Top Pageへ
国表示ページへ
オセアニアへ
ロタ島
〜短い旅の理由〜
ミクロネシア地域に浮かぶロタ島へは、サイパンを経由して行く事ができる。
「あら〜近場は若いうちは避けるって言ってたのに、どったの?」
という声が聞こえてきそうだが、そう、私がロタにたったの
3泊4日っ!
という超短い期間で行ってきたのにはふかーーーいワケがある。
それはぁ。
「ズバリ!クリスマスシーズンに日本にいてたまるかっ!!」
って事だったのね。
1993年といえば、すでにバブル経済は崩壊していたのだが、それでも原宿・表参道の
イルミネーションはまぶしいほど美しかったし、恵比寿ガーデンプレイスも横浜みなとみらい
も東京ディズニーランドも同様であった(ちなみにその頃「お台場」はデートスポットでは
無かった)。
私は常々思っていた。
「日本という国は、クリスマスイブとクリスマス当日に限っては、カップル以外は外出しては
ならないという法律が定められてるところなんだねぇ」と。
まぁその様に私が感じてしまうのも無理はないほど、クリスマスになるとやけに幸せそうな
カップルばかりが目についてしまったあの頃。
もちろんただの「被害妄想」なのだ。
よーっく見てみれば、背広姿のサラリーマンのおじさんやOLさん以外にだって、一人で
歩いてる人達だっているはずなのだ。
しかし彼氏のいなかった私は
「きっとあのおじさんはこれからケーキを持って家に帰ってパパ〜とかいう子供らの声と
共にろうそくを吹き消すに違いない」
「きっと彼女はこれからおしゃれして彼氏とデートに出かけて指輪かなんか交換しちゃって
その後は・・・・・・!(想像図)」
などとばかり考えてしまうのだ。
「今年はもうそんなクリスマスはたくさんよっ!
そうよ、日本を離れりゃいいのよ!
クリスマスを忘れさせてくれるほど暑い国へ、いざ行かんっ!」
私は同じ様な境遇の女友達(ヴィリバル
とシパダン島
にも一緒に行った子)を誘い、
逃げるようにして成田を発ったのだった・・・。
〜ロタ島〜
いや〜こんなに長い前置きは、このHP始めて以来初のことだわね。
それだけ日本のクリスマスに対しては言いたいことがあったということで。
さて、ロタ島。
後に野口ごろう(字わからない)とゴルフ好きタレント(名前忘れた)が結婚式を挙げたし、
今は開発が進んだのかもしれないが、当時はとにかくなーんにも無いところであった。
沖縄の久米島に行ったときの雰囲気と似たあぜ道を抜けて、パウパウホテルに到着。
パウパウホテルにて1993年「クリスマス」
残念ながら、ここはオン・ザ・ビーチのホテルではない。
窓から海も見えない。
特に豪華なホテルでもない。
でもそんなことはどうでも良かった。
とにかく日本のクリスマスさえ忘れられれば・・・。
そして私達は潜った。
上の写真にもあるとおり、パウパウホテルからビーチまでは遠く、テラスで一日ゆったり
過ごす雰囲気では無かった。
だから潜った。
そしてダイビングボートで友達になったのは、50代のおじさまグループ。
皆様家族があるってのにどどどーしてここに?!という疑問は心の中にしまって、気の
いいおじさま達と昼間はダイビングを一緒に楽しみ、夜はご飯をごちそうになった。
〜海をなめてはいけない〜
3日目の午後は、有名な「テテトビーチ」に行った。
ここはロタで一番美しいビーチなのだ。
その通り砂も白く海もきれいだったのだが、ここで私は冷や汗ものの体験をした。
シュノーケリングをして可愛いお魚さんを追いかけながらちゃぷちゃぷ・・・・・
「ふっ」と後ろを振り返ると、ビーチは遥か遠くに行ってしまった。
というより、私が気づかぬまま遥か遠くに来てしまったといった方が正しいであろう。
「げげーあそこまで帰るのか〜遠いなぁ」
と思いつつフィンを蹴る私。
「えっ・・・」
信じられなかった。
いくら必死で泳いでもフィンを蹴っても、波の力が強くて30センチも進まない。
どんどんどんどん沖へ沖へと流されていってしまうのだ。
「こ、こんなはずは・・・」
と焦れば焦るほど、体は思うように動かない。
そこは、リーフの切れ目だったのだ。
一見遠浅に見えるテテトビーチだが、ひとたびリーフを超えてしまえばそこは深い深い海。
見るとすぐそこに、えらい高波が白いしぶきをあげて私をあざ笑っているようではないか。
「やばい・・・よくニュースで波に人がさらわれて行方不明になったとか言ってるけど、あれ
はこういう状況から起こることなんだ・・・」
私の脳裏には色々なことがかけめぐる。
必死で泳ぐ。
足が疲れてどうにかなりそうだ。
大切にしていたペンダントが無くなっているのに気づいたが、構ってはいられない。
そうだ、斜めに泳いでみよう。
波に直接向かって行ってはダメだ。
苦しい・・・でも死にたくない・・・!
もがき続けて一体どれだけの時間が経っただろう。
「Hey,Dad!」
という可愛い子供の声が聞こえて私は顔を上げた。
お父さんと無邪気に遊ぶ女の子がすぐそばにいた。
ビーチまではあとわずか10メートルというところまで、私は泳ぎきったのだった。
「た、助かった・・・」
そう思いながら後ろを見てみる。
私がいたと思われる地点には、さっきよりもさらに高く激しさを増した波が見える。
そこから手前は本当に静かで、穏やかな海だとういうのに。
私はここで、海の恐さというものを知った。
それから3年後、マイトン島
で仲良くなった友人がこのビーチに行ったとき、一人の男性が
レスキューによって助けられたのを目撃したそうだ。
その友人も同じことを言っていた。
「ほんっとにシュノーケリングにぴったりの、波の穏やかなビーチなのに、ちょっと行くと
海の表情がガラッと変わるんだよね。
リーフの切れ目の波、私が見たときは3メートルの高さだったよ。
誰かがあの男の人に気づいてレスキュー呼ばなかったら、死んでたかも・・・」
海をなめてはいけない。
そう思った。