209系は、「寿命半分、重さ半分、コスト半分」を目標に製造された901系試作車の量産化バージョンとして、1993年に登場しました。左手ワンハンドルマスコンを採用した運転台は、これ以後のJR東日本の標準となりました。他にも、大型1枚窓、片持ち式のバケットシートなど、これ以後の車輌の基礎となっている部分が数多く存在します。なお、1995年には6扉車のサハ208形が登場しています。 209系は、試作形式である901系のA編成、B編成、C編成で得られたデータを元に製造されました。製造工場が違うこの3編成は、VVVF装置などの制御機器から窓や屋根といった外観、吊革の有無や蛍光灯の向きといった内装、果ては運転台までが異なっており、比較して量産化(209系)用のデータを取っていました。ちなみにワンハンドルマスコンはB編成のみで、VVVFはC編成のものが採用されました。全体としてはC編成が基準になっています。901系はその後各編成とも量産化改造を受け今では209系900番台として京浜東北線の運用についていますが、6扉車は組み込まれていません。 209系はまず京浜東北線に投入され、同線に所属する103系を置き換えるべくもの凄い勢いで量産されました。最終的に1997年までに10両編成78本が製造され、約4年かけて103系全編成を置き換えました(205系は既に埼京線に転属済)。現在はデジタルATC(ATC−P)の取り付け工事のため編成を浮かす必要があることから、総武線用に作られた500番台のうち2編成が転属してきています。 下の写真は6扉車であるサハ208形です。1995年より順次6号車のサハ209形と置き換えるかたちで組み込まれ、1997年までに900番台を除く全編成への組み込みが完了しています。他の6扉車同様、行先方向幕は取り付けられておりません。 |
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製造初年:1993年(平成5年)、試作901系:1992年(平成4年) | 制御方式:GTO素子使用VVVFインバータ制御 |
こちらは南武線に投入された209系です。カラーリングは同線を走る205系と同じで、上部ラインがイエロー、下部ラインが上からイエロー、オレンジ、ブラウンとなっています。 南武線に投入されたのは6両編成×2本の12両のみで、一気の大量投入が主流のJR東日本の中では異色の存在です。性能的には京浜東北線用の0番台となんら差は無いため、車番は続き番号となっています。そのため、京浜東北線の車両に一部欠番が生じています。 6連の209系を製造するに当たって2M4Tも考えられましたが、これでは故障時に自力走行できなくなるため、仕方なく従来通り4M2Tの編成となりました。そのため非常に強力な編成となっていますが、VVVFのプログラム変更により性能は若干抑えられています。 |
こちらは、幅広車体となった209系500番台の京浜東北線色です。行先表示器は方向幕からLED式になり、後期車はシングルアームパンタグラフとなっています。6扉車は連結されていません。大きく変更された全面のデザインはE231系に引き継がれています。 京浜東北線にはデジタルATC(ATC−P)の取り付け工事のために編成を浮かす必要のあることから、総武線から最終増備編成の10連2本、計20両が転属になりました。これらの編成は基本番台や元901系の209系900番台に混じって京浜東北線で活躍しています。ちなみに全ての取り付け工事終了後も増発用として充てられるようで、総武線に戻ることはなさそうです。 また、500番台ははじめに総武緩行線に投入されましたが、こちらは同線のE231系とそっくりであるものの、全面が白色である点や6扉車が組み込まれていない点などに違いが見られます。 |
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製造初年:1998年(平成10年) | 制御方式:GTO素子使用VVVFインバータ制御 |