鉄道用語辞典

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線路関係

車輌関係

駅関係

保安装置関係

その他

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■線路■
軌間(ゲージ) 線路と線路の間のこと。世界の標準は1435mm(4フィート8インチ半)。それ以上を広軌、以下を狭軌という。日本では新幹線乗り入れ路線を除くJRの大部分や、京浜急行を除く関東の私鉄、関西では南海電鉄などで使用されている1067mmが標準。
カント 列車がカーブを曲がるときに出来る遠心力を打ち消すため、外側の線路を内側より高くしているが、その高さをカントという。ただ、あまり高くしすぎるとその区間で停車したときに内側に倒れるなどの問題があるため、カントの最大値というものが決められている。
スラック 列車がカーブを曲がりやすくするために、カーブ区間は軌間を少し広げてあるが、その長さのことを言う。
シーサスポイント シーサスクロッシングポイント。両亘り(渡り)線のこと。終端駅や車庫・検車区などに多く設置されている。純粋なシーサスクロッシングポイントの他に、4か所あるポイントのうちの1か所をダブルスリップポイントにしたものや、複分岐器にした変形パターンも見かけられる。
三支分岐器 1カ所から三方向に分岐するポイントレール。
複分岐器 2つの分岐器が半分重なったような感じで設置されるポイント。三支分岐器と似ているが、分岐位置が若干前後にずれている。
ダイヤモンドクロッシング 2つのレースが交差する部分に設置する。後述の各スリップポイントと違い別路線にわたることはできない。ただ交差する部分に取り付けるだけなので、駆動部分は存在しない。
シングルスリップポイント
(シングルスリップスイッチ)
2つのレールが交差する部分に、一方向だけに亘れるようなポイントを取り付けたレール。
ダブルスリップポイント
(ダブルスリップスイッチ)
シングルスッリプポイントとは違い、両方向にわたれるようにしたレール。狭軌路線では、レールの隙間が狭いため、設置することは難しい。また、これは両スリップポイントにいえることだが、ポイントの可動部分の数がかなり多く、複雑な動きをするため故障が多発する。
脱線ポイント 単線行き違い駅などで、列車が暴進すると正面衝突など大惨事になりかねないところに設置する、列車を故意に脱線させるポイント。分岐側の線路がすぐに切れていて、バラストが積まれていることが多い。昔の阪急西宮北口駅の神戸線と今津線の平面交差の手前にも設置されていた。
スプリングポイント 片開きポイントなどで、開いている方向は1方向に決まっていて、反対側から来た列車は自分の車輪でレールを押しのけて進むようにしたポイント。
ノーズ可動式ポイント ノーズとはレールとレールが最初に合流する部分で、車輪が通る隙間が必要なため、固定式だと通過するときに揺れるが、これを可動式にして隙間を無くしたポイントのこと。これにより高速で安全に通過できる。新幹線の標準。
ラックレール アプト式の鉄道などで使用される鋸形のレール。車輌についてる歯車とかみ合わせることで急勾配を登ることができる。現在日本では大井川鉄道の一部路線でのみ使用されている。
三線軌条 軌間の違う2種類の線路を片側のレールを共用することで同じ所を走れるようにしたレール。便利だがポイントが非常に複雑になったり架線の位置がずれたり保守の手間がかかるなどのデメリットが多くほとんど存在しない。外国には四線軌条などもある。
線路別複々線 用途の違う複線の路線を単に横に並べたもの。阪急梅田〜十三間は三複線だがあれも線路別である。
方向別複々線 線路別とは違って、上り線、下り線を2本ずつ並べたもの。優等列車と各駅停車列車とを別々の線路で走らすことが出来るため、走行中の追い抜きが可能。間にホームを造れば乗り換えも楽。

