ接尾辞で、「〜する〜」と言う意味で使います。
例:"Qapbogh qoq " (働くロボット) ("Qap "=働く/機能する、"qoq "=ロボット)
"qIppu'bogh yaS " (彼/彼女を叩いた士官) ("qIp "=叩く/打つ、"yaS "=士官)
"yaS qIppu'bogh " (彼/彼女が叩いた士官)
"qIppu'bogh yaS vIlegh " (私は、彼/彼女を叩いた士官を見る)
"yaS qIppu'bogh vIlegh " (私は、彼/彼女が叩いた士官を見る)
"yIntaHbogh qagh " (生きているガーグ) ("yIn "=生きる)
"qagh Qevlu'pu'bogh " (煮こまれたガーグ) ("Qev "=煮こむ)
"meQtaHbogh qachDaq Suv qoH neH. " (愚者だけが燃えている家の中で戦う)
("meQ-taH "=燃える-〜している、"qach-Daq "=家-で、"neH "=だけ)
-meH
これは「〜のために」と言う意味です。
例:"yInmeH ghewvam yISop " (生きる為にこの虫を食べろ) ("yIn"=生きる、"ghewvam "=虫-この)
"qorDu'pu' HubmeH vISuvtaH " (私が戦っているのは家族を守る為だ)
("qorDu' "=家族、"Hub "=守る)
"qa' wIje'meH maSuv. " (我々が戦うのは精神を鍛錬するためだ)
("qa' "=精神、"je' "=買う/獲得する)
-'a'
これは疑問文を作る接尾辞で、日本語の「〜か?」に当たります。
ただし、イエスかノーで答えられる質問に限られます。
なお、YESは
HIja' [ヒジャッ] か
HISlaH [ヒシュラフ] 、NOは
ghobe' [ゴゥベッ] です。
例:"Dayaj'a' " (解ったか?) ("yaj "=理解する)
"vuDwIj DanaD'a' " (あなたは、私の意見に賛成しますか?) ("vuD "=意見、"naD "=賛成する)
"betleHvam Dalo''a' " (お前はこのバトラフを扱えるか?) ("lo' "=使う)
また、『〜ですね?』と言うように相手に同意を求める質問(付加疑問文)の場合は、動詞の後か文節の最後に qar'a' [カる・ッアッ] を置きます。
例:"QaQ Davut qar'a' " (あなたは料理が得意なんですよね?) ("vut "=料理する)
"nay'wIj boSop qar'a' " (あなた達は私の料理を食べますよね?)
-wI'
これは「〜する人」「〜する物」という意味です。 英語の
-er と同じだと思って良いでしょう。
接続した動詞は名詞になります。 したがって、
-wI' に続けて名詞接尾辞を接続する事も可能です。
例:"SuvwI' " (戦士) ("Suv "=戦う)
"HaqwI' " (外科医) ("Haq "=外科)
" 'avwI' " (衛兵/警備員/番人) (" 'av "=警備する/番をする)
"toy'wI' " (召使い) ("toy' "=仕える)
"toy'wI''a' " (奴隷)
"HotlhwI' " (スキャナー) ("Hotlh "=スキャンする)
"So'wI' " (遮蔽装置) ("So' "=隠す)
-mo'
これは接続した動詞が原因・理由を表す文で使います。 「〜なので」「〜の理由で」と言う意味です。
例:"qanmo' vIQaHta' " (彼は歳を取っているので、私は助けた)
("qan "=歳を取っている、"QaH "=助ける)
"majatlhchuqnISqa'chu'mo' maleghnIS " (我々は絶対にもう一度話し合わなければならないので、会う必要がある)
"HoSghajmo' HIqvam, Datlhutlhbe' " (これは強い酒なので、あなたは飲めません)
("HoSghaj "=強い/強力な)
-jaj
これは要望を示すか、話し手本人の願望を表します。
「〜する事を望む」「〜するだろう」と言う意味です。
