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廃棄物の処理及び清掃に関する法律
1. 廃掃法の目的は?
・ 廃棄物の排出抑制
・ 廃棄物の適正な分別・保管・収集・運搬・再生・処分等
2. 廃棄物って?
2.1 廃棄物とは?
廃棄物とは、“他人が有償で引き取らないような汚物または不用物であって、液状または固形状のもの”と定義されており、有価物は廃棄物ではありません。
2.2 廃棄物の種類
廃掃法では、廃棄物を次の3種類に分類しています。
@ 産業廃棄物
・ 廃掃法で定められた、事業活動に伴って生じる19種類の廃棄物
・ 国外で発生し、輸入された廃棄物
1. 燃え殻
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事業活動に伴って生じたもの
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2. 汚泥
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排水処理汚泥、建設廃汚泥水
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3. 廃油
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廃潤滑油、廃溶剤等
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4. 廃酸
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酸性の廃液、写真定着液等
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5. 廃アルカリ
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アルカリ性の廃液、写真現像液等
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6. 廃プラスチック類
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廃発泡スチロール、シュレッダーダスト等
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7. 紙くず
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建設業(新築、改築、除去)、パルプ、製紙業、新聞、出版(印刷)
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8. 木くず
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建設業(新築、改築、工作物除去)、木材、木製製造業、パルプ製造等
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9. 繊維くず
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繊維工業(衣服等繊維製品製造業を除く)、建設業(新築、改築、除去)
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10. 動植物性残さ
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食料品、医薬品製造等に係る固形状不要物
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11. ゴムくず
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スクラップ、シュレッダーダスト等
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12. 金属くず
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切削くず、シュレッダーダスト等
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13. ガラス/陶磁器くず
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空きビン、シュレッダーダスト等
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14. 鉱さい
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製鉄所の炉の残さい等
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15. コンクリート破片等
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新築、改築、除去に伴う不要物
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16. 動物ふん尿
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畜産農業から発生したもの
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17. 動物の死体
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畜産農業から発生したもの
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18. ばいじん
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ばい煙発生施設(大防法)、焼却施設(事業活動)
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19. 中間処理物
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1.〜18.までのものを処分するために処理したもの(コンクリート固形化物など)
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20. 輸入された廃棄物
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航行及び携帯廃棄物を除くもの
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A 一般廃棄物
・ 産業廃棄物以外の廃棄物
B 特別管理廃棄物
・ 一般廃棄物と産業廃棄物のうち、爆発性・毒性・感染性・その他、人の健康または環境に関わる被害を生ずる恐れのある性状を有する廃棄物
(特別管理産業廃棄物)
1. 燃えやすい廃油
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揮発油、灯油、軽油類(引火点70℃未満)
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2. 廃酸
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pH2以下のもの
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3. 廃アルカリ
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pH12.5以上のもの
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4. 感染性廃棄物
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病院等からの血液付着した注射針等産廃物
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5. PCB等
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廃PCB及びPCBを含む廃油
PCBが塗布され、もしくは染み込んだ紙くず、木くず、繊維くず、PCBが付着、もしくは封入された廃プラスチック類や金属くずなど
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6. 廃石綿等
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建築物から除去した飛散性の吹き付け石綿・石綿含有保温材や、その除去工事から排出されるプラスチックシートなどで、石綿が付着しているおそれのあるもの
大気汚染防止法の特定ばいじん発生施設を有する事業場の集塵装置で集められた飛散性の石綿など
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7. 有害産業廃棄物
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水銀、カドミウム、鉛、有機リン化合物、六価クロム、ヒ素、シアン、PCB、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、ジクロロメタン、四塩化炭素、1,2-ジクロロエタン、1,1-ジクロロエチレン、シス-1,2-ジクロロエチレン、1,1,1-トリクロロエタン、1,1,2-トリクロロエタン、1,3-ジクロロプロペン、チウラム、シマジン、チオベンカルブ、ベンゼン、セレンまたはその化合物を基準値以上含んでいる、汚泥、鉱さい、廃油、廃酸、廃アルカリ、燃え殻、ばいじんなど
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(特別管理一般廃棄物)
1. 廃エアコン、廃TV、廃電子レンジに含まれるPCV使用部品
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2. ばいじん、ゴミ処理施設(焼却能力200kg/h、または火格子面積2u以上のもの)
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3. 前項のばいじんを処分するために処理したもの
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4. 焼却炉(ダイオキシン法特定施設)で生じたばいじん、燃え殻
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5. 前項の廃棄物を処分するために処理したもの
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廃棄物の分類を考える場合、次のような引き算で考えると分かりやすいです。
図1. 廃棄物の分類
3. この法律の適用を受ける事業場は?