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■車輌■
直流電車・機関車 直流区間専用の電車・機関車。
交流電車・機関車 交流区間専用の電車・機関車。交流車はさらに周波数50ヘルツ対応車、60ヘルツ対応車、その両方に対応する車輌にわけられる。
交直両用電車・機関車 直流区間・交流区間どちらでも走行できる車輌。
液体式気動車 軽油を燃料とするディーゼルエンジンでモーターを回転させ、動力とする車輌。
電気式気動車 エンジンで発電し、その電気でモーターを回転させ、動力とする車輌。
列車 前照灯、尾灯を備え、運転時刻があらかじめ定められている車輌。尾灯がない車輌には、反射板をつけないといけない。
〜〜〜F 編成名をあらわすときに、先頭車の車番をとって「9501F」などのようにあらわすことがあるが、この“F”はFormationの頭文字をとったもので「編成」を意味するものである。
M車・T車・Tc車など M車はモーターのある車輌(電動車)、T車はモーターのない車輌(付随車)、cは運転台のある車輌(制御車)。両運転台車をcMcと書いたりもする。
MM´ユニット方式 昔は1両のM車に必要な機械類を全部積んでいたが、これを2両に分散させて、1両あたりの負担を減らした方式。
1M方式 1両のM車に、モーターなどに関連する機械類をすべて積んでしまう方式。昔からM車にはこの方式が使われてきたが、国鉄101系からMM´方式が採用された。現在は、JR221系の一部の車輌や、JR207系1000番台がこの方式を採用している。私鉄でも昔からの車輌はまだまだこの方式である。また、新型車両でもこれが使われていることもある。この方式は、1両単位での増結が容易であり、1両でも運転できるところが長所である。
MT比 1編成中の電動車と付随車の比率のこと。昔は電動車の方が圧倒的に多く、全車電動車などもあった。国鉄101系も最初は全車電動車として計画された。しかし最近では、モーターの性能が上がってきたことなどにより、省エネなどの観点から、編成中に付随車が多く組み込まれるようになった。京浜東北線の209系は、10両編成でMT比が4:6と、付随車の方が多くなっている。ちなみにMT比が4:6であることを4M6Tと書く。
0.75M 普通の車輌1両には4軸車軸があるが、MT比を揃えるためなどに3軸だけにモーターを取り付けた車輌。
集中式クーラー 1車輌で一個、大型の冷房機を設置する方式。通風口で車輌全体に風を送る。
集約分散式クーラー 集中式と分散式の間。3〜4機の冷房機を設置する。
分散式クーラー 1車輌に小型の冷房機をいくつも設置する方式。
ロングシート 窓を背にして座るシート。通勤型車輌はほぼすべてこれ。進行方向横向きに座るため、嫌う人が多い。最近の車輌は座り心地が良くなっている。
セミクロスシート ドア付近だけロングシートで、これ以外は固定クロスシートの車輌。近郊型車輌によく使われている。しかし最近はJR東日本の113系や211系などがロングシート化されている。また最近はJR東日本のE217系やE231系など通勤型と近郊型の区別が曖昧になってきているため、セミクロスシートはかなり減っている。
固定クロスシート 固定されたクロスシート。両側に座ることが出来る。国鉄急行型車輌などに使われていたが、座り心地が悪い。セミクロスシートのクロスシート部分はこのシートである。
転換クロスシート 座席部分を倒すことによって、座る向きを変えられるクロスシート。JR西日本221系や223系、阪神9300系など、特急用車輌でないクロスシート車はこれを用いることが多い。
回転クロスシート 回転させて向きを変えるクロスシート。特急車両の標準。最近の車輌はシートピッチが長くなっている。
ボックス式クロスシート 4人が向かい合わせになって座るクロスシート。
振り子式車輌 カーブを曲がるときに、車輌を内側に傾けて、遠心力を緩和させる車輌。自然式と制御式がある。
自然式振り子
制御付自然振り子
黒幕 黒地に白字の方向幕。
第三軌条 2本のレールの横にもう1本集電用のレールを設置して、そこから電気を得る方式を第三軌条方式という。第三軌条とはその3本目のレールのこと。地下鉄などでは、架線を張るとどうしてもトンネルの断面積が大きくなってしまうので、これを採用することが多い。欠点は、普通の架線式の鉄道と乗り入れできないことと、最高速度が低くなるという点。また足下に高圧電流を流すことになるので危険でもある。そのため両側にホームがある駅などでは、第三軌条の保護板はかなり仰々しいものになっている。
パンタグラフ 架線から電気を得るための集電装置。昔はポールであったが、架線から外れやすいので今のかたちに改良されてきた。しかし架線を押さえる力が弱かった頃は、架線から外れるなどして火災事故が発生していた。最近は空気抵抗や騒音の問題から、高速列車では編成中のパンタグラフを少なくしている。またパンタグラフも騒音の少なくなるように改良されている。
シングルアームパンタグラフ 一本のアームで支えるパンタグラフ。騒音の面で優れている。昔は方向性などの問題があったが、今では改良され、このパンタグラフを採用する車輌が増えてきた。
下枠交差型パンタグラフ 菱形パンタグラフの下の部分が交差しているパンタグラフ。折畳み時に小さい面積ですむ。
菱形パンタグラフ 標準型のパンタグラフ。どこでも見ることができる。
Z型パンタグラフ ヒューゲルの改良型。ヒューゲルを真ん中で折り曲げたようなもの。
ヒューゲル 路面電車によく使われていた。ポールとパンタグラフの中間のようなもの。
ポール 昔使われていたが、架線から外れやすいため、現在では路面電車を含めほとんど使われていない。
ボルスタレス台車 サスペンションの役割をするゴム製の「空気バネ」が台車の左右に設置されていて、車両を4点で支える。車両の軽量化、保守点検の容易さ、乗り心地の良さに優れている。カーブを曲がると壊れやすい。ボルタレス台車ともいう。
平行カルダン駆動 モーターを台車に起き、自在継手で車輪に動力を伝える方式で、揺れが少なく、音も静かである。
吊掛(釣掛)式駆動 モーターを車輪に直接吊り掛ける方式。自在継手に信頼性がなかった時代に用いられた。振動が多く、音もうるさい。
自在継手
(ユニバーサルジョイント)
機械の段差・寸法公差を吸収し、動力伝達を正確に行なうために使用されるもの。
空気ブレーキ 圧縮空気を編成全体に引き通して、各車両の車輪にブレーキシューを押しつけて減速させるもの。
電気指令式空気ブレーキ 空気ブレーキでは編成が長くなると端までブレーキがかかるのが遅くなってしまう。そこで電気信号により出された指令を受け取った各車のタンクから空気を送りブレーキをかけるもの。
電気ブレーキ モーターを発電器として使用し、電気を発生させて、その抵抗により減速させるもの。
抑速ブレーキ 下り勾配を一定の速度で走れるように電気ブレーキなどを制御する装置。
回生ブレーキ 発生した電気を架線に戻して他の車輌に使用させるブレーキ。
抵抗制御 直流モーターに流す電流を換えるとき、抵抗器で加減させる制御方式。
界磁添加励磁制御 抵抗を切り換えるときに界磁に流す電流に他の電流を加え、ショックを和らげるようにし、回生制動も出来るようにした制御方式。
チョッパ制御 チョッパは英語で「切りきざむ」の意味である。モーターに流す電流を切りきざむ、つまりオンオフを繰り返して、必要量だけモーターに電気を流して電圧をコントロールする方式。制御装置自体のコストが比較的安価な点が特徴。界磁チョッパ制御と電機子チョッパ制御があり、前者はモーターの界磁側だけをチョッパ制御にしていて、後者はモーターすべてをチョッパ制御にしている。
VVVF Variable Voltage Variable Frequencyの略。可変電圧可変周波数。電圧と周波数をモーターに対し変化させ、回転数をコントロールする。
インバータ制御 インバータは周波数と電圧を自由に変化させる装置であり、これを交流モーターに採用したのがインバータ車である。直流モーターに比べてメンテナンスが楽。また、空転が起こりにくいため加速度を上げることができる。
並型自動連結器 機関車、客車、貨車を中心に使用されている連結器。この連結器は、連結部分に少し隙間があるため、発車時にどうしても揺れてしまう。そのため、通勤型車輌などには向かない。しかし、車輌1両ずつに徐々に力がかかっていくため、長大編成となる貨物列車などでは機関車に1度に力がかからないのでよく用いられている。
密着式自動連結器 並型自動連結器を、隙間が最小限になるように改良したもの。気動車、昔の私鉄の電車を中心に使われていて、中には小型の物もある。並型自動連結器と併結可能。
←密着式自動連結器を開いたところです。
密着式連結器 並型自動連結器の欠点である車輌の揺れを改善するために作られた連結器。完全に密着するため揺れはほとんどない。しかし仕組みが全く違うため並型自動連結器とは連結できない。JRの電車や、私鉄の最新車にはほとんどこの連結器が用いられている。
双頭式連結器 自動連結器、密着式連結器の両方に連結出来るもの。先端部分を90度回転させることで連結相手を替える。信越本線横川〜軽井沢間を通過する列車すべてに連結する必要のあったEF63系などに使われていた。
永久連結器
(固定連結器・棒連結器)
普段は切り離さない車輌と車輌の間に使われる。旧国鉄はこの連結器をほとんど使わなかった。205系などになって使われはじめたが、ボルトを外すことによって切り離すことのできる半永久連結器を使用することの方が多い。
半永久連結器 永久連結器と同じようなものであるが、こちらはボルトでとめられてあり、検査時などには切り離すことが出来る。固定編成列車の主流。
←半永久連結器を切り離したところです。
電気連結器 連結時に、ジャンパ線なども一度に連結できるようにしたもの。この装置があると、連結の時間が格段に早くなる。

