It’s a wonderful world
  




私は騙されている きっと騙されているに違いない



この10年の間 彼らが紡いできた作品にも
 そして今聴いているこのニューアルバムにも


でも何の抵抗も無いし 悔しさも感じない
いつも彼らはその素敵な嘘で 私を幸福にしてくれるから


この世で最も美しく素晴しい「音楽」を与えてくれたMr.Childrenに
今心から感謝をしたい どうもありがとう



10年という 軌跡


Happy 10th Anniversary of Mr.Children





 

<音楽になったMr.Children>

 

優しさってなんだろう?  強さってなんだろう?
音楽とは 人間とは 幸せとは 安らぎとは 平和とは
価値観とは 生きる意味って 一体なんだろう?

 

こんなにも真っ直ぐに 凛として ただ1つの方向を見つめている
この美しい「音楽達」を目の当りにして 

私の心は激しく動揺した。

 

決して空威張りなんかじゃない 理想主義と言われようと 楽観主義といわれようとも
それが無くなったらこの醜い世界に、後何が残るというのだろうか?
「もう一度この世を愛してみる」と言い放つ勇気と
子供達の未来を憂いながらもあえて「希望」という言葉を使う。

Mr.Childrenが私達に投げかけたメッセージは
とても荒々しく 私の胸に 突き刺さった

 

すごく痛くて 苦しくて 自分が憎らしくて

ラストチューンの「It’s a wonderful world」を聴いた時

涙が出た。

 

私こそが忘れていたのかもしれないな「優しい歌」を。

 

  

この新譜を聴いている間中、この70分間、
私の頭の中にMr.Children」という文字は現れなかった。
そこにいるのは紛れもなくMr.Children、桜井くんの声があり、
ジェンのドラムがあり、中川さんのベースがあり、田原さんのギターがあり、
そして私は
It’s a wonderful worldの歌詞カードを読んでいる。
にもかかわらず、ミスチルという文字は飛び出しては来なかった。
そう彼らの「もくろみ」は見事なまでに成功していた。
そして想像を遥かに超える世界がそこにはあった
「醜くも美しい世界」(確かにこの方がミスチルらしい)の全容は
あまりに艶かしく、攻撃的で、それでいて優しかった。


私の思いつく限りの言葉は あまりにも幼稚で未熟で

既に一歩前へと踏み出した
Mr.Childrenは もの凄いスピードで疾走する

私はそんな彼らとこの先ずっと 息切れしないで対峙していけるだろうか

 

 

「優しい歌」が世に出された時、私にはどうしても受け入れ難い物があった。
どうして今ここでこんな曲をやるのか理解できなかったし、
あまりに軽すぎる曲に耳が馴染まなかった。
「新譜を聴いたときその意味が分る、これは単なるプロローグなんだ」
という桜井さんの言葉さえ半信半疑で聞いていた。
続く
Youthful Days」「君が好き」の流れを見ては、
このまま
Mr.Childrenは私から離れていってしまうのかなあ、などと悲しんだりして。

 

しかしIt’s a wonderful worldの中にそれらの曲が散りばめられ、
私のもとに届けられたものは…何処までも深く、透明な水の様な「音楽」だった。
私が愛したかつての作品に見た「何かを引きずる様な重厚さ」はこの中には全く見られない。
非常に軽く薄くシャープなのだ、しかしなぜか 重く 深い。
彼らが引き受けたポップという物はこれだったのか?恐ろしいくらい力強い。

いや私自身が「力強さ」というもののを誤解していたのかも知れない。

 

深海」以降のMr.Childrenについて私が感じていたこと・・・
ひねりが足りない、切れがない?
でもこれを聴いてそんな事はどうでも良くなってしまった。
何故だろう?それは多分この作品の裏に潜むメッセージが
とてつもなく大きく、重く、壮大なもので、
ちっぽけな音に対する「こだわり」なんて物を 覆い隠してくれたのかな。

 

ある雑誌の中にこんなコピーがあった「自分探しの旅はもう終わった」
自分のエゴだと分っていても
私は永遠に自問自答しているMr.Childrenという物をずっと求めていた。
だから無理に終わらせて欲しくなかった。
しかし10年経って 彼らが見つけた旅路の果てとは・・・
全てはこの「
It’s a wonderful world」の中に凝縮され 新しい生命体となった。
その生命体が一体なんなのか 今の私にはまだ良く分らない
天から舞い降りてきた音楽? それって私の処理能力の限界を超えている


ただひとつ分ったことは
シンプルな物の奥の深さはたぶん この世で最も難しく
 最も美しい

 

つねに「今自分は何をしようとしているんだろう?」と問いかける桜井氏。
音楽というものと真摯に向き合うその姿勢、
彼らは Mr.Childrenの音楽の中で今も、そしてこれからもずっと
「自分探しの旅」
を続けているのだと、そう思う。





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