・ 廃棄物を排出する事業場[廃棄物の排出事業者]
・ 廃棄物を処理(分別・保管・収集・運搬・再生・処分等)する事業場
[廃棄物の収集・運搬業者、中間処理業者、最終処理業者]
4. 廃棄物の排出事業者の責務
・ 廃棄物を自らの責任において適正に処理
・ 廃棄物のリサイクル、減量化、適正処理困難物への対応
・ 廃棄物の発生から最終処分終了まで適正処理が行なわれるよう必要な措置
5. 運搬されるまでの間の保管基準の遵守
<一般廃棄物、産業廃棄物共通>
・ 囲いのある保管施設等により飛散、流出、地下浸透しないようにする。
・ 汚水の生ずる可能性がある場合は、底面を不浸透性の材料で覆う。
・ 騒音・振動、悪臭、鼠や害虫の発生がないようにする。
・ 保管場所に掲示板(60cm×60cm以上)の掲出と次の事項の記載
[廃棄物の種類・管理者名・連絡先]
<特別管理産業廃棄物の追加項目>
特別管理産業廃棄物の保管に当たっては、上記に加えて次の事項が追加
・ 他のものが混入しないように仕切りを設けるなど必要な措置
・ 廃油は容器に入れ密封、揮発の防止、高温にさらされない等の措置
・ PCB汚染物の腐食防止のための必要な措置
・ 腐敗する恐れのあるものは容器に入れ密封する等の必要な措置
6. 産業廃棄物(特別管理を含む)を他人(収集・運搬業者、中間処理業者、最終処理業者)に委託する場合の委託基準の遵守
<許可を受けた者であること>
[許可内容の確認項目:廃棄物の種類、事業区分、処理能力、処理施設の種類、許可期限、許可条件など]
<それぞれの業者と個別に契約書による委託契約> (契約書の例)
[契約書への記載事項:@共通事項、A運搬の記載事項、B処分の記載事項]
(契約書には許可証の写しを添付。また、収集・運搬、処分を同一業者に委託する場合は、1つの契約書で可)
特別管理産業廃棄物の委託に当たっては、上記に加えて次の項目が追加
・ 委託業者に予め特別管理産業廃棄物の種類、数量、性状等を文書で通知
7. 管理票(マニフェスト)の交付と管理:対象は産業廃棄物(特別管理を含む)
<管理票(マニフェスト)を導入した目的>
マニフェストにより産業廃棄物(特別管理を含む)の流れを自ら把握・管理することにより、不適正な処理による環境汚染や社会問題となっている不法投棄を未然に防止する。
<マニフェストの基本構成(7枚組み)>
・ A票:排出事業者の控え
・ B1票:収集・運搬業者の控え
・ B2票:収集・運搬業者から排出事業者に返送され、収集・運搬終了を確認
・ C1票:処分業者の保存用
・ C2票:処分業者から収集・運搬業者に返送され、処分終了を確認
・ D票:処分業者から排出事業者に返送され、処分終了を確認
・ E票:処分業者から排出事業者に返送され、最終処分終了を確認
<マニフェストのフロー図と保管>
図2. マニフェストのフロー図と保管-1
図3. マニフェストのフロー図と保管-2
<マニフェストへの主な記入事項>
・ マニフェストの交付年月日
・ マニフェストの交付担当者の氏名
・ 委託する廃棄物の種類・数量等
・ 運搬や処分する際の注意事項
・ 排出事業者やその事業場の名称・所在地
・ 収集・運搬業者や運搬先の名称・所在地
・ 処分業者やその事業場の名称・所在地
・ 最終処分の場所の名称・所在地
<マニフェストを使用する上での遵守事項>
・ 産業廃棄物(特別管理を含む)の種類ごと、行き先(処分事業場)ごとに交付する。
・ 産業廃棄物(特別管理を含む)を収集・運搬業者(または処分業者)に引き渡す際に交付する。