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■駅■
島式ホーム 複線の線路に挟まれたホーム。進入時にカーブが必要であるため、時速100kmを超すような高速運転には不向き。
相対式(対向式)ホーム 中央に線路を配置し、それを挟むようにしてあるホーム。場所をとるのが難点だが、島式ホームと違い速度制限の必要はない(あくまでも直線区間に設置する場合)。
頭端式ホーム 終端駅で、島式ホームや相対式ホームのはしが車止めで終わっているもの。
櫛形ホーム 頭端式ホームの一種であるが、ホームとホームに線路が食い込む形(車止めの奥のホームがある)になっている物を特にこうよぶ。南海なんば駅や、阪神・阪急両梅田駅など、私鉄のターミナル駅はこのホームであることが多い。
切り欠き式ホーム 島式ホームや相対式ホームの一部を切り欠いて、片側に2列車が止まれるようにしたホーム。また、相対式ホームの反対側を切り欠いて、短い列車が止まれるようにしたホーム。
X面Y線 最初の数字はホームの数を表し、最後の数字は線路の数を表す。例えば2本線路があってその間に島式ホームがあるとしたら、1面2線ということになる。なを、切り欠き式ホームの切り欠いた部分は通常は本数に数えない。
1線スルー方式 単線路線で行き違いをする駅は、通常上下線どちらでも速度制限(大体は45km/h制限)を受ける。これだと停車する分にはあまり問題ないが、通過列車も制限を受けてしまい、時間がかかる。そこで、一方を直線にし、その駅を通過する列車は上下線にかかわらず直線側を通過させ、速度制限を受けないようにする方式。

