論理哲学論考 1-7 3.1-3.5 3.11-3.14 3.141-3.144
      
3.143 文記号が事実であることは、筆記なり印刷なりの通常の表現形式によって覆い隠される。
というのは、例えば印刷された文においては、文記号は単語と本質的に異なっては見えないからだ。
(だから、フレーゲが文を合成的名称と呼ぶことも可能だった。)
3.1431 文記号の本質は、それが諸文字記号ではなく空間的諸対象(例えば、テーブル、椅子、本)から構成されているのを我々が想像するとき、顕著になる。
その場合、それらのものの相対的な空間的配置が当の文の意味を表現する。
3.1432 「複合的記号「aRb 」は ab に対して関係 R にあることを述べている」という訳ではなくて、「a 」が「b 」に対して或る関係にあることaRb ということを述べているのだ。