・ 排出事業者のマニフェスト交付担当者が、(特別管理)産業廃棄物の種類、数量、処分業者の名称等を正確に記載した上で交付する。
・ 収集・運搬業者(または処分業者)からの写しの交付があるまで、マニフェストの控えを保存する。
・ 収集・運搬業者(または処分業者)から送付された写しを5年間保存する。
8. 特別管理産業廃棄物排出事業者
・ 排出事業場ごとに特別管理産業廃棄物管理責任者(有資格者)の設置、及び変更を含む都道府県知事への届出
・ 帳簿を備え、5年間保存
・ 報告書を毎年度6/30までに都道府県知事に提出(現時点では提出不要)
・ 管理票(マニフェスト)による管理は産業廃棄物と同じ。
9. 多量廃棄物排出事業者
@産業廃棄物1,000t/年以上、A特別管理産業廃棄物50t/年以上排出する事業者は、産業廃棄物減量化計画の作成及び知事に提出
[記載事項:期間、管理体制、抑制、分別、再生利用、処理]
10. 質問とその回答
【質問(1)】
法令では、処理委託契約についてどのように規定されているか。
【回答】
廃棄物の処理および清掃に関する法律、およびその施行令、施行規則においてそれぞれ定められています。
事業者は、その産業廃棄物の運搬を委託する場合は産業廃棄物収集運搬業者に、処分を委託する場合は産業廃棄物処分業者に委託しなければなりません(法第12条第3項)。そして、委託する場合には、委託基準に従わなければなりません(法第12条第4項)。
なお、特別管理産業廃棄物(法規で定める廃油、廃酸、廃アルカリ、感染性産業廃棄物、特定有害産業廃棄物)についても、別途、同趣旨の規定がありますが(法第12条の2第3項、法第12条の2第4項、令第6条の6第2号)、独自の規定があるので合わせて注意してください。
【質問(2)】
「再委託禁止」の条項で「他人に委託せざるを得ない事由」とは何か。また、再委託にも基準があるのか。
【回答】
法第14条第10項により、再委託は原則禁止されており、例外的に、再委託基準に従って委託する場合、法による改善命令および措置命令の履行のためによる場合が認められています(同ただし書きおよび第10条の7)。
他人に委託せざるを得ない事由が生じた場合とは、収集運搬業者の車両が故障し自社のみでは運搬しきれない状況が生じた場合や、処分業者の施設が故障などによって受託した産業廃棄物を受入処分できない場合など、突発緊急的な事態を想定しています。
なお、特別管理産業廃棄物についても、別途、同趣旨の規定があります(法第14条の4第10項ただし書き、令第6条の6、令第6条の15、規第8条の4の3、規第10条の6の3)。
【質問(3)】
処分業者とは接点がないので、収集運搬業者を通じて処理料金を支払うことにしたいのだが。
【回答】
収集運搬と処分とを別個の処理業者に委託する場合、個々の処理業者と直接に手続きし、委託契約を個々に作成(二者契約)することはもちろんのこと、処理料金についても支払い上の事故を予防するためにも、個々の契約に基づいて直接に相手方の処理業者に支払う必要があります。
【質問(4)】
処分業者に対する処理料金の支払いは、マニフェストD票の戻り時かE表の戻り時か。
【回答】
「処分料金および支払い」および「収集運搬・処分料金および支払い」欄において規定していますが、委託事項に定めのない事項ですので、詳細は契約当事者間で調整されるよう望みます。
【質問(5)】
電子マニフェスト制度があると聞いたが。
【回答】
平成9年の法改正を受けて、平成10年12月から制度化されたものです。法にいう情報処理センターに登録することにより、紙ベースの産業廃棄物管理票を発行・保管せずに情報処理ができます。