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■保安装置■
現示(げんじ) 信号機は色を表示することで進行や警戒などといった意味を出すが、その表示を現示という。停止信号(赤)はRedのRをとって「R現示」、進行信号(青、正確には緑)はGreenのGをとって「G現示」といったりする。また、動詞として「現示する」という使い方もされる。
閉塞信号機 閉塞区間の入り口にある信号機。
場内信号機 列車に対して駅への進入の可否を知らせる信号機。
出発信号機 列車に対して駅からの出発の可否を知らせる信号機。
中継信号機 閉塞信号機などが確認しづらいとき、その手前に設置して、現示内容を予告する信号機。
入換信号機 駅構内で車輌の入れ換えを行うときに用いられる信号機。
ATS Automatic Train Stopの略。自動列車停止装置。運転士が信号を無視したときに赤信号を越えないように停止させる装置。JR、私鉄各社によって方式が全く違う。JRが首都圏・関西圏で導入しているATS−P型は、列車のブレーキ性能にあわせてブレーキが作動する。
ATC Automatic Train Controlの略。自動列車制御装置。車内に信号機を設置して、先行列車接近、速度制限区間に関わらず、列車が速度制限を越えると自動的にブレーキをかける装置。段階的にブレーキをかけるため、乗り心地の点で多少問題がある。車内信号式のため、原則として地上に信号機は存在しない。
ATO Automatic Train Operationの略。自動列車運転装置。ATCをさらに発展させて、加速から停止まですべて自動で制御できるようにした装置。カーブなどの速度制限の前後でも自動で制御する。完全自動運転が可能だが、いまいち普及しないのは、ダイヤが乱れたときの対応が困難なことや、安全面での問題、運転士の技術が低下してしまうこと、装置そのものが高いなど、問題が多いから。神戸市営地下鉄では、この装置はあるが、昼間はATCバックアップによる手動運転をしている。
CTC Centralized Traffic Controlの略。列車集中制御装置。信号機やポイントの切り替えなどを、一カ所から制御する装置。
PTC・TTC Programing Traffic ControlまたはTotal Traffic Controlの略。列車運行制御システム。PTC・TTCは会社によって呼び方が違うが基本的には同じ。CTCをコンピュータにより自動制御する。

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■その他■
表定速度 列車の運行距離を所要時間で割ったもの。停車時間も含まれるため、新幹線でも「こだま」などの各駅停車列車はかなり遅い。
運転停車 列車行き違い、運転士の交代などのためだけに駅に止まること。客扱いはしない。
粘着運転方式 車輪とレールの摩擦だけで運転する方式。あまり急な斜面は登れない。1997年に廃止された信越本線横川〜軽井沢間の66.7‰くらいが限界。この区間では常にEF63型電気機関車を補機として横川方に2両連結していた。
アプト式 2本のレールの間にラックレールという鋸形のレールを敷き、歯車をかみ合わせて急勾配を登る方式のこと。

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