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スウェーデン

〜北欧への興味〜

有名なビーチリゾートがあるわけでもなく、私にとってあまり身近に感じられなかった
北欧に、是非とも行きたいと思ったのはボラカイ島 で知り合った女の子達の影響だ。
とてもじゃないけど同じ人間とは思えないほど背が高く、どれだけ酔っ払っても次の
朝にはけろっとしているスウェーデン人・・・。
彼らの国ってどんな所なんだろう?
うーん行ってみたいっ!

ボラカイから帰国後、一番仲良くなった子にもらっていた電話番号にかけてみた。
もしかしたら帰ってきてるかも・・・と期待していたが、案の上電話に出たのは彼女の
友人らしき女の子。
「彼女は来年まで帰ってこないので、その間私がここを借りているの」
とのことだった。

そうだよね・・・まだ帰ってないよね・・・一年は旅するって言ってたもんね・・・。

「ならば彼女を頼りにするのはやめて、普通に観光旅行をしに行こう。
お盆前後に2週間、休みを取って」
と思い立ち、いつもお世話になってる「地球の歩き方」の北欧編を買う。
北欧への旅は、久しぶりの一人旅なのだ。

実は北欧旅行の5年ほど前にも一度、ニューヨークへ一人で旅行したことがあった。
そのとき学んだことが

「一人旅、普通のホテルにゃ、泊まれない」

だった。
つまり一人で海外に行くのに友人と行くときと同じようなホテルに泊まると、
「ご飯を一緒に食べる相手がいなーーーい!」
という悲惨な状況になるのだ。
それを避けるには、ひたすら現地のバスツアーなどに参加するしかない。
もうあんな思いは嫌よっと思った私は、狙いを「バックパッカー宿」に定め出発。

〜いざ、スウェーデンへ〜

私はスウェーデン・ノルウェーフィンランド 周遊の旅の拠点を、スウェーデンの
ストックホルムにした。
北欧最初の都市ストックホルムで取った宿は、なんと船の宿であった。
船に泊まるなんて豪華〜と思うなかれ、船室はとっても狭く窓は上の方に小さな丸い
のがついてるだけ。
換気もなにもあったもんじゃないので、毎日下着を洗濯しても乾くのに時間がかかる。

でも安い!一泊朝食つきで2000円くらいだったと思う。
相部屋だったが女性と男性は別々だったので問題なし。
それになんといっても!
その船はストックホルムの中心メラーレン湖に浮かんでいたので、とにかく便利だった
のだ。

それにしても美しい街である。
「水の都」と言われるストックホルムをフェリーで移動すると、島の木陰で短い夏の
日差しを浴びながら本を読んでいる少女が見えた。
暖かな太陽を心ゆくまで楽しむ人々。
緑は色濃く、湖の水面はきらきらと光っている。
こんなにも自然と都市の環境が調和された都市があるだろうか。

ストックホルム
バス車窓よりストックホルムを写す1995年8月

ストックホルム市街はどこも徹底的にバリアフリーになっており、日本であまり見かけ
ることの無い車イスの人々がたくさんたくさん自由に移動していた。
スカンジナビアの都市は、どこもこうなのだろう。

王宮や市庁舎、ドロットニングホルム宮殿など様々なところに行ったが、一番印象的
だったのはやはり
「ガムラスタン(旧市街)」である。
王宮のそばにあるガムラスタンは中世の雰囲気をそのまま残した街で、石畳の細い
路地を歩いていると、歴史の重みというものを改めて感じることができる。

ガムラスタン
ガムラスタン

〜世界各国の人達との交流〜

さて、毎日のご飯の相手、である。
相部屋にしたおかげで、全く困ることが無かった。
毎日色々な人たちが私と同室になるのだが、絶対に絶対に

「今夜一緒にご飯食べましょうよ」
「夜ご飯のあと、一緒にバーに行きましょうよ」
 
ってな具合で声をかけてもらえる。
私はシャイな?日本人ゆえ、なかなか自分から誘うことはできないのだが、それまで
の段階でとにかく世間話などで盛り上げておき、
「一緒にご飯を食べたいと言わせる」
べく頑張ることくらいはできるのだ。

ドイツ人、スペイン人、スイス人、フィンランド人、デンマーク人、メキシコ人・・・数限り
ない国々の人達と、それはそれは様々なことについて語り合った。
日本の価値観とは大きく違う考え方を知ることができたのは、どんなブランドものの
バッグを買うよりも貴重な体験だったと思う。

又ちょうど私がストックホルムに滞在していたときに「ウォーターフェスティバル」という
イベントが湖で行われていた。
水泳大会に出場した女の子達が同室になったので、一緒にそのお祭りに出かけた。
日本で言うところの屋台がたくさん出ていて、大きな会場が設置され、そこでは有名な
アーチストがやってきていた(ビヨークほどの大物はいなかったが)。
ストックホルムでレゲエやヒップホップのコンサートを楽しめるとは思ってもいなかった
が、野外ライブは夜遅くまで盛り上がり、私はとっても得した気分だった。

そうそう、忘れちゃいけないのがウォーターフェスティバルの催しの一つ、「花火大会」。
世界の国々が夜空に花火を打ち上げ、その美しさを競い合う「花火コンクール」の様な
ものが、私の宿泊している船の真上で行われたのだ。
湖の上だなんて絶好の花火観賞スポットなわけで、私も同室の女の子達も、外から
暗証番号を教えてもらって船に入ってきた友人達も、みんなビールを片手に花火を
心ゆくまで楽しんだ。

その場で口には出さなかったけれど、花火の質というかスケールは、日本はトップ
クラスなんだと改めて知った。
私が見たとき、確かヨーロッパのどこかの国が打ち上げていたのだけど、ぜーんぜん
日本のとは比べ物にならない。
毎年夏になると、鎌倉のビーチで水上花火(すっごい迫力!)を見に行っていた私に
とっては、「たいしたことないな〜」って感じであった。

でもそんなことはどうでもいい。
ストックホルムの湖に浮かぶ宿泊船のデッキで、世界の人々と混雑を気にせず
花火大会を楽しめた・・・それだけでもう言うことなしである。

それから昼間に公園で今の夫(その頃は出会ったばかり)に絵葉書を書いていたら、
移民の男の子達にナンパされたこともあった。
スキを見せてはならじと身構えたが、真昼間の人の多い公園だったので色々話を
聞かせてもらった。

「この国が気に入ったの?ならば移民手続きすれば良いよ。皆を受け入れてくれるんだ」
「僕のおじいさんの代までは、ちゃんと母国があったんだけどね」

という言葉を聞いたとき、日本に生まれ国籍を持ち「日本国」というパスポートを持って
自由に旅ができる自分の立場が、いかに恵まれているかを感じた。

移民問題は今(2002年5月現在)、世界的に大変なことになっている。
人間のストレスは弱いものへ弱いものへと向かうものだ。
分け隔てなく受け入れてきたはずの移民達へのフラストレーションは、先進諸国で
高まり続けている・・・。

いずれにせよ、世界の人々との交流は、ただ美しい都市観光をする以上にすばらしい
何かを、私に与えてくれたのである。