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5.5.2 管理責任者

 トップマネジメントは、管理層の中から管理責任者を任命すること。管理責任者は与えられている他の責任とかかわりなく次に示す責任及び権限を持つこと。

a) 品質マネジメントシステムに必要なプロセスの確立、実施及び維持を確実にする。
b) 品質マネジメントシステムの実施状況及び改善の必要性の有無についてトップマネジメントに報告する。
c) 組織全体にわたって、顧客要求事項に対する認識を高めることを確実にする。

(参考1.)
管理責任者の責任には、品質マネジメントシステムに関する事項について外部と連絡をとることも含めることができる。

(参考2.)
管理責任者は、上記の責任及び権限を持つ限り、1人である必要はない。

1. 管理責任者とは

管理責任者(management representative)とは、

「経営者になり代わって、経営・管理業務と意思決定を代行する責任者」

のことです。環境マネジメントシステムにおける管理責任者と区別して“品質管理責任者”と呼ぶこともあります。

最高経営層は、このような責任者を経営層・管理職の中から任命することを要求されています。参考2.によれば、管理責任者は1人である必要はなく、複数名を任命しても構いません。

たとえば、複数の事業所が点在し、1人の管理責任者では管理できないような場合には、各事業所に管理責任者を配置し、本社には統括管理責任者を置くといった形も考えられます。 管理責任者を複数任命する場合には、各々の責任・権限をあらかじめ決めておきましょう。

2. 管理責任者の責任・権限

管理責任者には、既存の業務上の責任があったとしてもa)〜c)の3項目の責任・権限を与えなければなりません。管理責任者に任命されるのは経営層・管理職ですから兼務になることが多いはずですが、この3項目については明確にしておく必要があります。

とくにb)項は、いつ・どのような内容を・どのように報告するか決めておく必要があります。1つの例として、マネジメントレビュー実施時のタイミングに合わせて(マネジメントレビューにかけるべき重要なインプット情報の1つとして)経営者に報告書の形式で報告するという方法があります。 この際、「改善の必要性」について提案型での報告義務があります。

管理責任者が「品質マネジメントシステムの実施状況と改善の必要性」を経営層に報告するのを忘れている、あるいはシステム化されていないことが非常に多いそうなので、注意が必要です。

品質マネジメントシステムの実施状況(performance):
成果・出来ばえ・活動具合・達成状況、つまり、どれだけうまくいったかを考慮に置いての活動または達成具合

c)項は、経営者のコミットメントと同様の要求ですが、管理責任者としての役割としても明確にされました。

3. 不適合・改善要望事例と考察

不適合・改善要望事例考察


★ヤッスー部長より一言★

管理責任者は、品質マネジメントシステムにおける最高責任者なので、明確な役割、責任・権限に加えて本人の自覚も求められます。つまり、どのような人物を管理責任者に起用するかという問題は非常に重要だということです。 管理責任者としての責任と認識をしっかりと持てる人でなければ、品質マネジメントシステムをうまく機能させることはできません。

もっと言えば、どのような人物を管理責任者に充てているかを見れば、経営者の品質マネジメントシステムに対する意気込みや姿勢が分かってしまいます。少なくとも、ISO事務局におんぶに抱っこの管理責任者(無管理責任者、あるいは要管理責任者)は即座にチェンジしましょう。

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