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7.5.2 製造及びサービス提供に関するプロセスの妥当性確認

 製造及びサービス提供の過程で結果として生じるアウトプットが、それ以降の監視または測定で検証することが不可能な場合には、組織は、その製造及びサービス提供の該当するプロセスの妥当性確認を行なうこと。 これらのプロセスには、製品が使用され、またはサービスが提供されてからでしか不具合が顕在化しないようなプロセスが含まれる。
 妥当性確認によって、これらのプロセスが計画どおりの結果を出せることを実証すること。
 組織は、これらのプロセスについて、次の事項のうち適用できるものを含んだ手続きを確立すること。

a) プロセスのレビュー及び承認のための明確な基準
b) 設備の承認及び要員の的確性確認
c) 所定の方法及び手順の適用
d) 記録に関する要求事項(4.2.4参照)
e) 妥当性の再確認

1. 「特殊工程」とは?

製造やサービス提供のプロセスには、しばしば「特殊工程(special process)」と呼ばれるプロセスが存在します。

特殊工程:
結果として得られる製品の適合が、容易にまたは経済的に検証できないプロセス

より分かりやすく言い換えれば、

決められたとおりにきっちり仕事・作業をするしかその工程の製品品質を確保できず(あとで検査しても良し悪しが分からず、あるいはそもそも検査できず)、具合が悪ければ後日になって使用している段階でそれが判明するという工程

・ 検査すると破壊になってしまう
・ やり直しが効かない(例えば、重要文化財の修理)
・ 事後に分かったのでは手遅れ、取り返しがつかない(例えば、摘出手術)

が特殊工程であり、きっちりと仕事・作業を実施することによって品質を確保すること、つまり、工程内で品質の作り込みを行うことがとても重要となってきます。

2. プロセスの妥当性確認

このような特殊工程に対しては、プロセスの妥当性確認を行うことにより、計画されたとおりの成果が出せるということを実証・保証することが要求されています。

妥当性確認では、主に次の2つに対する管理が主要なものとなります。

・ 設備
・ 要員のスキル・技能

規格要求事項では、具体的にa)〜e)の事項を定めて妥当性確認の手続きを規定しています。

a)では、特殊工程のプロセスそのものをレビューすること、つまり、理論的な保証度の検証をすること、およびその承認のための基準設定が求められています。レビュー・承認は、工程全体が把握できる文書(例えば、QC工程表など)で行う方法が考えられます。

b)では、要員の適格性確認に関して、原文では“qualification”という語が使用されており、実質的には「資格・認定」の制度とその運用が要求されていると言えるでしょう。

d)は記録に関する要求ですが、品質保証の面から考えると必要な記録は残しておいたほうがよいですが、記録の対象は特定されていないので各組織で決める必要があります。なお、94年版では「認定された工程、設備および要員」が品質記録の対象とされており、これを参考にするとよいでしょう。

e)の妥当性の再確認としては、例えば

・ 作業に従事している要員の適格性を確認しているならば、その要員の適格性の再確認
・ 設備の工程能力
・ プロセスのレビューと承認の明確な基準の見直し
・ 所定の方法と手順の使用状態の確認や見直し

などが挙げられます。

3. 適用除外はなるべくしないように・・・

この項は、「当社には特殊工程に該当するような工程はない」という理由で適用除外されるケースが非常に多いです。当方もこのような根拠を品質マニュアルに記述して適用除外としています。しかし、本当にそれでよいのでしょうか・・・。

この項を適用除外とするための要件は、

「適用除外しても顧客要求事項と適用される規制要求事項を満たす製品を供給する能力・責任に何らの影響も及ぼさないこと」

であり、プロセスのレビューと承認の明確な基準を用意し、それに基づいてレビューした結果として該当するものがないと結論付けることが必要です。

また、この項の意義を積極的にとらえれば「製品品質は工程で作り込む!」というスタンスを強調していると考えられるので、製造・サービス提供のプロセスの管理を強化するという意味で進んで適用させていくのも1つの考え方ではないかと思います。

なお、当方では巻取り(ロール)印刷における半抜き工程(シールの不要な部分を抜き型で繰り抜き、除去する工程)は、抜き刃の入り具合によって納入先での使い勝手が変わってきますが、製造工程内ではすべてを検査するのは困難という理由から、特殊工程として管理するようアドバイスを受けました。

4. 不適合・改善要望事例と考察

不適合・改善要望事例考察
7.5.2を理由を挙げて適用除外としていますが、ロール印刷における印刷機上の半抜き工程は、顧客が印刷物を使用してみないとその不具合(抜き過不足、セパレータ切れ、糊はみ出しなど)が表面化せず、これはまさしく「7.5.2 製造及びサービス提供に関するプロセスの妥当性確認」に該当すると考えられます。 これまでは“印刷物は各工程における検査、および出荷前の最終検査で品質チェックしているため7.5.2項を適用する必要はない”と判断していたが、実際には顧客先で使用してみないと良し悪しが判断できない部分もあり、プロセスの管理による品質保証が必要である。

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