未来の事について話すので、当然ながら7類接尾辞と一緒には使えません。
例:"jaghpu'lI' DaghIjjaj " (あなたは敵を恐れさせるだろう) ("ghIj "=恐れる)
"batlh bIHeghjaj " (「あなたが名誉ある死を迎えるように」) ("batlh "=名誉ある)
-ghach
これは動詞を名詞に換える働きのある接尾辞です。
英語の
-ness や
-tion と同じような物です。
これを使用する時、普通は「接頭辞なし」で「接尾辞あり」の場合に限られます。
例:"lo'laHbe'ghach " (無価値) ("lo'laHbe' "=価値がない)
"wIvqa'ghach " (再選択) ("wIvqa' "=再び選ぶ)
rover
-be'
これは接続した動詞を否定形にする接尾辞です。
順番は決まっておらず、否定したい語(それぞれの接尾辞)の直後に置いて使います。
また、命令文では
-be' を使う事は出来ません。
例:"jISuvbe' " (私は戦わない)
"jISuvqa'be' " (私は2度は戦わない)
"jISuvbe'qa' " (私はまた戦わない=戦わないことをもう一度する)
"jISuvqangbe' " (私は自主的には戦わない)
"jISuvbe'qang " (私は自主的に戦わない=戦わないことを自主的に選ぶ)
"jISuvvIpbe' " (私は戦うことを恐れない)
"jISuvbe'vIp " (私は戦わないことを恐れる)
"ropchoHbe' tlhInganpu'. " (「クリンゴンは病気にはならない」)
("rop-choH "=病気にかかっている-〜になる)
-Qo'
「〜するな」「決して〜するな」と言う意味です。 命令形の否定文、及び強い調子で否定する場合に使います。
順番は変化せず、一番最後に付きます。 この後につなげられるのは9類接尾辞だけです。(つまり、8類より後で、且つ9類より前の場所にだけ置かれます)
-be' と違い、
-Qo' は命令文でも使えます。
例:"yInarghQo' " (決して逃げるな) ("nargh "=逃げる)
"jInarghQo' " (私は(決して・絶対に)逃げない)
"Hoch verenganpu' yIvoqQo'. " (「全てのフェレンギ人を信用するな」)
("Hoch "=全て、"verengan "=フェレンギ人、"voq "=信じる)
-Ha'
これは、動詞の意味を反対にする接尾辞です。 およそ「非〜」「不〜」「反〜」と言う意味になります。 ただし、反対語がすでにクリンゴン語に存在する場合や、反対の意味の言葉がそもそも存在しないような語の場合には「〜し損なう」「〜し誤る」という意味になります。
順番は変化せず、常に動詞の直後に接続して使われます。つまり1類接尾辞は常に
-Ha' の次に付く事になります。
例:"jejHa' " (鈍い、なまくら) ("jej "=鋭い)
"parHa' " (好む) ("par "=嫌う)
"bachHa' " (撃ち損なう、誤射する) ("bach "=撃つ、射撃する)
"jIparHa''egh " (私は自分が好きだ) (" -'egh"=自分自信に〜する(1類接尾辞))
-qu'
これは、動詞の意味を強調する接尾辞です。「とても〜する」「非常に〜である」と言う意味です。
-be' と同様、強調したい語(それぞれの接尾辞)の直後に置きます。
修飾語に使用した場合、5類名詞接尾辞は
-qu' の後に付きます。
例:"ghojqu' " (彼/彼女はとても勉強した) ("ghoj "=学ぶ)
"bIQongpu'qu' " (あなたは良く眠った) ("Qong "=眠る)
"bI'IHqu' " (あなたはとても美しい) (" 'IH "=美しい)
"Duj tInqu'vo' " (とても大きな船から) ("Duj tInvo' "=大きな船から)
"Soj vItu'meH jInejqu' " (私は食べ物を見つけようと、とても探した)
("Soj "=食べ物、"tu' "=見つける、"nej "=探す)