【質問(6)】
排出事業者がマニフェストを5年間保存する際、A票も保存するのか。
【回答】
A(排出事業者保管)票は、手元に送付されたB2(運搬終了)票、D(処分終了)票、E(最終処分終了)票について内容を確認するためのものであり、事故時の速やかな状況把握や散逸を防ぐために他票とともに時系列で保存しておくことが望ましいと考えます。
【質問(7)】
産業廃棄物の分析証明については、すべての場合に行わなければならないのか。
【回答】
排出事業者が、当該産業廃棄物の性状(成分など)を処分業者に正しく通知できない場合、また、性状(成分など)が排出ごとに変動する場合には、処分業者の適正処理推進のために行う必要があります。
【質問(8)】
産業廃棄物の搬入についての「事前協議制」とは何か。
【回答】
自治体によっては、域外から中間処理などの目的で搬入される産業廃棄物について、当該所管窓口へ事前に届出、協議などをする取扱いをしています。事前協議制の有無や対象品目などについては、事前に当該自治体の担当部署へ確認してください。
【質問(9)】
排出事業者の契約締結者は代表者となっているが、支店や工場ごとに行う契約に代表者印を押さなければならないのか。
【回答】
代表者から契約締結権などの権限を委任されていれば、支店長や工場長などで差し支えありません。
【質問(10)】
「処理能力」欄の記載内容については、どのように確認するのか。
【回答】
「処理能力」欄の記載は、処分業者が責任を持って適正に処理することが十分可能であることを排出事業者に対し明らかにするためのもので、処分業の許可証で確認すれば差し支えありません。
平成12年10月1日以降は、許可証の写しなどを委託契約書に添付しなければなりません。
なお、処分業者の処理施設を適宜、現地確認しておくことが望まれます。
【質問(11)】
「必要な情報」欄に記載すべき事項は何か。
【回答】
「必要な情報」欄の事項は、委託基準上定めがある場合が該当します。例えば、汚泥であれば「現場で脱水などの処理を行い含水率が85%以下となるので、通常のダンプトラックで運搬できる」とか、「含水率が高いためタンク車でないと運搬できない」などです。
また、廃棄物の有害性、危険性、毒性その他取扱い上注意を要する事項などを記載します。
【質問(12)】
契約内容の変更についてはどうするか。
【回答】
軽微な変更であれば、「内容の変更」欄にあるとおり書面で定め、その書面を契約書に添付しておいてください。また、処理業許可の変更・更新があった場合は、当該変更・更新後の許可証の写しを契約書に添付することも行ってください。添付文書には添付した日付を入れて甲乙双方で記名押印し、文末に順次添付して契印を押印してください。別表欄も本文と同様の取扱いとしてください。
なお、重要な変更が生じた場合は、事故防止のために改めて契約をし直してください。また、契約期間満了後にいわゆる自動更新するという取扱いは、契約内容を改めて確認する好機を逸する恐れがあるため、望ましいものとは考えていません。
【質問(13)】
排出事業場が複数ある場合、どのように表記すればよいか。
【回答】
排出事業者が排出事業場ごとに個別の契約を締結すべきものを、1つの契約に複数の排出事業場を列記したり、排出事業場一覧を別紙で添付することにより、対応できるものとします。
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