問題は下り始めの急斜面である。少し行くと急な
雪渓があった。私の持っているのは、ストック1本。
ここはアイゼンピッケルの欲しい所である。引き返そ
うとも思ったが、雪渓の上に踏み出してみると思った
より軟らかい雪だったので、行くことにする。
精神を集中させて、一歩一歩慎重に、トラバース
気味に下る。無事に渡り終えるとホッとする。その時
撮ったのが右の写真。スイス側は晴れていたが、
かなり雲が出てきた。
後は長いバレアントロナ(アントロナ谷)をひたすら
下るだけである。イタリア側はスイスのような親切な
標識はなく、下の写真のように、岩にペンキで文字
や目印がかかれている素朴なものである。

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アントロナ谷には3つダム湖があり、これを迂回
したりで結構時間がかかる。午前9時半に峠を出て
5時間歩き通して(昼食の休憩はもちろん取ったが)
午後2時半やっとアントロナピアナに到着した。
ツールフレッチホルンのパンフレットによるとアント
ロナピアナには宿泊施設がない。まだ3時前なので
ひとつ上の宿泊施設のあるチェッジオまで行くことに
する。標高差約600m、1時間半の登りである。
ところがチェッジオへ登る道がどうしても判らない。
仕方なく、アントロナピアナの一番高い所から、山道
に入ってみるが標識は全然ない。かなり登ったが、
道はだんだん荒れてくる。
木々の間から、谷の反対側をみると立派な車道が
あるではないか。チェッジオにはこの車道で行く以外
ないと判断して引き返す。もう時間もないので、午後
6時の最終バスでドモドッソーラに下りることにする。 |