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シパダン島

〜またも雑誌の写真が発端〜

「海と島の旅」にシパダン島の特集が組まれていたのは1994年くらいだったか。
ボルネオという、あまり聞いたことの無い場所にあるというその島は、正にダイバーの
楽園とも言える所らしかった。
「無制限ダイブ」といって、ダイバー達がちゃんとダイブ・コンピュータなどで自己管理
さえすれば、一日可能な限り何本でも潜れる島なのだ。

写真を見ると、島のすぐ周りには切り立ったドロップオフがある。
島はウミガメの産卵で有名で、ダイビングすればたくさんのカメたちが迎えてくれる
そうな。

「ここに行くしかない!」(ま、またこのパターン・・・)

と思った私は、ダイビングライセンスを持っており、一緒に伊豆などにも潜りに行って
いた友人と共に成田を発った。

〜と・・・遠いっ!〜

だがしかし・・・
とても同じアジアにあるとは思えないほど、シパダンへの道は遠かった。
成田からクアラルンプール・コタキナバル・タワウと経由し、そこからさらに車で1時間
半もかかってセンポルナという港へ。そこからボートで45分かかってようやくようやく
たどり着くのである。

私と友人は「体力に自信ないし、タワウからシパダン島まではヘリを使おう」という
ことにしたので、まだしも楽だったはずなのだがそれでも丸一日はかかった様な記憶
がある。

しかしたどり着いた先は正に「楽園」であった!!!

ヘリより
ヘリよりシパダン島とコテージを写す1994年8月

ビーチも海の色も、「海と島の旅は嘘を言ってない」と思わせる美しさ!
「はるばる来た甲斐があった・・・」と心から思う。

シパダン・ダイブ・センターというリゾート施設に着くと、早速Cカードを提示し、島での
過ごし方を教わる。
シャワーやトイレは共同で、でもかろうじて真水は出るようになっていた。
まぁここまで来たら「塩水シャワー」でも問題ないと思わせる島ではあったが。
リゾート施設といっても、島に3つあるリゾートのすべてがそれぞれ4〜5部屋くらい
ずつしか持っていなかった(詳しいことは忘れちゃったけど)ほど規模は小さく、部屋
も掘っ立て小屋そのものである。

小さなコテージの部屋にある簡素なベッドには蚊帳がつけられ、布団らしきものも
無かったがとにかく「暑い」んだから必要ない。
エアコンも電話もテレビも、とにかく何も無いのだが、それがまた

「南の島に来たぜい!」

という気分にひたれて良いのだな〜。

〜スキューバ・ダイビング〜

さて、ダイビングは冒頭の説明どおりのスタイルなのだが、私は一日5本も潜るほど
まめではないので、一日3本にしておいた。
しかし後にも先にも、

「一日に3本ずつ1週間潜った」

という経験は無い。
本当に、シパダン島はどんな怠け者ダイバーも「ガンガンダイバー」に変えてしまう
魅力を持っている。
ビーチのほんの30メートル先には、600メートルのドロップ・オフ(絶壁)があるのだ。
一応ボートで移動するのだが、5分もかからないでポイントに着く。
1時間以上ポイントまで船に揺られることも少なくないのが多くの南の島である。
船酔いしやすい私の友人が「最高!」と言うのもうなずける。

潜ればそこは「ウミガメいまくり」の世界。
最初こそ「わ〜大きなウミガメだああ!」と感動していたが、そのうち見慣れてしまい、
誰も「今日ウミガメをたくさん見られたね〜」などと言わなくなってしまう。

ギンガメアジ軍団、バラクーダ軍団、サメ軍団・・・他にもたっくさんいたのだが、魚の
名前に詳しくないので書けない・・・ううう・・・。
私達と別グループが、

「ハンマーヘッド」

に出会ったという!
これは本当にうらやましかった。

この島を表現するのに一番の出来事があった。
ある日私よりも数日早く帰るグループの一人が、桟橋から慌てて戻ってきた。

「や・・・やばいやばい!俺、靴履くの忘れてたよ!どこに置いたっけなぁ・・・」

と言いながら。
そう、シパダンでは皆裸足で過ごすのだ。
ビーチサンダルもいらない。
初日こそとまどったが、慣れてしまえばこんなに楽なことは無い。

〜襲撃事件〜

そんなシパダン島が、2000年4月にフィリピン系イスラム武装ゲリラに襲われた。
考えてみれば、警察もガードマンもいない一周徒歩わずか20分の小島は、誘拐する
のに最も苦労のいらない場所である。
裸足で過ごす楽園は、無防備という言葉と隣りあわせなのだ。

それでも私は、離島に行きたい。
小さな小さな南の島・・・そこはやっぱり、「パラダイス」なのだから・・・。