Mr.Children TOUR2002 DEAR WONDERFUL WORLD
IT'S WONDERFUL WORLD ON DEC 21





科学や数字じゃきっと 解明できない謎 Mr.Childrenの魔力


私は あなたに恋をしています



彼らの音楽を聴いていると 私の中の色んな感情が目をさます

たとえばそれは テレビを見て大笑いした事だったり
悔し泣きしたことだったり 昔々のドキドキした出来事だったり
ありふれた どこにでもあるもの
そんな遠い記憶の断片が 幾度も幾度も 波のように押し寄せては 消え 
過去の ある瞬間に引き戻してくれる

それは 始めから遺伝子に組み込まれているのかも 知れない
ただ 奥深く眠っていた何かが 次から次へと溢れ出てくる

だから その想いを 吐き出さずにはいられない
絶え間ない わたしの本能




こんな風に ライブレポを書くようになったのは
2001年の夏 彼らのライブを見てから
その年の7月に始まったポップザウルスツアーは
私を 『書く人』 へと変身させてしまった

こうして今も 映像でしか見たことのない 12月21日の出来事を
文字にして残そうとしている自分がいる
そしてこれからもずっと 続いていくのだろうと、思う

何気ない日常の中で Mr.Childrenの音楽に触れて
あふれる想いを書き綴ることが なによりも嬉しい 本当に嬉しい


私にそんな幸せをくれて ありがとう







Mr.Childrenがいなかった夏


どこかで聞いたセリフを ちょっと拝借してみた
ほろ苦い響きのこの言葉も 今となっては追憶のキャッチフレーズとなった
2002年夏から半年間行われる筈だった 10thの記念すべきツアー
「IT’S A WONDERFUL WORLD」
桜井氏の体調不良により 全公演が中止となった

あれから5ヶ月 長くけわしい道のりを越え 彼らは自らの意志で蘇生した
横浜アリーナで一夜限りの幻のライブ  復活の舞


この日この夜 彼はどんな想いでステージへと上がったんだろう

途中何度も 込みあげる感情を 惜しげもなく解放していた
まるで そのあふれる情熱を叩きつけるように ギターをかき鳴らし
熱い想いを搾り出すかのように 声をはりあげて
『歌える』 喜びを 身体中でかみしめていたのだろうか


自分を決して偽ろうとしない 真っすぐな人
狂おしいほど 艶めかしい表現者
  桜井和寿





1221 19:10PM opening


宇宙の神秘にも似た 生命の誕生を彷彿させる映像で始まった
Mr.Childrenの想像するワンダフルワールドだ 「Dear wonderful world」

ひさしぶりに聞く彼の声に興奮しながらも どこか冷静な私がいた
それは多分 もの凄いスピードで疾走する彼らに 戸惑っている私
いいのか悪いのかはわからない この気持ちを表す言葉が見つからない
ただ、Mr.Childrenは 確かに・・・生まれ変わった


まず始めに感じたのは 桜井さんの硬さ だった。
一年以上のブランクがあってのライブだ 緊張はあるだろうけど、
それ以上に彼にのしかかっていたプレッシャーは 想像以上だったのだろうか。

意気込みと気迫は感じるんだけど いつもの余裕が見られない
私の心臓はヘンにドキドキして しばらくの間集中する事が出来なかった。
(彼のニューヘアスタイルと、もみ上げのせいでは 決してない、笑)

それとは対照的に 他のメンバーの表情はとてもリラックスしている
はち切れんばかりの笑顔はまるで少年のよう…久々のライブが嬉しくって仕方ないみたいだ。
10年たってもアマチュアバンドみたいな清々しさを 持っている
そんなところも Mr.Childrenらしさ 魅力のひとつだ。


