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◆ 主な環境法規制とその概要

労働安全衛生法

1. 労働安全衛生法の目的は?

・ 労働基準法と相まって、労働災害の防止のための危害防止基準の確立、責任体制の明確化
・ 自主的活動の促進の措置など総合的な対策を推進すること

により、職場の労働者の安全と健康の確保と快適職場環境の形成を促進することを目的とする。

2. 環境マネジメントシステム(ISO 14001)との関係

労働安全衛生法の目的は、自社内の従業員・契約業者の健康や安全の確保であり、地域環境や地球環境への配慮は対象外である。

一方、ISO 14001の定義では、

3.2 環境
大気、水質、土地、天然資源、植物、動物、人及びそれらの相互関係を含む、組織の活動をとりまくもの
備考
ここでいう“とりまくもの”とは、組織内から地球規模のシステムにまで及ぶ。

としている。

化学物質に関する取扱い、装置類の事故・緊急事態に際しては組織内部では甚大な被害(従業員の健康への影響など)を及ぼしかねないし、それどころか敷地内に止まらずに地域への影響も免れないかもしれない。 その意味では、労働安全衛生法の化学物質に関する規制部分は、ある範囲で環境とリンクしてくる。

3. この法律に関係する省令など

労働安全衛生法は、施行令・規則で具体的な適用内容を定めている。 その中で人の健康に関するものは次のとおりである。

1) 有機溶剤中毒予防規則
2) 鉛中毒予防規則
3) 四アルキル鉛中毒予防規則
4) 特定化学物質等障害予防規則
5) 粉塵障害予防規則
6) 電離放射線障害防止規則
7) 化学物質等の危険有害性等の表示に関する指針(MSDS)

4. 安全衛生管理体制

4.1 総括安全衛生管理者

安全/衛生管理者の指揮および安全衛生活動の統括管理

4.2 安全管理者(有資格者)

安全にかかわる技術的事項の管理

4.3 衛生管理者(有資格者)

衛生にかかわる技術的事項の管理

4.4 産業医(医師)

従業員の健康管理など

4.5 作業主任者(有資格者)

当該作業に従事する作業者の指揮など

5. 事業者の講ずべき措置など

5.1 危険防止措置

・ 機械、器具その他の設備(機械など)
・ 爆発/発火/引火性の物質など
・ 電気、熱その他のエネルギー

5.2 健康障害防止措置

・ 原材料、ガス、蒸気、粉塵、酸素欠乏空気、病原体など
・ 放射線、高/低温、超音波、騒音、振動、異常気圧など
・ 計器監視、精密工作などの作業
・ 排気、廃液または残さい物

5.3 作業場など

・ 作業者の安全、健康、風紀、生命の保持のため必要な措置

5.4 労働災害防止のため必要な措置

6. 有害物質に関する規則

6.1 製造などの禁止

製造、輸入、譲渡、提供または使用は禁止されている(試験研究の目的の場合は、政令で定める要件に該当するときは許可される)。

黄りんマッチ/ベンジジンおよびその塩/4-アミノジフェニルおよびその塩
アモサイト/クロシドライト/4-ニトロジフェニルおよびその塩
ビス(クロロメチル)エーテル/β-ナフチルアミンおよびその塩
ベンゼン含有ゴムノリ

6.2 製造の許可を得ること

特定化学物質第1類物質を製造しようとするときには、あらかじめ労働大臣の許可を受ける必要がある。 許可を受けたら、その製造設備、作業方法は、労働大臣の定める基準に適合させて製造しなければならない。

ジクロロベンジジンおよびその塩/α-ナフチルアミンおよびその塩
塩素化ビフェニル(PCB)/o-トリジンおよびその塩/ジアニシジンおよびその塩
ベリリウムおよびその塩/ベンゾトリクロリド

6.3 容器・包装に表示すること

アセトンなど85種類の有害物および特定化学物質第1類物質を容器に入れるか包装するかして譲渡し、または提供するときには、その容器や包装に法で定めた事項について政令に定めた基準に従って表示をしなければならない(一般消費者の生活用のものは、その必要はない)。

名称等表示物質(85種類)+特定化学物質第1類物質 (略)

6.4 化学物質の有害性を調査すること

既存の化学物質として政令で定める化学物質以外の化学物質を製造し、輸入する事業者は、定められた基準に従って、あらかじめ有害性の調査を行い、労働大臣に届け出なければならない。
労働大臣は、この物質の名称を公表し、学識経験者の意見を聞いて、必要があると認めたときは、施設または設備の設置または整備、保護具の備付けほかの措置をとるようその事業者に勧告することができる。

6.5 健康障害を防止すること

有害物を取扱い、ガス、蒸気または粉塵を発散し、騒音・振動を発するなど有害な作業場においては必要な措置を講じる。
ガス、蒸気などの発散を抑制するため、発散源を密閉する設備、局所排気装置または全換気装置を設ける。

6.6 作業主任者を置くこと

次の作業を行う場合には、作業主任者(都道府県労働基準局長の免許を受けた者)を置き、その他労働省令で定める事項を行わなければならない。

a) 特定化学物質などを製造し、または取扱う作業
b) 鉛業務に関係する作業
c) 四アルキル鉛などの業務に関係する作業
d) 有機溶剤を製造し、または取扱う業務で、労働省令で定めるものに関係する作業

6.7 専任の産業医を置くこと

次の業務に常時500人以上の労働者を従事させる事業場では専任の産業医を置かなければならない。

a) 水銀など10種類の有害物、その他これらに準ずる有害物を扱う業務
b) 鉛など16種類の有害物、その他これらに準ずる有害物のガス、蒸気または粉塵を発散する場所における業務
c) 病原体によって汚染のおそれが著しい業務

6.8 健康診断をすること

次の有害業務を行う事業場では、それに従事する労働者に対し、医師による特別の項目についての健康診断を行い、その結果を記録しておかなければならない。

a) 特定化学物質第1類および第2類物質を製造し、あるいは取扱う業務
b) 鉛業務
c) 四アルキル鉛業務
d) 屋内作業場など、労働省令で定める場所で有機溶剤(アセトンなど55溶剤)を製造し、または取扱う業務

6.9 化学物質安全データシート(MSDS)を交付すること

化学物質などで危険または有害な性質を有するものを提供する者は、提供先にその物質の物理化学的性質、人体に及ぼす作用、事故時の応急措置などを記載したデータを渡すことが2000年4月より義務化された。 同時に見やすい場所への掲示、作業者への書面の交付なども義務付けられた。

≪MSDSへの記載事項≫
・ 化学物質などの名称
・ 成分およびその含有量
・ 物理化学的性質
・ 人体に及ぼす作用
・ 貯蔵または取扱い上の注意
・ 流出その他の事故時などにおける応急措置
・ 通知者の名前、住所

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