『セラロンダ』(時計回り)
『グランデ・グエッラ』(時計回り)

 広大なイタリアのドロミテには『セラロンダ』と『グランデ・グエッラ』という2つのスキーサーカスのコース
がある。一般的にスキー場からスキー場へ渡り歩くのをスキーサーカスと呼んでいるが、この2つは完全
な一周コースで、文字通りのスキーサーカスである。両コースとも、どちら回りでも出来るので、都合4つ
のコースが取れることになる。まずパンフに載っている数字を一覧表にすると、下表のようになる。一般的
に『セラロンダ』40km、『グランデ・グエッラ』90kmと言われている。
 一周に要する時間は、『グランデ・グエッラ』は7〜8時間、『セラロンダ』はパンフには記載されてないが、
4〜5時間ぐらい。これに昼食の時間を入れると完全に1日コースである。『セラロンダ』が初・中級向きと
すれば、『グランデ・グエッラ』は距離を考えると、中・上級向きと言ってよい。
 両コースの一番の違いは、グランデグエッラにはバス(反時計回りは馬車も)で移動する区間が3ケ所
あるということである。これらのバスはグランデグエッラ用に無料(馬車は有料で1.8ユーロ)で運行されて
いる。ただし時計回りのアルメンタローラ・ファルツァレーゴ間だけは、定期バスかタクシーで移動しなけれ
ばならない。定期バスの本数は少なく、タクシーで移動することになる。このバスが、どれくらいの間隔で
出ているかという情報がなくて、2004年に行った時は不安だった。パンフに、始発と終バスの時間と
発車間隔くらいの情報を載せてほしいものだ。グランデグエッラのバス時刻表。                   

コース名 回る方向 滑降距離 リフトetc バス・馬 合 計 私が滑った日
セラロンダ 時計回り 25km 17km 42km 2003年4月1日
セラロンダ 反時計回り 24km 15km 39km 2005年3月7日
グランデグエッラ 時計回り 33km 19km 36km 88km 2005年3月10日
グランデグエッラ 反時計回り 36km 21km 32km 89km 2004年3月2日
●セラロンダ
  ドロミテの中心に位置するセラ山群(最高峰はピッツボエ3152m)を一周するコースで、ドロミテの
 スキーツアーの中で、最も人気がある。標高1500mから2500mの間に、実によく出来たコースで
 標識も完備している。どちら回りでも大差はない。
●グランデ・グエッラ
  正式には『クランデ・グエッラ 1914〜18』。年号が示すようにグランデ・グエッラとは第一次世界大戦
 のことである。グランデ・グエッラの地図には、右上から左下にかけて斜めに緑色のくねった線がある。
 この線は1917年にイタリア軍とオーストリア軍が対峙した最前線を示している。
  イタリアは19世紀オーストリアに併合されたドロミテのあるトスティーニ地方をイタリア領にするという
 ロンドンの密約によって、大戦勃発の翌1915年、連合国として参戦した。しかしオーストリア軍を初め
 とする同盟国からの猛攻撃を受けて、多大の犠牲を払うことになった。しかし最終的には連合国側の
 勝利により、ブレンナー峠以南の南チロルと呼ばれるトスティーニ地方はイタリア領になる。ドロミテの
 多くの町や村は今でもイタリア語とドイツ語の2つの名前を持っている。
  90kmに及ぶグランデ・グエッラのコース中には、大戦を記念する博物館が5つもある。そのひとつに
 入ってみたが、英語の表示がほとんどないのが残念だった。
  スキーツアーとしてのグランデ・グエッラは、とにかく長いコースなので、天気のよい日に朝早く出発
 することが肝要である。どちら回りがよいかというと、人気は圧倒的に反時計回りの方である。あの
 馬車に引かれて移動するという物珍しさが、人気の原因だと思う。これに対して、時計回りの方は、
 アルメンタローラ・ファルツァレーゴ間をタクシーで移動しなければならないというのがネックになって
 いる。しかし時計回りコースは、ゴンドラで3240mまで登って、マルモラーダの大斜面を滑降すると
 いう魅力もあり、来シーズンには是非滑ってみたいと思っている。

(注)セラロンダのパンフに載っているコースは、ただ1本だけである(実際に滑ってみるといろいろなバリエーションの標識が
  あるのでマップを正確に読むことが必要)。これに対して、グランデ・グエッラはパンフレットにバリエーションコースを紹介
  している他に、本コースでも、時計回りで2ケ所、反時計回りで1ケ所コースが分かれている。特にアルタバディア地区は
  地形が複雑で、ちょっと判り辛い所がある。時計回りでは、マルモラーダの3240mまで登るコース、アルタバディアは
  プラロンジアを通るコースを推薦する。反時計回りのアルタバディアは3つのコースに分かれており、どれをとってもよい。
  上の表の距離については、一番長い『グランリサ』というW杯の大回転コースで算出している。。

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イタリア・ドロミテのスキーサーカス

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セラロンダ(反時計回り)
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『グランデ・グエッラ』(反時計回り)
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