初日の緊張感と ある意味ファイナルのような解放感が 入り混じった前半戦

MC以降は無駄な動きも少なくなり 徐々にいつものMr.Childrenに戻っていった・・気がする





<introduction>


初期の頃からの「虹の彼方へ」でスパイスを加え 中期、後期からのものを織り交ぜた選曲がつづく。

ALIVE」のイントロが流れた時には驚いたけれど…
田原さんのギターソロのアレンジがとても印象的だった。
5年前に深海ツアーで聴いたモノとは 全く違う曲に聞こえるから不思議だ。
あの頃の作品というのは、負のパワーとでもいおうか
得体の知れないエネルギーが溢れていて 聞くたびに圧倒される。

そしてアノ苦悩に満ちた旋律と吐息で わたしは完璧に堕ちる。
そう、一昨年夏ポップザウルスで見せた 「ニシエヒガシエ」 のキレっぷりもその1つで・・・(笑)
「LOVEはじめました」 の毒吐きは まだまだカワイイ物です。

堕ちたものといえばもうひとつ・・・ジェンの赤シャツとヘアーにヤラれましたね。
何かあったか?? と誰もが思ったに違いない あの変貌ぶりは・・・
汚いオヤジ払拭!? 好感度そーとうアップました〜。



桜井さんのボーカルは 特にバラード系で突き抜けていた。
繊細さという面で少し物足りなさを感じたけど 彼の天性の艶は相変わらず素晴しい。
生のステージでは その神の声を惜しげもなく放出していたことだろう。
特にDrawing」のセクシーさ 「つよがり」のツヤは 上トロ級の絶品でありました。




そして最後に届けてくれた HERO」  聞くたびに化け物のように進化していくこの曲
優しすぎる歌詞にぼやいていた私は ついにこの日 涙腺を刺激されてしまった
しばらく忘れかけていた 真冬の中の温もりが
イントロが流れたその瞬間 映像も時も 距離さえも飛び越えて 私のもとへ

ポップザウルスのそれが 「優しい歌」 だったとしたら
この幻の たった一度きりのライブで聴かせるべき歌は 『HERO』
送る側と受け取る側の 「想い」が見事に重なった それが間違いなく この曲だったのだろう
何も言葉はいらない ただ、祈るように胸に手をあて 熱いものがこみあげた

いったい何人の人が この言葉を呟いたんだろう
「 ありがとう 」

あふれる涙をぬぐう人 ステージを見つめる人 微笑む人

彼らが去ったあとも そこにはずっと 優しいときが 流れていた









<epilogue>


それはまるで お気に入りのオモチャを与えられた子供のようだった
水しぶきをあげて大海原を泳ぐ 魚のように
大胆にも 「この世は素晴しい」 なんてメッセージを掲げて
ステージの上で 楽しそうに音を鳴らしている Mr.Childrenがいた

悲壮感はまったくない 過去への執着もない 完璧なんてものは必要ない
そこにあるのは 希望という輝きと すっかり元気になった桜井さんと

純粋に音楽を楽しんでいる 嬉しそうに演奏しているメンバーと
日本中の到るところで 彼らと同じ場所で それを見つめる 幾つもの眩いばかりのまなざしと

それだけでいいのだな と思った それが今宵の宴





Mr.Childrenは 幸福の欠片を私達に届けてくれた


たとえ遠く離れた地にいようとも 私は今 彼らと共鳴しているんだ


時空を越えて あの夜 私は確かに 彼らと共に呼吸していた





We’re in A Wonderful World☆★










Mr.Children TOUR2002 DEAR WONDERFUL WORLD
IT'S WONDERFUL WORLD ON DEC 21
2002.12.21 /横浜アリーナ



SET LIST


01. Dear wonderful world
02. CENTER OF UNIVERSE
03. NOT FOUND
04. 名もなき詩
05. 渇いたkiss
06. Drawing
07. つよがり

<MC>〜メンバー紹介

08. 君が好き
09. youthful days
10. ファスナー
11. Bird Cage
12. ニシエヒガシエ
13. LOVE はじめました
14. ALIVE
15. 終わりなき旅
16. 光の射す方へ

<ENCORE>

01. 虹の彼方へ
02. Any
03. いつでも微笑みを
04. overture 〜蘇生
05. It's a wonderful world
06. HERO